アプリ離婚時代
※少しブラックなショートショートです。
2020年の新型コロナウイルスの流行で、世の中の働き方が変化した。
リモート会議、在宅ワークが推奨され、出張もしない勤務形態が、ニュースタンダードと言われるようになり定着した。
街中の人口密度は低くなり、家中の密度があがり、夫婦で過ごす時間が増えた。
その結果、離婚率が急上昇してしまったのである。
2030年、ニホンでは2組に1組が離婚の危機にあり、50%の確率で家庭内冷戦が起きている。
家庭裁判所は常に離婚調停待ちの案件が長い長い順番待ちをしており、そのせいでその他の民事裁判の遅れにも多大な影響を及ぼしている。
司法省はこの渋滞現象を解消するべく、新しいアプリの導入を推進するという施策を発表した。
夫婦のすれ違いを客観的に評価できるアプリである。
アプリは名付けて『ソコビエちゃん』
ソコビエちゃんには、夫婦の勤務形態や職場での労働時間、年収、家事労働時間や内容、子供への関与の程度等が入力され、その人の、家庭を支える貢献度を客観的に評価する仕組みになっている。
その他の大きな特徴として「思いやり欠如ポイント」なるものがあり思いやりに欠如した言動をとると、ポイントが自動加算される。
我が家でもさっそく、アプリを導入してみた。
朝起きたら、夜中にテレビを見ていた時のコップとスナックの袋が置きっぱなしだった。
オットにポイントが加算された
夕ごはん何を食べたいかと聞いたら、何でもいいよと回答した。
オットにポイントが加算された
仕事に出かけるワタシに向かって、今日の昼メシなに?と言った。
オットにポイントが加算された
仕事に出かけるワタシに向かって俺のカロヤンジェットがもう無いよと言うなやハゲてまえ
オットにポイントが加算された
冷蔵庫に作り置きの煮物があるのをスルーして、お昼ごはん用にハンバーガーとタコ焼きを買ってきた。
オットにポイントが加算された
ポケットにティッシュが入れっぱなしだった。そのまま洗濯してしまって全ての洗濯物にティッシュ屑がつく
オットにポイントが加算された
コンビニで自分の分だけ「春の彩りいちごパフェ」を買ってきた。
オットに3ポイント加算された
3日目の朝、
オットのスマホから、ファンファーレが流れた。