『月の満ち欠け』読了。
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月のように。
いちど欠けた月が
もういちど満ちるように
そして、あなたの前に現れる。
『月の満ち欠け』 佐藤正午
会いたい人と、もういちど会いたい
繰り返される不慮の出来事で遂げられぬ思い
再会を願い何度も生まれかわる少女、瑠璃。
瑠璃(たち)とその家族の人生が多層的に交差しながら物語は展開されていきます。
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人は愛する人を失ったあと、その欠落を欠けている状態として認めた日常に戻っていく。どんなにあがいても、取り戻せない過去の日々。
でも、流れはじめた日常に「生まれかわり」を語る人が現れ、示唆する出来事が起こったら?
そんなはずがない
あり得ない
信じることが出来ない
そう思う心の片隅に、でも、もしかしたら、という小さな棘が刺さってしまう。振り払っても脳裏をかすめる、0.001%の可能性。
それを完全なゼロに出来る、意思の強い人などいるのだろうか?
誰もが持つ心の弱さ、きっと自分も引き込まれてしまうであろう闇と病み。そんな景色をこわごわと感じなから読み進んでいった。
頼りない細い崖沿いの道を足元を見ながら歩いたあと、急にひらけた場所に出ます。
そこに、光が射し、遠景が見える。
そんな最後でした。
希望と期待は、似ているけれど違う
希望を無くしたら、進むことが出来ない
期待を持たされると
心の弱く湿った柔らかい場所に戻ってしまう。
それを弱点と呼ぶのであれば
弱点だらけの私です。