【前編】ライブハウスの楽しさと温かさを伝えたい。しなもんが繋ぐ"meet"の形
ライブハウスに行ってからですね、社交的になれたのは
——お生まれからずっと福島?
ちょっとややこしいんですけど、生まれた病院は郡山なんですけど、母と父の実家が福島市なので、一応福島市出身で、ずっと福島市で。
——子供の頃って、記憶に残ってるかどうかもあると思うんですけど、自分で振り返ってどんな子供でしたか?
えっと、一言で言うと、めちゃめちゃ恥ずかしがり屋でしたね。学校だと絶対喋んない子でした。自分でもなんで喋んないのかよく分かんないぐらい、もう恥ずかしくて、ずっと喋ってないような子でしたね。だからそんなに友達も多くなかったんですけど、でもやっぱり音楽きっかけで、クラスの人と仲良くなったっていうことは結構あって。私、小学校の頃からピアノ習ってて、歌はそんなにだったので、合唱コンクールの時にピアノの伴奏をやらせてもらったんですね。そしたら結構クラスのみんなから、その時期は結構、慕ってもらえることが多くて。それで「音楽っていいな」って思って、そうですね、吹奏楽部とかに入ったり。
あと、もともと私はずっとバンド(が好き)ってわけでもなくて、学生の頃はずっとアイドル大好きで。ジャニーズ大好きで。ジャニーズと、あとももクロとか、エビ中とか、そういうアイドル系が好きで、ずっと聴いてて。それきっかけで、っていうのもあれなんですけど、共演したアーティストの中で、なんかちょっといいなって思って、その流れでバンドにも(興味が湧く)っていうことが結構あって。で、そっからずっと……バンドばっかり聴いてちゃってましたね。子供の時はもう、もっぱらアイドルとかが好きでした。
——共通する友達とかが増えて、心を開くようになってったみたいな感じ?
そうですね。それはありますね。学生の頃はもうほぼほぼ、一人で黙々と何かやってるのが好きで。大人になってライブハウスに行ってからですね、社交的になれたのは。殻は破れたのかなという。それはもう企画やってから、さらにそうですね。企画やると、いろんな人とお話するのもあるし、あと顔合わせっていうのがあるじゃないですか。あれ毎回すごく緊張するんですけど(笑)なんかでも最近ちょっと慣れてきたかなという感じではあるんですけど。やっぱ、喋るのって大変ですよね。MCやってる人ってすごいなって思ってるんですよ。
——いや、でも今ラジオでだいぶ撮れ高もらえたと思ったけど(笑)。
うーん(笑)本当ですかね。そういうのは昔、本当に親にびっくりされるぐらい……今本当にだから「変わったね」っていう感じにはよく言われたりしますね。
——逆に今でもこれは変わんないな、みたいなところとかはあったり?
変わらないとこですか。うーん。変わったなって思いつつも、やっぱり最初話しかけるのは苦手ですね。話せてしまえば(その先は)大丈夫なんですけど、話しかけるまでがちょっと「うっ」ってなるのは未だに変わってないですね。共演(企画に出演)したバンドの人でも、やっぱりまだ話したことないっていう人結構多いんですね。「ボーカルさんとは話したことあるけど、その他の人とは……」みたいなバンドも結構いらっしゃるので、やっぱそういう人に話しかけるときはちょっと緊張しますね。でも一応フラットに、こう、緊張を見せないように話しかけるのはちょっと頑張ってます。
——aureliaはみんな仲良くなった?
aureliaはめっちゃ仲良いです。
——あははは。
本当に。aureliaは結構何でも話しますね。ライブもよく観に行くんですけど、はまのさんは結構イベントのことをよくわかってくださって。最初にmeetをやるって決めたときに、やっぱりはまのさんに「〜月に郡山でイベントやるのでもう絶対、あの、呼んでもいいですか」みたいな感じの(笑)メッセージを送って、「絶対出る」って言ってもらって、そこからイベント通じてaureliaは仲良くなりましたね。
——郡山ほんと大好きだしね。
ねえ、大好きですね。びっくりするぐらい、私もそこに感動しちゃって、「ああ、また呼ばなきゃ」と思って。なかなか来る機会も……それまであんまりPEAK ACTIONに来る機会もなかったと思うので、やっぱり「しなもんちゃんのおかげで郡山来れてるんだ」って言ってもらえることは、すごいありがたいなって思います。
ドラムの堀さんともイベントの話めちゃめちゃするんですけど、結構アイデア豊富で、めっちゃアドバイスもらうんですよ。「これやったら面白いんじゃない?」っていう話よくもらって、「ああじゃあそれ盗みます」って言って(笑)結構盗ませてもらったりとかしますね。イベントを客観的によく見てくださってる人だなっていう感じがありますね。ベースのたくみさんも結構……meetやるまで本当に喋れたことなかったんですけど、すごい優しい人だなって思って。イベントも、もう3人一致団結で、「この日やります」って言ったら、「ああじゃあ出るね!」みたいな感じで、meetに関しては結構、協力してくださったりとか。meetをやるきっかけ、最初の一つの要因にもなったので、すごいお世話になってますね。
——4回連続出てるぐらいだしねえ。
そうですね。めっちゃお世話になってます。
一回一回、ちゃんと芯を持ってライブに取り組んでるなって
——ちなみにその、幼い頃、アイドルすごく好きだったっていう話だったんですけど、その他に何か興味持ってたこととかは?
何だろう。音楽、アイドル以外だと……え、何だろう。音楽ばっかりだったかもしれないですね。……あ、なんかごめんなさい、この話したら笑われそうなんですけど、子供の時からサンリオのシナモンめっちゃ好きなんですよ。それきっかけでしなもんって名乗らせてもらってるんですけど。ずっと好きですね、ちっちゃい頃、幼稚園ぐらいの時からずっと好きで、ずっと一緒にいますね。ぬいぐるみとかも好きだし、グッズとかも買って、鞄に忍ばせたりとかしてますし。それと私の本名(の表記)がひらがななんですよ。漢字とかじゃなくてひらがななので、「しなもん」ってひらがなにしてますね。深い理由はないんですけど、シナモンが好きだからっていう理由です。
——本当にじゃあ興味で言ったら音楽、アイドルに夢中で。
そうですね。本当に思いつかなかったです、今びっくりしちゃいました。
——現場とかも行ってたり?
ジャニーズは行ってますね、今でも。結構狭き門ですけど、当たったら行きますね。やっぱり、規模がでかいじゃないですか、ジャニーズのライブって。天井席だったらあんな米粒の存在でも、すごいキラキラして見えるじゃないですか。すごくパワーをもらえるから、どこの席に当たっても「行ってよかったな」っていつも思いますし、そういうパワーを持ってる人たちって、本当にすごいなって思います。やっぱりライブの存在に私は結構、生かされてる感じがしますね。
——大きい小さい関係なく……それならではのことはあるだろうけど。「音楽が」っていうよりは、なんだろう、エンタテインメントとして好きだったところからのスタートなのかな。
そう、最初は普通にかっこいいなって思ってハマったんですけど……私、関ジャニ∞が好きなんですけど、何でもできる人たちじゃないですか。バンドもやるし、バラエティもやるし、アイドルもやるし、何でもできるからすごいなって思って。そこに感動して、そこから応援し始めたっていうか、追い始めたっていうか、ですね。やっぱり、バンドの皆さんもそうだと思うんですけど。地元で活躍してるバンドの人って、やっぱりライブが軸にあると思うんですけど、なんていうんだろう、ライブ一つ一つに妥協しないというか。何回やってても、一回一回、ちゃんと芯を持ってライブに取り組んでるなっていうのがすごい伝わるから、そこにいつも力をもらいます。
——岩手で、バンド1年目か2年目くらいの時に、ライブハウスの人と打ち上げご一緒させてもらった時に、「そのライブが人生最後のライブだと思って常にやってね」って言われたことがあって。みんな割と、その言葉のまんまじゃないにしても、それに近いことを考えてやってるのかもしれないね。
そうですね。確かに。ライブって生ものだから、1回1回……その1回に携わってもらっているのは、すごくありがたいことだなって思いますし、お誘いしても、絶対に出てくれるとは限らない。いろんな事情があるのは分かってるんですけど、私が「これをやりたいです」ってバンド側にお話しして、それに時間を割いて準備してくれたりとか、スタジオに入ってセトリ決めてくれたりとか、当日、県外から県またいで来てくれて、ライブしてくれたりとか。自分がやりたいって思うことに全力で臨んでくれる存在って、すごくありがたいんですよ、イベンターとしては。だからその1回1回に、私たちイベンターも全力で挑まないと失礼だなって思っているので、ライブハウスに遊びに行って、ライブを見ても、そういう視点で見ていますね。1回1回の姿勢っていうのは、ちょっと見てしまいますね。
——引き締まりますな……。
イベンター始める前とは、本当に視点が変わったなって思いました。
——見せる人たちの真髄みたいなものを……アイドルとかから、もしかしたら原体験的な部分があったのかもしれないね。
そうですね。近いところは、もしかしたらあったかもしれない。
生活の一部に、その音楽が加わってくれてたらいいな
——そこからの流れというか、関連して、バンドの音楽とかに興味が。
そうですね。関ジャニが仲良いシンガーソングライターさんというので、高橋優さんを聴き始めたんですよね。聴いてて、高橋優さんがフェスとかも出るから、そこでバンドの人とも共演して。そこで、グッドモーニングアメリカを観たんですよ。それで、「なんだろう、このバンド」って思って。メンバーさん、見た目にインパクトあるじゃないですか。個性的じゃないですか。それで聞いてみたら、すごく好きになって、「ライブハウス行ってみたいかも」と思って興味が湧いて。行く前に、共演するバンドさん知らないから、聞いてみようと思って聞いたんですね。その時共演してたのが、仙台のアンテナと、MAGIC OF LiFEと、ハルカミライ。4組出てて、アンテナの存在を知って、地元の枠みたいなの(が設けられていること)を知って、そのアンテナの音楽もすごく良かったから、聞いていくうちに、アンテナのライブにも行くようになったんですけど。仙台にも足を運ぶようになって……それまでほぼほぼ仙台に行ったことなかったんですけど、それからどんどん。地元のバンドも色々知っていって、「こういうバンドもいるんだ、こういうバンドもいるんだ」ってなって、じゃあ福島もどんな感じなんだろうってなって、アウトラインとか、ピークアクションとか行って。地元密着で頑張ってるバンドっているんだってなって、ハマったのがきっかけでもありましたね、イベントをやる。
で、そこから、ラジオでも話しましたけど、つぐみさんっていう福島のイベンターさんのイベントに行く機会があって、「一人でイベントって作れるんだ」って知って。それ知った時に、「ちょっと私もやってみたいかも」って思って、でも「やってみたいかも」って言ってすぐできるものでもないじゃないですか、結構大きなことではあるので。なのでやるまでにめちゃめちゃ時間かかりましたね。2年くらいかかったかも、実行するのに。やりたいけどなぁ、どうすればいいんだろうなって、ずっと何年も何年も思ってた時に、たまたま、ソライロブランケットのワンマンを観に行ったんですね。その時に、すごい背中を押してもらって、私もやりたいことをどんどんやっていこうと思って。そこから、つぐみさんに相談して、「イベントやってみたいんですけど、どうやったらいいんですかね」っていう話をさせてもらって、1回目の「ひなたぼっこ」っていう企画、1回で終わっちゃったんですけど、それを実行してって感じでしたね。
——有名なバンドを観に来ても、そこから地元バンドとかに目が向く人も、向かない人もいるから……とってもほっこりしました(笑)。こういう人がいてくれるのがありがたいなって。
(笑)ありがとうございます。大きなバンドのオープニングアクトとか、こういうことで見る機会って、そんなにないじゃないですか意外と。そんなにないから、いい機会だったなって今としては思いますね。なかなかやっぱり、「このバンドを目当てで来てたから」って言うので、他のバンドに目が行くことってあんまり……「このバンドが楽しみで来たんだ」って言う人も、結構いると思うんで。その中でやっぱ、そこで出てるバンドに出会ってほしいって、結構思ってる人も少なくはないと思うんですよね。私も同じで、イベントに来てくれた人が、例えば一つのバンドを見に来たけど、その中で、「このバンドもいいじゃん」ってなって、聞いて、生活の一部に、その音楽が加わってくれてたらいいなって思いますね。
——どうしても目当てのバンドを観たら帰っちゃうとか、その時ぐらいに来るとかっていうのも……それはそれで楽しみ方ではあるけど。できれば、せっかくだったら出会って欲しいっていうのを、形にしているんだね。
そうですね。オープンから来ていただきたい、って思いますね。私も結構、オープンから来て、最初から最後まで見させてもらうんですけど、やっぱりそのイベントの、なんでこのバンドが最初で、なんでこのバンドが最後なのかっていう流れとか、このバンドが何を伝えたくて、このセトリにしてるとか、絶対あると思うんですよね、意味が。そこもちゃんと見てもらいたいし、私も結構そこを重点的に、やっぱりライブ見ちゃうんで。やっぱり、意味があってのこの順番だったり、このバンドを呼んだっていうのもあるので、やっぱ最初から見てもらいたいなっていう気持ちは強いですね。
——この流れの中で、この人たちが一番最初にいれば、絶対いい雰囲気作ってくれるとか、そっからの流れ、ここの相性きっといいとか、このバンドがトリだったら、絶対有終の美で終われるよね、とか。
ありますね。そう考えた流れで見てもらうのが理想ですね。
——イベント全体が、一個の作品じゃないけど、フライヤーにキュッとなってる、こういう額縁みたいな、見え方もしてくる。
そうですね。やっぱイベント始まる前と、あと解禁してから、終わった後だとやっぱフライヤーの見え方も全然違うなって思って。なんか、より輝いてみますね、終わった後の方が。
——このライブの温度が生まれるのはどうしても、当日のオープン後からになってくるもんね。
そうですね。あとリハとか見て、今日の雰囲気やっとつかめる、みたいなのがありますね。
このイベントでしかない体験を作ってもらえたり、それをお客さんが体感してもらえたり
——演者さん同士の関係性とかもあるだろうしね。
そうですね。やっぱり私も、初めての組み合わせとかあったりすると、「え、どんな感じになるんだろう」とか思うんですけど、やっぱりでも、共演がきっかけで仲良くなってる方とかもいらっしゃるので、「このバンドと対バンできて嬉しい」って言ってくれる演者さんもいたので、やっぱりそういうの嬉しいなと思いますね。
——それこそ、3回目(永井も観客として遊びに行っていた)。RETELOのお三人とか、あおさんとかは、初めましてだったから、これきっかけで初めて挨拶できて嬉しかった。
そうですよね。やっぱりVol.3は、4組中3組が仙台の方だったので、本当に異色だったと思うんですよ。結構はまのさんにも言われてたんですけど、こんなことはないですよね。でもだからこそ、なんて言うんでしょう。なかなか見ない組み合わせだからこそ、興味湧いてくれる人もいるのかなとか。あげん(さとうしょう/TripDays)も、地元の枠として出てくれて。それがきっかけで、仙台のお三方に出会ってくれたらいいなっていう、化学反応を期待しての、このブッキングでしたね。
——meetの名前通りの。
本当そうですね。結構、各回ごとに、いろんな出会い方を、いろんな人に、違う出会い方を重視してやってはいたんですけど、この日(Vol.1)なんかは、仙台、福島市、郡山市、っていうのを重点的に置いて組んでみました。
郡山で、地元で、リュックサックス。リュックサックスは、なんていうんだろう、マイペースに活動をなさっているバンドなので、なかなかピークアクションで観られる機会もなかったですし。福島市と郡山市って結構、接点ある人はあるけど、ない人も結構いらっしゃるから、その繋がりも作りたいなって思いつつの、この二組の組み合わせ。あと、仙台からaureliaっていう感じですね。仙台のバンドは、絶対に私が、一組は呼びたいって思ってはいたので。
こっち(Vol.2)は、aureliaがまた出てくれるっていうのと、バタママ(バターマーマレード)ですね。バタママは、もうこの時点で東京が拠点になってたので、その時に、ボーカルの安達さんも言ってたんですけど、馴染みはあるけど、久しぶりだったんですよ。なかなか共演もそこまで、バターマーマレードになってからはなかった組み合わせだったので、そういう意味合いでmeetさせてもらったって言ってくれたので、よかったなっていうのと。
——甲斐があるねえ。
そうですね。それが嬉しいですね。やっぱり、私が提案してるmeetと、お客さんとか演者さんが体感してるmeetって結構違くて、聞いてみると面白かったりするんですね。久しぶりの人に出会えたとか、このバンド久しぶりに見れた、みたいなのとかもありましたし、このバンドよかったってCD買ってくれた友達とかもいたので、毎回meetしてくれる人がいるのは、すごいありがたいなって思いますね。
——ラジオでも似たようなこと言ってしまったけど、同じバンドでも、時間が経てば変化して、以前とはまたいい意味で別のバンドだったりもするから、またそこで新鮮なmeetがあるだろうし。
そうですね。やっぱり、「知ってたけど、こんなところもあったんだ」みたいなところもあって。新鮮さは各々、出てて欲しいなって思いますね。
——お客さんからも感想もらえたりする?
そうですね。「この時の、この曲の時よかったよね」みたいな話とか。あと、aurelia毎回出てくれるんですけど、meetでしかやらない曲とかもあったりしてたんですよ。meetって、最初の3回はロングセットだったんですよ。なのでここでしかやらない、すごく長い曲をやったりとかもしてて、なんかそれはmeetならではだよね、とか言ってもらえたりしたのは嬉しかったなって思いますね。このイベントでしかない体験を作ってもらえたり、それをお客さんが体感してもらえたりしてるのはめちゃめちゃ嬉しかったですね。