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#CUERaider Vol.140: 配信DJのこれから 議事録

文責: 浮遊 (@Floating_Pool)


概要

基本情報

会議の目的

8月から施行されたTwitchのDJ配信に対する方針変更により、CUERaiderの運営に懸念点が生まれた。また、開始当初と状況が変わったことにより、成り立たなくなっている部分も同時に見えてきた。これらに伴う問題点・論点の整理と今後の展開について話し合うため、また視聴者の意見を集めるために開催。

主な議題

Twitch DJプログラムに対する対応策について以下の4点を主として扱う。

  • Twitch DJプログラム自体に対する評価

  • CUERaider運営上での懸念点

  • 懸念点の解消方法

  • 運営継続の可否と今後の展開

決定事項

「今のベストを尽くすしかない」と「サービス、法律、文化 etc.も流動的であり、特にTwitchのようなサービスはスピードが速いという前提をもとに考える必要がある」という認識を共有できたという点で、こういった話をする場を設けたことは有意義であった。当然、議論において他の意見を排斥するものではなく、それぞれを尊重した上で我々がここまで議論してきたスタンスを持っているという、あくまで主張に過ぎないことに留意。

Twitchのプラットフォームの利用は継続

サービスの規約・内容は往々にして変わる。特にこの手のウェブサービスの変化は早いので、完璧に対応したところで本質的には意味がない。また問題のレイヤーとして一番下にある著作権・権利関係を気にすると、DJそのものに対しての問いに帰結して哲学的になってしまうため、CUERaiderとしては一旦飲み込む。その上で、自分たちのスタンス・大事にしたいものをベースにやっていくため、Twitchを継続利用。キーワードは「怒られたら謝ろう」

CUERaiderとしてのアカウントを作成

大枠としては「リスクヘッジのため」に作成。副次的には上記に関連して「怒られるラインの線引きを実験できる」。また、「コンセプトを作る上でRAIDがあっただけなので、レイド機能という意識は削ってもよい」という前提と、「個々人のTwitchアカウントを育てる傾向が減ってきた」ことに鑑みると、#CUERaider のタグを育てることが出演者の支援につながるため、アカウントを集約してしまう方が今は有効である。以下は新しく作成したアカウントとなる。(編注: ぜひフォローをお願いします!)

アナウンスや説明資料のアップデート

リスクの伝達の文言や対策の追加に加え、3年の間更新されていないため、現在の実態にそぐわない内容が存在しているため、削除や整理を行う必要がある。

再開は24年12月を目処

11月中は準備期間として12月中の企画をしっかり練りつつ、アカウントでの配信テスト等も実行できると良い。また、継続決定の議事録を残して配信を見ていない人にも伝達可能な状況を作る。


以下はトークベースでの議事録。

前提共有 (21:10〜21:25)

公開会議であったため、オーガナイザー3人以外の視聴者にも前提を共有する必要があった。この部分は議論をほとんど行なっていないため別枠で記載。以下、オーガナイザーの名前は敬称略。

Twitch DJプログラムに関して

基本情報の共有の実施。まずはTwitch DJプログラムの紹介から。以下がその概要。

Twitchは新たな「Twitch DJプログラム」を発表し、DJが著作権を気にせず音楽を配信できる仕組みを提供します。Universal Music Groupなどの大手レーベルと提携し、DJは合法的に配信を続けることが可能です。配信収益の一部を使用した音楽の権利料に充て、Twitchとストリーマーがコストを分担します。これにより、DJはコミュニティと交流しながら活動を続けることができます。

TwitchのDJプログラムは、DJが合法的に音楽を配信できるようにサポートする仕組みです。大手レーベルと提携し、著作権を気にせずに音楽を使用でき、収益の一部は音楽権利料に充てられます。これにより、DJがコミュニティと交流しながら活動を続けることが可能になります。また、Twitchとストリーマーがコストを分担するモデルになっています。

Twitch DJプログラムのご紹介をChatGPTで要約

当プログラムの実行可能性、あるいは整合性をとる上で設定されている条件等についても以下の通り共有。

  • Twitchが指定するカタログに存在しない楽曲の使用ができない (コメント: 同人楽曲等は本人が許可をしていても使用が不可な可能性がある)

  • プログラムに参加していない場合、BANの対象になりうる

  • プログラム参加者の配信カテゴリーはDJ配信のみに限られる

  • アーカイブやクリップ等を残すことができない

  • 音声のみの配信も不可 (編注: 視聴者としてはアプリでのバックグラウンド再生も不可となる)

CUERaider運営のプログラムに対する評価

この後の議論を適切に展開・視聴者にも誤解のないようにするために、プログラムそのものへの評価・認識のすり合わせから開始。著作権周辺の問題をクリアにしたTwitchの方針には全面的に肯定である一方、mopp発言の「年貢の納め時かな」のように、グレーな状態を前提にしてきた個人的活動については考え直すタイミングが来たという認識。この点ではオーガナイザー間では意見が合致。

この会議について

なぜCUERaiderがこのタイミングでこの公開会議を行うことにしたかの経緯・内容説明を実施。

大きな経緯の1つとして、大きなDJコミュニティを持つD-YAMA氏だけならず、過去Twitchと手を組んでイベント配信を行っていたMOGRAのアカウントもBANという情報と、前段の「プログラムに参加していない場合、BANの対象になりうる」部分がある。

CUERaiderはオーガナイザーが配信を行うわけではないため、オーガナイザーがDJプログラムに参加したところで、BANされる可能性があるのは出演者の皆様のチャンネルであり、企画の進行が妨げられる可能性があること。全員に参加をお願いするという方法をとってしまうと、気軽に企画を持ち込むことが難しくなってしまうことが大きな懸念の1つである。加えて、過去のイベント実績から楽曲カタログの制約により企画の自由度が下がってしまう可能性が高いことも懸念点としてある。

議事 (21:25〜)

ossaの現状確認

ゲーム配信・DJ配信を頻繁に行うossaの現状を確認。10月16日現在ではプログラムには参加していない。情報がかなり出てきている状態で参加の意思自体はあるが、DJ以外の配信も行っていることもあり、周りを見つつ様子見の段階。参加するにしてもアカウントを分けることに抵抗があるので、今後の動向を注視。現状はBANなどの措置や特別な警告は来ていない

事前に上がっていた解決策について

最初に挙がったものが「収録映像をもらってDJプログラム参加アカウントから放映」を行うであったが、「DJプログラム規約に反している可能性がある。」というossaの指摘あり。以下DJプログラム規約の4.C.aに抵触する可能性。

4. Twitch DJプログラムのルール
(中略)
C. ライブオーディオビジュアルショーを行うこと。

a.DJプログラムはライブ配信専用です。
i. 自分のDJパフォーマンスや他の参加DJのパフォーマンスを記録または再配信しないでください。
ii.Twitchサービスを利用して、カタログトラックを含むVOD、クリップ、または他の記録を作成またはアップロードしないでください。
b.DJプログラムは音声のみの配信用ではありません。
i. インタラクティブなライブオーディオビジュアルパフォーマンスを伴わない音楽をライブ配信しないでください(すなわち、音声のみの配信や自動配信は許可されていません)。

「DJプログラム規約」 (2024年9月12日更新バージョン; 2024.11.7閲覧)

Twitchはコミュニティ形成の場の提供を強く意識している。その指針とDJのクリエイター的側面を支援していくことの一環としてこのプログラムの設定もあり、この解決方法はプログラム設定の意図とはズレる部分がある。

さらにアーカイブ等々に関して視聴者からの情報提供あり。

音楽の権利は非常に複雑である。権利や法律を把握していても、本業でない限りは改めて確認をしてやっと思い出せる人がほとんどだと考えられる。クラブは業態としては飲食店のお店がほとんどで、BGMとしてJASRACとの包括契約の有無が主な要素となるが、配信は「公衆送信」にあたるため扱いが変わる。

そこに目をつぶったとしても問題点が残る。CUERaider運営の面から見ると、完パケをある程度の時間にもらう必要があるなど毎週やるにはしんどいのではないかが1点。Twitchアカウントへのフィードバックやドネーションを報酬としていた部分があったが、それも成り立たなくなるところがもう1点。そういった骨子の部分の再考も込みで今回の会議を開いたという側面が強い。

2つ目の解決策は「リスクを適切に説明した上で現在の形を続行する」だが、キュレーターへの説明は我々ができる一方で、ブッキングの際にキュレーターが出演者にそのリスクを説明しなければならないというコストが発生するという問題点がある。

プラットフォームの変更について

本格的にプラットフォームの話題に入る前に、「現状全てを拾って解決することは不可能に近い。ならば、何を捨てて何を守るかを共有し、そこに向かっていく必要がある」とmopp。CUERaider的にはTwitch上に存在する機能かつ配信DJにおける連続性の観点からレイド機能を意識的に使ってきたが、CUERaiderのやりたいことから考えればそもそも「レイド機能」にこだわる必要がない。その点で言えば例えば中長期的に見て1つのアカウントを育ててそこに集約することで課題をクリアすることは可能。

以上を前提に、プラットフォームを変更する場合真っ先に上がるのがYouTubeとなる。ただ、YouTubeのそういった部分をクリアするのはハードルが高い。実際Juke Voxでコロナ禍初期に配信を行なっていたが、AIによる楽曲の判定が厳しかった。生配信で即BANということはないだろうが、リージョン指定が厳しく、楽曲によっては特定の国で再生できなくなる場合もある。

日本のみで視聴可能なリージョン指定のイメージ画像
(編注: サンプリングビートでも原曲を拾われる例でもある)

ライブ配信という形にこだわらなければYouTubeでDJ録画を公開するという方法も実際に取られているためYouTubeもなしではない。ただ、生配信でなくなることで一本繋がった輪にならないというデメリットがある。具体的にはTwitchの掲げるコミュニティ間のつながりや広がりを形成する仕組みをこれまで活用してきたが、YouTubeに移行して独立することでその利点を享受できなくなってしまうところに問題がある。

そのほかとしてツイキャスとニコニコ生放送とUstreamの後継のIBM Video Streamingが挙がる。しかし、ツイキャスは「演奏」の範囲である必要があるため不可 (参考: 音楽配信について教えてください)。IBM Video StreamingはBtoBプロダクト化して別物になっているため範疇外。ニコニコ生放送もカタログが決まっているが、Twitchより範囲が狭い (参考: 音楽著作物及び音楽原盤の利用に関するガイドライン)。

課題整理

「ここまでの議論で課題が多々あることが見えた事実は重要。その続きとして各課題にレイヤーが存在していて、それを分けて考える必要がある」とmopp。レイヤーとしてベースにあるものは、そもそものDJ配信的に問題となってくる「著作権等の権利関係」とプラットフォームを利用する上での「規約」の2つに大別されるのではないか。

この後の話を進めるにあたっては、そのベースレイヤーにおいてたとえば「片方は守るが、もう片方は何かあったら謝る」といった自分たちのスタンスを明確にする必要がある。いきなり全部をクリアするというのはアイデアとしても厳しいし、Twitchのプログラム運用自体が手探りで進んでいるように見える以上、現状全てが解決するというのは無理なのではないか。そもそも規約自体変化していくものだし、プログラムが提携するレーベルが増えていけば解決する部分も多々ある。

そう考えると「今どうするか」に焦点を当てる必要がある。現にossaがBANされていないというのは試金石として有用で、実際ほかにも配信中にBANになっているアカウントを目撃したことはほぼない。D-YAMA氏がBANされたということからリスクがあるのは事実だが、毎回必ずそうかという部分では気持ちの割り切りになってくると思われる。

その点で、CUERaiderの運営としては「BANされるときのバックアッププラン」があれば十分ではないか。もし危険になった時に運営が別チャンネルにレイドするリードタイムがあるならば、その旨を出演者の方に説明をすれば良い。加えて視聴者から「初回だったので警告文で済んだが、3回でアウトという話を聞いたことがある」という有力な情報の提供。それが事実であれば1つのアカウントに集約して3回怒られるとBANは問題があるが、各出演者のアカウントが1回ずつ怒られる分にはBANには繋がらないので極論としては可能な運営体制となる。

解決策の検討

そもそもの「配信でDJをする」というレイヤーの課題については、怒られたら改めるという姿勢以外にはないという認識である。そうなると考えるべきは「プラットフォームを利用する」というレイヤーである。該当レイヤーにおいて、Twitchのコミュニティを広げる理念に対しては共感ができるし、今後プログラムがブラッシュアップされることを踏まえれば、今どうするかにフォーカスして、コンテンツが成熟しサービスが変わっていく流れに上手に乗っていくことが大事なのではないか。

つまり、CUERaiderとしては想定されるリスクに対してどの程度ヘッジ (回避)できているかを考えていけばよく、何か困ったときにオーガナイザーへレイドをしてもらうなどをリハなどで説明しておけばよい。警告等が怖いのであれば我々のアカウントを使ってもらってもよいという形をとればいいのではないか。

あるいは規約上リアルタイムでDJが流れていればいいのであれば、CUERaiderのアカウントを作っておいてそのアカウントを使ってもらうことも可能なのではないか。Team CUERaiderというコミュニティを作るという認識であれば理念の面でもクリアするし、ストリーミングキーの更新自体は簡単なので誤使用の防止に関しても運営側の管理で特に問題なく可能である。

CUERaiderはそもそもたくさんの人に見てもらう大きい企画にしていくというスタンスではなく、あくまで「タモリ倶楽部」のようなニッチかつ興味深い内容を楽しくやれる場を作るという理念がベースにあるため、一旦続けていくことが我々のスタンスで良いのではないか。そもそもサイクルの早い分野であり、規約もマイナーアップデートが多くかかるので、数ヶ月後には全然違うことを言っている可能性もある。その変更と活動に大きな齟齬が生まれた際に都度考えればいいことなのではないか。それに一旦怒られてみて、どこにフラグがあるのかをCUERaiderアカウントの育成過程で見据えていくのも全然アリじゃないかと思う。

また、個々のDJ用のTwitchアカウントは前ほど使われなくなってきている。ポストコロナに入っていく過程で配信に依存しない活動も増えてきて、DJ配信をする上でその人個人のアカウントである理由やそのアカウントを育てる理由は意味が薄くなってきている現状がある。実際にオーガナイザー側から配信をするパターンも増えてきている。


備考

CUERaiderでは常時企画を募集しています。しばらく手探りの運用になるかとは思いますが、インターネットの実験場として自由に使っていただければ幸いです。配信環境等の基本的なハードルは3年続けてきたノウハウが多々ありますので、お気軽にお問い合わせください。

配信中に出た企画候補

  • 絶景DJ

  • 究極DJ: 飲酒後、本能だけでDJをする (極限状態DJ)

  • 最終回

  • インターネット破壊

以上

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