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“社会的処方”ってなに?

社会的処方”という言葉を聞いたことがありますか?

漢字ばかりで難しい学術用語のように感じますね。

処方の意味は『物事を処理する方法』とあります。

社会的に物事を処理する?

これでもまだわかりませんね。

言葉はわかりにくいように感じますが、その内容はとてもシンプルなので一緒に確認してみましょう!!!


社会的処方ってなに?

厚生労働省が提示する社会的処方の定義は以下のとおりです。

医療機関等を起点として、健康問題を引き起こしたり治療の妨げとなる可能性のある社会的課題を抱える患者に対して、その社会的課題を解決しうる非医療的な社会資源につなげ、ケアの機会を患者と共につくる活動

孤独・孤立への対策の意義と方法』から一部引用

…。わかりにくいですね😅

つまりは薬だけではなく、社会的なつながりを持って患者さんの問題を解決していこう!ということのようです。

この取り組みは世界で導入されており、その中でも代表的なのがイギリスです。

イギリスでは1980年代から試みはなされていましたが、2006年に国で推奨されてから全国に広がりました。

今では100以上の取り組みがなされています。

実績としては「社会的処方計画を受けた患者の80%が救急外来、外来診察、入院の使用を減らした」(内閣府HPより一部引用)というものになっています。

まだエビデンスとして十分な結果が集まったわけではないようですが、社会定処方の可能性は十分あると言えます。

そんな社会的処方は具体的に何をするのかをご紹介したいと思います☺︎


具体的には何をするの?

社会的処方で何をするのかは人によって違います

それは薬を処方する時に、その人の体質や既往歴等に合わせて薬を変えるように、社会的処方もその人に合わせたものに変えるからです。

ではどうやって社会的処方を決めていくのか。

ここで必要となってくるのが社会的処方の基本理念3つです。

地域での人のつながりを強くする「社会的処方」(大阪ええまちプロジェクト 大交流会 基調講演)』の社会的処方の3つの基本理念を参考にさせていただいています。

1.人間中心性

これは先述したとおり、その人に合わせたものを考えていくということです。

同じ症状が出ていたとしても、その人がどうしてその状態になったのか・その人が安心を感じられるものは何かということは人によって違います。

そこで、一人一人に合わせたものにするということが人間中心性です。


2.エンパワーメント

直訳すると「自信を与えること」「権限を与えること」となります。

『自分には得意なことなんて何もない…』と思っている人がいらっしゃるかもしれませんが、それは違います。

十人十色という言葉があるように人はそれぞれ違っています。

自分では大したことないと思っている自分の特徴が、ある人にとってはすごい特徴であることも多々あります。

そこを見つけて伸ばしていくことで、自信を与えていくというのがエンパワーメントです。


3.共創

この社会的処方をする時に、支援する地域や団体が、うちのにはそんなものはない☹️と思うケースがあるようです。

しかし、なかったとしても作り出すことはできます。

社会的処方を必要としている人たちに何ができるか、その人たちに必要なものはどんなものなのかを一緒に考え作り出していくことが、共創だといいます。

支援する側も完璧でいなければいけないのではなく、一緒に作り出していく。

その過程こそが社会的処方につながると考えます。

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具体例としては、花が好きな人であったらフラワーアレンジメントの教室に通ってみたり、話すことが好きであればカフェなどで集まりを企画してみたりなどです。

好きなこと・得意なことを通じて、この基本理念に則り、社会とつながりを作ることが社会的処方であると考えます。


どうして社会的処方が必要なの?

これは病気に新たに効く薬や治療法がないか研究するように、社会的処方が治療法の一つとして推奨されて始めたということだと考えます。

健康の3本柱というものがあります。

  1. 食べること

  2. 運動すること

  3. 社会参加(外出や人との交流)

の3つです。

1・2は色々なところで耳にするし、変化がわかりやすいので、皆さん自分ごととして考えやすいと思います。

しかし3の社会参加に関してはみなさん蔑ろにしていませんか?

かくいう私も1人が好きで、人との交流は苦手な方なので蔑ろにしてきた人間です…。

それでもある程度の社会参加は必要だなと最近考えるようになりました。

どれだけ1人でいても苦痛になりませんが、1人が長く続くと外に行きたい・誰かと話したいと普段の自分ではあり得ない考えが浮かんできます。

1人が好きであっても、人と繋がることは体が本能的に欲しているのかもしれません。

また孤独・孤立はお酒やタバコ・メタボと同じぐらいもしくはそれ以上の死亡リスクがあると言われています。

コロナ禍以降、自分で外出できずどんどん孤立化し病気が悪化した高齢者も多くいます。

こういう人たちにとって必要なことが社会的処方ではないかなと考えます。


最後に

日本でも2022年に孤立・孤独対策の一つとして社会的処方が取り上げられました。

コロナ禍で全世代が孤立を感じた中で、今でも自由に動けていない人は高齢者や障害者など、元々体を動かしづらかった人だと思います。

コロナ前は自分の行きたいところに行き、したいことをできていたかもしれません。

それがコロナ禍によって自宅にいるようになり、体が弱り、外に出たくても出られない状況になりました。

このような方達におせっかいのような形で社会参加を促すことが必要なのかもしれません。

この社会的処方がイギリスで始まったのも、おせっかいが始まりだと言います。

私たちF・Linkも構想段階ですが、“おせっかい婆BAR(ばばあ)”というものを計画しています。

おせっかいなおばちゃんたちと話をしながら、専門職の強みを活かし健康についても相談できる。

そんな新たな社会的処方の受け入れ場所になれるように実現を目指して行きたいと思います!

最後まで読んでくださり、ありがとうございました☺︎


参考:“地域での人のつながりを強くする「社会的処方」(大阪ええまちプロジェクト 大交流会 基調講演)”.大阪ええまちプロジェクト.2023/7/24.https://eemachi.pref.osaka.lg.jp/2023/07/8066/#:~:text=「孤独・孤立」への,れるかもしれません%E3%80%82,(2024/4/19)

“トピックス4 イギリスの「社会的処方」~GP(一般医、家庭医)による社会参加と地域づくりの推進~”.内閣府.https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2019/html/zenbun/s1_3_topics4.html,(2024/4/19)