【後編】だって、楽しいじゃん!——「入り口の音楽家」kumajiro、シーンの前途に吠える
誹謗も中傷も賞賛も全部自分のもの
で、弾き語りは2016年から始めた。それもまこっちゃんと一緒にやるようになって。
なんかいっぱいいるわけですよ、弾き語りやってる全国行脚の歌うたいたちが。「この人たちはなんでこんなことをしてるんだろう」って思って。そんなに儲かるわけでもなく、お客さんだっていっぱいいるわけじゃなくさ、10人いたらば多いよね、くらい。で、移動費かけてさ。「なんでこの人たちはこんな思いしてまで……」、いいことなんか何一つなさそうなわけですよ、一般的に見たら。「ちょっと俺もやってみるかな」と思って(笑)。
——(笑)おおお。身を持って。
そうそうそう。で、やってみて、2016年の4月からkumajiroっていう名前で、弾き語りを始めた。
——それまではだって、それこそ声楽とか……職業音楽家であったのが、職業とはちょっといえないかもしれないけどやってる人たちがいるっていう、全然違う立場ですよね。それを、「わかんないから自分でやってみよう」っていう、ことだったんですね。
うん。弾き語りってさ、誹謗も中傷も賞賛も全部自分のものだから。そういう意味ではすごくいいなって思うわけ。ひとのせいにはできない代わりに、全部自分のものだから、全部自分で解決できちゃうわけよ。「あ、これはいいかもしれない」って思って。
リアコ(Re-Acoustic)があったじゃない。リアコで、とにかく万年「演者が足りない、足りない」って言いながらやってたから、「県外から来たミュージシャン(のイベント)で、誰もいねえときは俺に声かけて、俺やるよ」って。ただ、「県内の人たちとはいい。いつでも一緒にできるから」。
で、県外から来た人たちと一緒にやると、その人たちは旅してるから、自分も旅してる気分になれるんじゃないかって思ったわけね、単純に。それが福島の人たちとだったら、「おう、またね、またね、よろしく」ってなっちゃうと、つまんねえなって思って。
——内輪ノリじゃないですけども。
そうそうそうそう。で、そうやって2年くらいやって……6年前か。2018年くらいから県外にちょっと呼んでもらって、自分で行きたいって、ツアーの真似事みたいなことをし始まって、現在に至る。
——実際、シンガーソングライターってまた全然違うジャンルに身を置いてみて……それまでとはまあ何もかも違うと思うんですけど、こういう違いがあるんだなと、ハッとしたみたいなことってありましたか。
クラシックの場合って、それこそ100年とか200年も前に死んだ作曲家の作品を演奏するのがお仕事なわけじゃないですか、再現芸術っていう。それに対してシンガーソングライターっていうのは、今自分が思ってることを言葉にして、歌にして演奏するわけですよ。そこが面白いなって思ったのが最初だったんだけど。
でも元々クラシックの音楽もそういうもんで、マイスタージンガーって呼ばれる、ラクダとかに乗って諸国を漫遊しながら、リュートっていうギターの前身楽器を持って歌を歌ってる人たちがルーツだったわけよ。それと宗教音楽っていう2本の柱があって。宗教音楽と世俗音楽っていうのがあって、世俗音楽っていうのがいわゆる「愛だの恋だの、景色だの」っていうのを歌にしてた。スナフキンだよな、ああいうような人たちのことをマイスタージンガーっていうのね。するとマイスタージンガーなわけじゃん、要はシンガーソングライターって。本当に今思ってる、自分の中で起こってることっていうのを自分の言葉にして演奏する。新鮮だよね。面白いなって思った。
で、結局まこっちゃんみたいなことを言うけどさ、誰に頼まれてやってるわけでもないんだから。だから自分が思ったことを歌にして、自分の好きなようにやって何が悪いんだこんちくしょうと(笑)思ってやってるので。それができるのが嬉しい。
——今の視点で考えると、昔作られた曲をやる(再現芸術=クラシック)のと、今自分が新しく作る(シンガーソングライター)って違いはあるけど、こっち(クラシック)も元を正せば、今ご自分がやってることと同じことなんですね。
そうそう。だから、うちの師匠はバリバリクラシックのバリトン歌手なんだけど、その人がある演奏会のとき、終わってから「一成さんちょっといいかい」って。怒られるのかなって思ってたらさ、「あんたさ、こっちの方(シンガーソングライター)をやるようになって、自分で歌変わったと思うかい?」「あ、変わりましたね。変わりましたよ、ずいぶん」って。
だから、同じ音でも言葉でも、自分で作り始まって歌うのと、今まで見たやつを違う世界から見れる視点っていうのが、できたような気がするんだよね。そしたら、さすがうちの師匠だなって思ったのは、なんかこの人感じたなっていう。「一成さん、歌い方変わったね」とか言われて、「ありがとうございます」。
——「歌い方」も変わったんですか?
変わったね、ずいぶん。ひとことで言えばね、今まで以上に言葉をものすごく大事にするようになったね。やっぱ伝わってなんぼじゃない。それはやっぱり考えるようになった。
——ましてや自分の内から出てる言葉だからっていうのもありますよね。
そういうのもありましたね。
今も学校の先生をしてたらありえない日常がある
——シンガーソングライター……ベーシストのキャリアから数え始まったらちょうど10年くらいじゃないですか。それをやってなかったときと、やっている今とを比べてみるとどうですか。
確実に言えるのは、今の方が幸せだよね。
学校の先生も面白い仕事だったよ。子どもの成長に……特に中学校だったから。中学校って、全てが変わるじゃん。子どもが大人の入り口に立ってて、それを育てるっていうのはものすごくやりがいのある仕事だったし、楽しかったけど……でもやっぱり、変わらないんだよね。毎年毎年同じ子ども……子どもは違うけど、やることがそんなに大きく変わるわけじゃないのに対して、今は毎日違うもんね。そして、人との出会いが多いこと多いこと。
どうせさ、もうそんなに、今まで生きてきた期間と同じ期間生きれるかどうかなんて、保証なんか何もないわけじゃない。僕53歳なので、ここからあと50年したら、100歳超えちゃうわけじゃん。ありえねえじゃん、そんなの。そしたらやっぱり、カウントダウンが見えてきたまでは言わないけど、やっぱり終わりが見えてきたなと。こうやって日々、いろんな出来事があって、いろんな人たちと触れ合いが持てる状況にいれるっていうのは、幸せ以外の何物でもない。
ツアーなんかすると、それは余計に思う。知らない場所に行ってさ、「どうも初めまして、kumajiroですー!」ってやって、お客さんがにこやかになってくれて、「kumaちゃん、またおいでよ」ってお世辞でも言ってもらえるのが嬉しいし。そういう、なんていったらいいのかな、今も学校の先生をしてたらありえない日常があるのよ。これはね、辞めて良かったなって(笑)。
もちろんね、お金になんか全然なんないし、ツアーになんか行ったって、お金の入ってくる保証なんかないから。車中泊でさ、車で行って、なるべく下道で行ってさ、そして30分の演奏して、帰ってくるわけじゃん。それがいわゆる普通の感覚でいったらば、「50代で何やってんだよ」って思う人もいるかもしれないけど、でもそれ以上に、「kumaちゃんが自分の街に来てくれた」なんてお世辞でも言ってもらえると、なんかもうめちゃくちゃ嬉しいな。
——学校の先生に限らず、普通にサラリーマンとかやってても、得がたい経験ですもんね。
ないでしょ。それがやっぱり嬉しいなって思うし、あんまり曲を作ったり作品を作るのに苦労っていうことは考えてないのね。なんでかって言ったら、本当に生まれ落ちてくるタイミングで、僕は家で録音してるし。この間も3月11日に、なんかしたいなって思って、シングルを自分で作って出したのさ。で、フロムミュージシャンズ(From "MUSICIANS" @ Fukushima)に、Juni.に頼んで、お金は売り上げ、この間のおと酔い(おと酔いウォーク)のときに渡して、「これでうまいことやって」って。
ああいうのだって、やっぱり今思ったからやってるだけで。そうやって自分が思ったことを、思ったときに思ったようにやって、それを良しとしてくれるお客さんが、まあ少ないけれども、いてくれる喜びっていうかね。「まあkumaさんは、こういうの好きだよねえ」って言ってくれるっていうのは、すごい嬉しいし、ありがたい。
——その人が好きで観に来てるっていうのも、絶対ありますよね。
うんうん。
——そして曲を作る中でも無理がないから。
そうなんですよ。頼まれて曲作ることってほとんどないからね。僕の場合ね。
——声楽の方のお仕事っていうのは今も?
しますよ。だから毎年ありがたいことに、仙台のオペラに客演で出させてもらってるので。今年も声がかかって、先週の土曜日が稽古初日。だからこれからは土日ほとんど仙台に行くわけですけど。
——結構お忙しいですね。
まあそうだね。楽しいからね。
——シンガーソングライターやられてても、そっちはそっちでまた楽しさが。
全っ然違うからねえ。でもやっぱり、さっきも言ったけどシンガーソングライターって一人で完結するじゃない。でもオペラって、一人で完結しないのよ。本当にいろんな人たちのパワーが集結されて作られるメディアなので、経験的には大きいよね。
——どっちも知ってるっていうのがなおさら。
そうなんですよね。
プロとアマチュアの決定的な違い
——県外の人たちと触れ合って、旅をしてる気分だったり、実際旅をされたりっていう話もされてましたけど、県内の人とか音楽っていうのは、どう映ってますか?
なんかね……福島って、たとえば弾き語りの人たちを見ると、いろんなご事情があるんだろうけど「もっと外に出たらいいのにな」って思うよね。それこそ今「内輪で」っていう話をしてたじゃん、それを感じるときがやっぱりあるんだよね。褒め合っちゃったりさ、「お前今日もよかったねえ」みたいな。
これ、弾き語りだけじゃなくてクラシックもそうなんだよ。結局、福島ってプロがいないから、みんなその他の生業を持って、楽しみのためにやってる人たちが多くて、それがずっと長く続いてるから。もちろんアマチュアでもすばらしいことやってらっしゃる方たくさんいらっしゃるし、すばらしいとは思うんだけど、でも……プロとアマチュアの決定的な違いっていうのがあって。なんだかわかる?
——プロとアマチュアの決定的な違い……いろいろあるとは思いますけど……生業になっているかどうかとか、お客さんに対してプロフェッショナルの責任を持ってるかどうか……それはどっちもか。……なんでしょう?
これね、俺も知らなくて。とある世界的に有名な指揮者が「一成くん、プロとアマチュアの決定的な違いって何だろうね?」。「わかりません」って言ったら、「自分のやりたいようにしかできないのがアマチュアなんだよ」「『こういう風にやってください』って言われたら、そういう風にできるのがプロなんだ」って。
——なるほどなるほど。
すごく、すとーんと(腑に)落ちて。確かに、僕らもオペラとか舞台をやるときに、自分がこういうふうに歌いたいなとか、こういうふうに演じたいなと思っても、指揮者とか演出家に「一成さん、そうじゃないから」「こういうふうにやってください」。「なんだこの野郎〜」と思っても、そういうふうにやるしかない。
——発注・納品のやりとりができるってことですね。
そうそうそう!「それができるのがプロなんだよ」って。だからそうやってじゃあ流されていいのかって、迎合をするのかっていったらそうじゃなくて、ちゃんとそこに行き着くまでにも、自分らしさっていうのを見失わないような強さがなきゃいけないので。
でもその福島界隈っていうか、その人たちの流れを見てると……もちろん上手だしすごい奴がいっぱいいるのはわかるんだけど、じゃあもっと外に出てね、違う空気を吸ったり(してはどうかと)。なんでこの同じ面々と何回もライブをやんのかとか。「終わった後ビール飲めればいいや」みたいなさ(笑)もちろん、楽しみ方は人それぞれでいいと思うんだけど、そういう奴に限って大層なこと言ったりしてるの見ると、「おめえはそうじゃねえだろう!」なんてね、思っちゃったりするときもある(笑)違うだろって。
でも、それこそお客さんがさ、そういうのも含めて「いい」って思ってれば、それはしょうがないからね。僕なんかやっぱり全然お客さん呼べないし、じゃあそれはそれでいいんじゃないって思いつつ。
だって旅する中で、大阪とか広島の人とかがみんな言うのは、「福島の弾き語りの人たちって多種多様ですよね」。だいたい、これだけ盛んにみんなやってれば、同じような流れの人がいてもいいんだけど、「みんな違うじゃないですか。aveにしたってまこっちゃんにしたって吉田(チキン)にしたってkumaさんだって……このたった4人挙げただけだって、全然みんな違うでしょ」って、「なんでそんなことになるんですか」って。「みんなわがままなんだよ」とかって(笑)「迎合するのが嫌いなんだよみんな」とか言って笑ってたけど。
無関心にさせないための努力
でももちろん、これまでずっと活動している弾き語りの人たち、(黒沢)アキトにしたってさ、(大槻)いくをくんにしたって、やっぱり立派っちゃ立派なんだよね。それぞれ自分の世界をきちんと持っている人たちがたくさんいらっしゃるわけじゃん。
——それは魅力ですよね。
魅力だよ〜。だから、「知らない」っていうのが僕はもどかしい。お客さんが、お客さんとなり得る人たちが、「うちらの街にはこんだけの面白い人たちがいるんだ」っていうことを、ほとんどの人が知らない、知られてない。もちろんほら、好き嫌いがあるからさ。「アキトはいいけど、イズ(ヒロキ)はなあ~」(笑)。
——はははは(笑)……笑っちゃいましたけど。
「♪頑張ろうぜ」じゃなくて、お前が頑張れよみたいな(笑)……っていうのがあって、僕は然るべきだと思うのね。
だからやっぱり、「知られてない」「知らない」っていうのを、まずは「知ってるよ」と。で、「私は好きじゃないけどね」(となればいいが、それ以前に関心を持たれていない現状、)この無関心こそが一番の罪だから、無関心にさせないための努力っていうのは、さっきも言ったけどムーブメントしかない。そのために、一般の人に知らしめる動きっていうのは、みんなで何かやらなかったら最初は絶対無理だなって。一人で何かやろう、一組で何かやろうなんてそれは無理だよ。
だから「郡山市音楽の日」とかに期待するのってそういうことで。あれだけの大きなやつになれば、取らぬ狸の皮算用かもしんないけど、例えばテレビで30分流すことも可能なわけじゃん。それをやらなくても、YouTubeでも展開することだって可能なわけじゃん。そういう活動を、個人でやるんじゃなくて団体としてやることで、知らないっていう人たちの知ってる割合を増やすことができる。そこから先は、好きが嫌いか分かれればいいんですよ。
——まず土俵に立って。
そうそうそう。だから今、土俵にも立ってないんだよ。で、みんなで「お客さん来ないよね、どうすっか、どうすっか」ってさ、業界の人たちだけで喋ってても……「知らんがな! そんなもん」と。そんなのマーケティングをさ、売れない業種同士で「どうしたらいいですかねえ」って言ってるのと一緒じゃん。そうじゃない、異業種の人たちといろんな話をして、どうするかっていうことを決めてかないと、どうにもなんないような気がするんだよねえ。
——本当にそうですね。
そんなことをやっぱり今は、すごく思ってます。
だって、自分がやってるから言うわけじゃねえけどさ、楽しいじゃん! ライブって。同じ曲を同じようにやったってさ、同じくなることなんかないし。自分が「すげえよかった」って思っても、お客さんに全然響いてなかったりとか。「今日最悪だったな」と思っても、お客さんは「すげえよかった」ってさ、CDも売れたりとかさ。「なんだ、この違いは?」。同じようにやってんのに、同じようにならない……そういうのをやっぱ体感してほしいよね。
——そうですよね。「生だからこその」っていう言い方は非常に月並みですけど、会場に来て感じるものっていうのは絶対そこでしか得られないですし。
そうね。だから、うちのかみさんなんかも、クラシックの人で、ライブ(ハウス)なんかほとんど来たことがなくて。僕がやるようになったらライブを観に来るようになったの。いやもう……すごい辛口ですよ(笑)僕に対してね。ピークでライブなんかやると、(奥様が)先に帰るじゃん。駐車場に行ってかみさんに電話するの。「今から帰るよー」。で、いいライブをしたときは「分かった、じゃあねー」。ダメなライブのときは、(ピーク)出てさ、着くまで30分くらい、ずっと説教されてっから(笑)電話で。「あの曲とあの曲の間のMC、なんであんなこと喋ったの」「いやあ、喋りたかったら……」「あれ、余計だね」「すいません……」(笑)。
——到着まで我慢できない(笑)。
(笑)そうそうそう、もうずーっと怒られて。「怖あ~」。でも、やっぱ「楽しかった」って。
2~3日前にも(奥様が)吉田のライブをピークに観に行って、「やっぱライブは良い!」なんつって。身近な人にそういうふうに言ってもらえるから、なんか僕としては嬉しい。僕のライブじゃなくても、その楽しみ方を自分で見つけ出して、彼女がそうやってやってる。そういう人が一人でも増えてくるといいなって。
——それ一番いいですね。
そうそう。
僕は「入り口の音楽家」でありたい
——結構、今後の課題にあたるような部分の話をお聞かせいただけたと思うんですけど、今kumajiroさん個人的に、やりたいこととか関心を持ってること、挑戦したいこととかがもしあれば。
僕はね、やっぱり今言った課題みたいなやつの、橋渡しをできる人間になりたいなって思うわけ。僕自身が何かをしたいんじゃなくて、僕はやっぱ最初に言ったように「みんなでやる」のが好きなんだよ。しかも僕、クラシックのときもそうなんだけど、僕は「入り口の音楽家」でありたいのね。
例えばオペラって、観たことないじゃん。でも「kumaさんがやってるからオペラ観てみようかな」とか。「ライブ行ったことないんだよな」っていうクラシックの人も、「あ、でも一成さんやってるから、ちょっと行ってみようか」「あ、こういうのが面白いんだ」。そういうその、ハブ化する動きをしたい。自分がハブになりたいの。
それが、年齢の若い人たちとかだと、勢いがあってもやり方が分からなかったりとか、どうすればいいかわかんないってうごめいてる奴らもいるかもしれない。そういう人たちに「こうすれば、ああすれば」っていったら「じゃあやってみようかな」と。「こういうことしてみたい」「こういう助成金あるぞ」とか。「協賛の集め方、教えてやっからよ」とか。そうやってこう、ハブ化するようなことを自分はしていきたいなと。あと13年? 65まで。
で、もちろん自分も、1年に1枚は必ずアルバムを出すっていう目標があるので。だから毎年1枚ずつ、そのときのkumajiroが思ったことを10曲にまとめて、録音して、世に出していく。だからあと13枚出せるので(笑)ふふふ。
あとは、本当にやりたい思いを持ってる人たちと一緒に、何かをやったり、お手伝いっていうとちょっとあれだけど、一緒にそうやって楽しいこと、できるようになればいいなあと思ってるね。
——もしかしたら、そういう存在が今、一番必要なのかもしれないですね。
うん。でもね、こんなこと言っときながらあれだけど、それには俺はもう年を取りすぎてんだよ。だから本当だったら、今30絡まりの連中がやるといいんだよ。それこそzanpanの出番だと思うぞ俺は(笑)。
——なるほど!(笑)今年30歳になります。
でしょ。だからやっぱね、zanpanくらいのキャリアだったりとか、知名度だったりとか、そういう人たちが「やるぞ」ってなったら、いいと思うんだよね。
正直さ、やっぱ20歳そこそこの人たちから見ればさ、もう俺なんておじいちゃんレベルじゃん。こんな若作りしたおじいちゃんが何言ったってなって思うけど。でも、何かもうワンクッションあって……例えばふっしーなりね、ながいせんせが、「kumajiroさんっていう人が色々知ってるよ」ってこう繋いでもらえて、俺が「じゃあ、こうでああで」って言えれば、すごく関わりが増えてくる。そういう位置づけになるのかなって思う。だから自分的にはやっぱり、そのハブ化する動きっていうのをしたいし。
あとやっぱり、クロスオーバーな活動を自分がしてるから、「ジャンルじゃねえ」と。まこっちゃんみたくなっちゃうけど、「響くか響かねえかくれえっていいんじゃねえの」って。だから、いいもんはいいし、ダメだなって思ったら追っかける必要もねえし。感じたままに音楽っていうものを楽しんでもらえるようになればいいなって。まあ、どうなるのかわかんないけど、ただチャンスはチャンスだからね。
今、みんな(コロナ明けから)動き始まってから、まもなく1年になって。この夏過ぎたくらいから多分ちょっと落ち着くだろうなと、いろんな意味で。
知ってるかもしれないけど、去年の5月以降ライブできる場所がどんどん減ってきているから。福島でも、全国でも……特にアコースティック系のハコが。それがなんでかっつったら結局、協力金がもらえなくなって運転資金が途絶えてしまったとか、そういう要因があるんじゃないかな。
——っていう話になっちゃいますよね。
そうそう。現にやっているところは、アイデアをきちんと持ってやっている。そう考えたときに、来年くらいになったらもっと落ち着くだろうなと。イベントも、今みんな「とりあえずやっとけ」だから。「今までできなかったから、やっとけやっとけ!」って。じゃあ、赤字になりました。それ補填どうするんですか。それで「無理だ」ってなれば、やれなくなるんですよ。それでもやるってことは、それはやっぱ相当きちんとした人たちがやってるから。そうなればまたちょっと変わっていくから、そこにこ~うやって入り込んでいかないと(笑)そんなことは思っています。
——楽しみにしています(笑)。一応、そんな感じで一通りにはなるんですけど、何かもし話そびれがあったら。
いや、もう随分喋っちゃったね。だいたい僕も一応、喋ることは書いてきたので(手元のiPadを見せてくださる)。
——わあ! ありがとうございます。
だいたい喋れました(笑)。
——(笑)よかったです。では、こんな感じで。ありがとうございました!