<映画感想>Da 5 Bloods
どうも、
ノミが白昼夢をみた、です。
昨日ネットフリックスで公開されたアメリカ映画『Da 5 Bloods』を見ました。
スパイク・リー監督のアメリカとベトナムのコラボ作品です。
そして、少しフランス要素も入っていて、なんとジャン・レノが登場します。
黒人とアジア人のコラボで好きなのは『ラッシュ・アワー』ですが、
黒人がアジアに行くという設定は珍しいのではないでしょうか。
最新のもので思い出せるのが2010年の『ベスト・キッド』ぐらいです。
映画はベトナム戦争で戦った5人の退役軍人の話で、2時間半と少し長くなっています。
スパイク・リーは前々から戦争映画に黒人の描写が欠けていることを批判していましたが、
実際にこうして自分で作って見せるとは、驚かされました。
本題の映画ですが、とにかく目を離せません。
というのも、面白いというのは当然ありますが、記号に満ち溢れています。
メッセージ性が高いです。そして、監督はそれを隠していません。
監督の意見が丸出しで、彼の立場が鮮明に描写されています。
スパイク・リーの作品である以上、コメディ要素が期待されますが、
今回に限っては映画はエンターテイメントよりステートメントを重視しています。
普段、2時間以上の映画であれば少しスキップするところですが、監督のメッセージを逃してしまうのが惜しくて、スキップできません。
アメリカにおける黒人の歴史、黒人G.I.、戦争の影響を全て黒人の視点から語っています。現地人の声も含めていて、新鮮です。
何がいいかって、黒人G.I.に同情的であると同時に、彼らの醜い部分を隠さないのがすごい。
主人公の一人にポールという男性がいますが、彼は戦争の影響によって生まれたキャラクターのように思えます。同時にポールは映画の目玉の一つで、彼の演技には圧倒されます。じっとしていられないような演出があります。
一見、ポールは一方的で身勝手な口調だが、彼もまた戦争に囚われていることがわかるんですね。
ポールが最初にかぶっている帽子が面白い注目点で、帽子を追ってみてください。
政治性が露わになります。
その帽子は最終的にジャン・レノがかぶりますが、帽子をかぶったジャン・レノが「ある人」に似ていて、びっくりです。
「銃」も注目点ですが、帽子と銃、この2つは一体どういう意味合いなのでしょうかね。いろいろ考えさせられます。
おそらく、この映画は無数の解釈ができて、意味が与えられていないものが見つけにくい映画です。
テーマとしては、仲間意識、金の力、許し、家族、そして兄弟愛と、非常に熱いです。
黒人だけでなく、人類共通に言及できる内容です。
さらに、ベトナム戦争だけでなく、今日世界の注目を集めているBlack Lives Matter運動にも言及しており、教育的な側面も含めています。
ベトナム戦争とBLM運動に関するスパイク・リー独自の考察が提供されており、
映画によってこれらのテーマに関する観客の興味と理解が促進されることが期待できます。
プロットですが、「あーなるだろうな」と予測していても、いざその場面に到着すると、驚かされます。
なので、長いですが飽きることなく視聴できます。
一つ不満があるとしたら、豪華キャストでありながら、全体的なキャラ設定が甘かったように感じます。
なので、一番設定が効いているポールがずば抜けて目立つのですが、
メッセージ性を優先した結果、犠牲になったと捉えるべきですね。
総合的に見ると、『Da 5 Bloods』は、非常に今を意識した、スマートで、なによりも監督の情熱が伝わる作品となっております。
見て損することは、まず、ないですね。私は楽しめました。