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河津桜とオールドレンズ

夕刻のお写んぽ中、公園沿いの小道を歩いていたら公園の中に1本だけ河津桜があるのを見かけた。いい被写体を見つけると、考えるよりさきに足が動いてしまうらしい。気がつくと桜のそばでカメラをかまえていた。

持っていたカメラは Canon の EOS R6。さきっちょには PENTAX Super Takumar 55mm F1.8 がついている。定番中の定番、みんな大好きなオールドレンズだ。

1/2000 F1.8 ISO-100
1/4000 F1.8 ISO-100

ピントを合わせてパシャパシャパシャ。

このレンズの「後期型」には、放射性物質を使用したトリウムレンズ  別名「アトムレンズ」が使われている。そのため経年劣化によって黄変したレンズが多く、写りがどうしても黄色っぽくなってしまう。
もっとも、デジタルカメラにつけて使う場合は、ホワイトバランスを調整すればその黄色は軽減できるし、オールドレンズらしいノスタルジックさを味わおうと思えば、あえて黄色いまま撮影してもいいだろう。要は使い方しだいだ。

ちなみに、私が現在持っているのは「前期型」なのでほぼ無色透明。ノスタルジアは楽しめない。後期型は、フィルムカメラでも使うからと前期型を買ったときに売りはらった。買ったときよりいい値段で売れた。

Super Takumar 55mm F1.8 が定番と称される所以ゆえんは、虹色のゴーストがお祭りのように出ることだろう。絞れば絞ったでシャープな写りになるのだけど、オールドレンズらしさはなくなるのでそのぶん面白みは少ない。

マニュアルレンズだからピントは手動である。
けれど、そこはまったく気にならない。通常のレンズでもマニュアルで使っているし、Mモード以外で一眼カメラを操作することは滅多にない。

1/1000 F1.8 ISO-100
1/1250 F1.8 ISO-100

さくさくとピントを合わせてパシャパシャパシャ。

レンズの最短撮影距離は 45cm だけど、M42 マウント→ L/M マウント → ヘリコイド付き EOS R マウントという変則的な変換をしているので、マウントについているヘリコイドを操作すればもっと寄ることができる。

光の向きを考えてパシャパシャパシャ。

1/1250 F1.8 ISO-100
1/1250 F1.8 ISO-100

かがんだり背伸びをしたり、木の下にもぐったりしながらパシャパシャパシャ。他の人が見たら不審者としか思えないだろう。

  ねえママ、あの人何をしているの?」
「見るんじゃありません」

近くの砂場で遊んでいる母子おやこ連れの、ほのぼのとした会話が聞こえてきそうである。いいコだね。りっぱな大人になるんだよ。

ゴーストをだそうと思えば、やはり夕刻がいちばんいい。太陽が低い位置にあるからレンズに影響を与えやすいのだ。

1/1000 F1.8 ISO-100
1/400 F1.8 ISO-100

葉の茂った木を背景にすれば玉ボケのオンパレードにもなる。

よし、つぎはあっちの向きから撮ろう。
枝にあたって折らないように万全の注意をはらって移動。ファインダーを覗いて構図を決め  たところで電池が切れた。

うん、まあ、こういうコトもあるよね。

慌てず騒がずゆっくりと、上着のポケットから RICOH の GRIIIx を取り出す。

RICOH GRIIIx 1/100 F2.8 ISO-250
RICOH GRIIIx 1/100 F2.8 ISO-320

だいぶ、陽が落ちてきた。

さあ帰ろう。

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