♯9 先輩飛行機乗りの話
訓練時代の事を毎日思い出しているのだが、どんなネタが求められているのかが、ちょっと分からなくなってきている。あれこれ書いた所で、普通の訓練生とはだいぶ違う生活、訓練をしてきたので、参考になるのだろうかと言う不安も一端にある。Twitterでもしみてる人が居ればコメントを残してほしい。包み隠さず書くつもりだ。コメントお待ちしてます。
今回は、私のインストラクターについて書きたい。PPLも終わりIRもだいぶ訓練が進んだ頃、ジョンというインストラクターに出会った。昔、数々の飛行機に乗り、最後はKC135を飛ばし、退役した後も現役でCherokee6 のオーナーだ。
この時メンテナンスや予約で空きが無かったので、リトラクタブルギアのパイパーアローに乗る機会ができた。早速ジョンとPOH(pilot operating handbook)の確認。飛行時間もそうだが、General Aviationの世界に精通している感じが伝わってくる。先輩飛行機乗りとして話をしていて非常に面白い。
ランディングギアを上げるタイミングの話で、当時の私が思っていたのはpositive rate of climb を確認、もしくはno usable runway を確認、ギアアップすればいい、Examiner に対してもどちらの回答でも良く、どちらも良し悪しがあると思っていた。この時のジョンの答えは、マルチエンジンはドラグを減らす為positive rate of climb でアップ、シングルはエンジンが止まったら着陸しか無いので、 no usable runway でアップ、納得の回答。
そして、ジョンを乗せランナップで、面白かったのが1700rpmでマグとガバナーを通常通りチェックした後、そのままのthrottleでpropを引いて1600rpmとして少しthrottleをあげて1600rpmをキープできるかというもの。毎回やる必要はないかもしれないが、誰が飛ばしたかわからない機体で細心の注意を払うという事だ、納得だ。
同じラインの飛行機とはいえ、初めて飛ばす機体だった為、ストールの時などかなり警戒して操作していたと思うが、ジョンはラダーにもヨークにも触れる事なく外を見ていた。リカバリーにはかなりの自信があるのだろう。頼もしい。
これから先このインストラクターいや、飛行機乗りと飛ぶことになるのだが、すごく楽しみだった事を覚えている。アメリカGeneral Aviationがいかに発達し、理にかなっているかという事を思い知り、トリックを教えてもらう事が楽しかった。彼はパイロットよりも飛行機野郎というのがふさわしいだろう。