トランスジェンダーって相変わらず行き場が無いよね
初めに。
大前提として、僕はトランス男である。
FtMという言葉でもいい。
とにかく、体の性別は女性なんだけど心は初めっから男ってこと。
昨日何となく興味と勢いで『適職診断』なるものをやろうとした。
勿論無料の。
だからまぁ、自分の現在地の影でも見られればな、くらい。
1問目で無事詰んで、そっとwebサイトを閉じた。
当事者ではない人からはこんな問いが聞こえてきそうだ。
「トランス男ってはっきりしてるんだから男で進めればよくない?」
そう。僕はノンバイナリーとかクエスチョニングではなく性自認が男であることは定まっているので確かに"そう"なのだ。
しかし、話はそこまで単純ではない。
僕の性自認は男である。
友達も7~8割は男だし、何なら女性は苦手である。
ただ、例えば胸は出ている。
ナベシャツで潰しているので普段は困らないけれど、じゃあ通勤して着替える必要のある職場だったら?
普段会話もしない女性に交じって着替えるのも、男の前で堂々とナベシャツ姿になるのも、双方に対して気まずいし申し訳ない。
生理だってご丁寧に毎月来やがる。
しかも量が多いタイプなので頻繁にトイレに行かざるを得ない。
長丁場の職場やトイレに最低限だけしか行かないような職場は毎月1週間無理な日が続く。
そもそもどっちのトイレに入るのか以前の問題である。
仕事ではないが、先日仲間内で旅をしてそのまま温泉宿で一泊しようという話があった。
僕はそこでは男として参加していたので、急な温泉や宿泊の話に戸惑って、とはいえ楽し気に旅の話を企画している彼ら彼女らに水を差すのも嫌で、結局やんわりとそれとなく断った。
職場でのそういう場だってあるかもしれない。
トランス男として仕事に就いたとして、全員にカムアウトするかどうかはまたその先の話によるし、せっかく男として働いていてもこういう僅かな隙間に躓いて周囲との違和感を発生させてしまう。
実際その場になってみて初めて分かるそういう隙間『クラック』が、社会のあちこちに点在し潜んでいる。
それを考えた時、自分の性別がどちらであるかを表明することができないのだ。
やれダイバーシティだLGBTQだのと認知度が上がっても、民間レベルの問題はほとんど解決されていない。
僕は確かに男である。
けれど体と心の性の不一致、ただそれだけで
「私は男です」
の一言が言えない。診断でクリックできない。
ーーーだから、先へ進めない。
性適合手術をすればいい。そう言う人もいるだろう。
僕だってしたい。できるものならしたい。
けれど統合失調を持つ僕は、現在日本では性別違和の診断をもらえない。
診断をもらえたとして、手術には百万円を越えるお金がかかる。
障害基礎年金をもらい、実家も出られずに息を潜めているだけの身ではとても用意できない。
性別という壁を前に社会のスタートラインにすら立てないまま、あと数年で僕は40歳を迎える。
こんなに長生きするなら、身1つで新宿に身を投げればよかった。
それすらできない数多の病気を抱える前に。
余計な物ばかり背負いこんで、今は実家を出ることすらできない。
年ばかりとった今、そんな有りもしないIfを想像するくらいには、まだこの社会は肩身が狭く息苦しい。
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