境界性パーソナリティ障害の人が専門家と関わっていく注意点
前回は、境界性パーソナリティ障害から当事者の方を改善に向けて導いていく指導者側に必要な資質について書きました。
今回は、クライアントさんの心構えです。
まだ自分が何が何だか解らない時や、境界性パーソナリティ障害の人格にドップリ浸かっていたら難しいですが、必要不可欠なので、是非、胸に刻んで下さい。
前回も書きましたが、
『自分と専門家は、共にプロジェクトを成し遂げていく間柄』
という気持ちです。
多くのパーソナリティ障害は、物事について、
・ オール オア ナッシング
・ 0・100の判断
という人格/症状です。
境界性パーソナリティ障害もですね。
例えば1分前まで、好意的だったのに、何か1つ起こって好意とは真逆になってまいます。
その為、カウンセラーなど専門家の言動に両極端な印象を持ちます。
天国の様なプラスの感情と気持ちは、
・ 救世主
・ 運命の人
・ 史上最高の人
・ 唯一無二の人
・ 神様や天使の様な人
・ 私だけを見てくれる人
この世の終わり、最悪最低級のマイナスの感情と気持ちは、
・ 敵
・ 悪魔
・ 侮蔑
・ 不信感
・ 裏切り
・ 最低最悪
・ くそくらえ
・ 見捨てられた
こんな気持ちの急激なアップダウンがあります。
その激しさは、
上から飛び降りるバンジージャンプ
下から飛び上がる逆バンジージャンプ
という2つを一度に出来る様な感じです。
僕にとって最初の心の指導者だった大恩あるヨガの院長に対して、この強烈な気持ちのアップダウンが起こりました。
例えば、院長を侮蔑する気持ちになった時、電話で長時間延々と罵っていました。
たいていは、養育者からの愛情の欠如、不足が原因です。
ですから、パーソナリティ障害を克服していく道は、人間を信じ直す、人と繋がり直す訓練と言えるのです。
人というのは、自分自身と他人の両方です。
自分自身との繋がり直し
他人との繋がり直し
繋がり直しの練習なので、その導き手を信じなくてはなりません。
中には、ハズレの指導者もいます。
自分の症状が過激に出すぎて、指導者自身の安全の為に、指導者との関係が終わる時もあります。
そうならない為にも、たとえハズレの指導者に当たってしまったと思っても、良くなる機会を自分で壊さない自分を育てる為に、上に書いた様な強烈な他人への判断を下す症状を持っている事を、いつも胸に刻み直して下さい。
練習という事は、指導者とのワーク以外の生活の場では、本番のテストになります。
生活で出会う人達と共に関わって生きていく事を克服途中でもやっていかなければならなりません。
だって、生きていくのだから。
なのに、専門家を信じ、繋がろうとしなければ、共に歩んで行こうとしなければ、元もこもありませんよね。
ですから、『ハズレを引く事』も、訓練の1つとする事に直面しても、実際問題、乗り越えなきゃいけません。
ハズレを引きたくはないけれど、指導者がハズレじゃなくて、自分の症状がそうさせる、そう思わせる事だってあります。
症状のせいで仲違いする事もあります。
なので、自分が思う
・ ハズレだっても、
・ ハズレじゃなくても、
その傷付きを
・ 癒して
・ 糧にして
また前に進みます。
そういう意味で専門家とのやり取りは、
『人間関係の訓練/模擬戦』
ですね。
だからこそ、
『専門家は、自己改革プロジェクトを共に歩む同志、練習相手』
としての心構えが常に必要です。
僕自身、専門家とガチで
・言い合いをしたり、
・僕から相手を罵ったり、
しました。
そして、真夜中にメールするなど、ご迷惑をこかけしました。
今なら、完全に症状だったと分かります。
とても辛く苦労し、
「何でこんな目に遭わなアカンねん」
と、うちひしがれました。
専門家とのやり取りでうちひしがれたとしても、日頃の生活では、困難・絶望・失敗にぶち当たり続けます。
なので専門家とのやり取りは、
関係を自分から築く、
傷付いた時には癒し勇気づけて貰う、
人間関係の訓練の場として使う、
今までとは違う考え方、知恵、知識を授けて貰い、また社会に飛び出していく、
というプロセスを繰り返しながら、境界性パーソナリティ障害を乗り越えていきます。
ここまで読んでお気付きの方はいらっしゃると思いますが、『親子関係』と、同じです。
人間関係の絆や愛の一番の基礎となる養育者との関係を、専門家とやり直しすプロセスが、境界性パーソナリティ障害を改善していく一番の土台になります。
だから、信じて繋がって共に歩む覚悟を、今は成長して子供に戻れない当事者ご自身が決断して実行します。
一番注意して胸に刻み込んでおかなければならない事は、
「専門家は、理想や憧れの人、神様や天使の様な人ではない」
という事です。
そして、依存していないかにも注意して下さい。
依存的になってきたら、専門家が注意を促す時もあります。
僕も真夜中にメールしたりなど、やりました。
でも、専門家は、
・ 知識、経験、技術を持っています。
・ 関係の線引きをできます。
なので、普通の人達より、お互いの関係を見直して、取り組み直しやすいです。
この、人との関わり方に取り組み続ける事が、「絆の病」と言われる境界性パーソナリティ障害や愛着障害のメインです。
怖い気持ちは分かります。
でも、その心の内を、相手に分かる様にまとめて伝える事こそが、症状を見て変えていく為に必要な作業です。
その作業を含めて、対人関係のやり直しを、試行錯誤できる専門家と一緒にしていき、症状を克復していって下さい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?