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拡張と感謝 | なかむらしんたろう

なかむらしんたろう
デザイン会社(SCHEMA,inc.)で営業・企画・ディレクターとして働く傍ら、数多くのメディアで撮影を担当。ポートレートをメインに暗躍中。主な謎活動としては「なかむらしんたろうを拡張する展示」の開催、松屋SNSコンテンツ企画など。

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ようこそ、なかむらしんたろうさん。

なかむらしんたろう(なかむら):今は「SCHEMA,INC」というデザイン会社に所属していて、そこでは基本的にウェブデザインの仕事やその周りの企画提案が多い会社です。なので、社内にデザイナーも居ればコーダーも居れば、ほぼほぼうちっぽいコーディングやってる人とかデザインをやっている人が多くて、その人たちにお願いをしながら仕事をしています。

ーディレクターということですか?

なかむら:ポジションとしては完全にディレクターです。営業企画兼ディレクターみたいな。結局小さい会社なので、お客さんの対応から最後のアウトプットの管理まで全部やることが多いです。それがメインの仕事です。

ー一方外では写真家ですか?

なかむら:ではなくて...

ーフォトグラファーですか?

なかむら:自分でフォトグラファーとも写真家とも言ったことがなくて...周りに素晴らしい写真家とかフォトグラファーが多いから、申し訳ないのでたまに写真撮ってる人ですって言ってます(笑)

ー確かに多いですもんね...!

なかむら:やり方的には写真家とかそっち側なんですよね。自分が撮りたいと思うものを撮って、それに合うなって思った方が依頼してくださるから、物撮りとかがっつり求められる時は別のフォトグラファーの方にお願いしています(笑)


ー会社の写真も自分で撮ることはある?

なかむら:あります。依頼された時に自分では撮れないなって思ったら、すぐに自分の頭の中にいるフォトグラファーの方々に、これはこの人の方が向いているなみたいな感じでお願いをしてます。完全にディレクターになるってことが多いかな。

ー日常の中で会社員としての自分と写真を撮っている自分は◯:◯ですか?

なかむら:9:1くらい!写真を撮ることがほぼ営業活動としても認められたので、撮影現場での雑談の中でウェブ案件があると会社に還元するようにしています。

ーなるほど...!そのような依頼は結構来るんですね。

なかむら:雑談をしている時に「サイトデザイン困ってて...」となったら、じゃあそれもやりましょうかって感じで提案すると割と次にも繋がるから、営業活動として認めてもらえるんです。

ーとても良いですね。

なかむら:なので、会社では受けられないような小さいものも休日や終業後とか別の時間でこなして増やしていこうって思っていたら、結構SNSコンテンツとかの企画を依頼されるようになりました。まさに松屋さんがそうですし、SUUMOさんも一時期そうでしたね。今はカインズさんとかでもコンテンツ制作の企画ディレクターをやらせてもらってます。


新卒入社は愛知県で、人事職。

なかむら:今は会社を辞める必要はないから、会社を辞める時はステップアップする時だなあって思ってます。

ー会社は現在何年目ですか?

なかむら:会社は5年目です。

ー新卒ですか?

なかむら:新卒ではないんです。

ーそうなんですね!では、どういうルートでここまで来たのかお聞きしたいです。

なかむら:何でここにいるか分からないですもんね(笑)1989年生まれで、年齢は今年32歳。愛知県出身で大学は名古屋。

ーへぇ、じゃあ大学までずっと地元に居たんですね!

なかむら:そうなんです。ずっと地元で、そっから5年間もずっと地元で会社員やってました。実は、新卒入社でトヨタ系のお堅い会社で働いてました。

そこで人事をずっとやってたんです。だから、採用とか労務管理とかそういう周りのことを結構やってて。

ーそれはどういう心境でその会社に入社したんですか?

なかむら:一応就活はしてたんですけど当時何も考えてなくて...

ーちなみにその頃はカメラもやってたんですか?

なかむら:大学時代から触ってはいました。カメラは持ってはいて、友達を写真撮るくらい。


というのもあって、クリエイティブに関わりたいなぁとはふんわり思ってはいたけど、別に何にもやってきてないから、まぁ難しいだろうなって思ってて。あー逃したなぁと思って。

でも、逆にそういうところに入るにはどうすればいいんだろう?って思って。美大の人たちとかいるから多分正攻法では入れないから、どうしようってなった時に、あ!異動すればいいんだと思って。どこの大きい会社にもある人事ってところに入ったら、人事から経由して異動したらクリエイティブに入れるんじゃないかなって思って(笑)

なので、人事採用ないかなって探してました。

ーえ!もう就活の時点で人事に絞って探してたんですね!珍しい...

なかむら:そうなんです。なので、説明が上手いとか社会人の基礎みたいなのがある人をめちゃめちゃ探したの。就活の時にバーって見て、あぁこの人の下ならつけそうみたいなことを見つけて、そこに「人事で入りたいです」って。内定の翌日に「人事確定したので来てください」みたいな連絡いただいたのでそのまま入社しました。


人事だけど、コピーライターの養成講座へ。

なかむら:スタートはもう次のことを考えていたので全く不満はなかったです。入社した年の6月くらいからコピーライターの養成講座に通ってコピーライターの勉強してて...

ー入社してすぐに...!凄いですね!じゃあ意識は完全にそっちにあったんですね。

なかむら:そうそう、広告とかも面白そうだなと思って。

ー社会人一年目で6月からよく通いましたね...凄い!しかも実費ですよね?

なかむら:実費です。確かにね、通ってましたね。その時に広告つながりの友達が結構できたの。
一年目だったから結構みんなフラットで助かりました。


ートヨタ系の会社の人事の人が来て、何だこの人ってなりますよね。

なかむら:そうなんですよね。その時に活躍したのがカメラでした。写真が撮れるから、イベントとかあると覚えてもらえてやっと馴染めたというか。そういうところで横の繋がりをふわーっと広げて。2年目、3年目くらいに一緒にやるようになった広告友達と広告賞にを出したりしてて。たしか3年目の時に読売広告賞に入選したり....

ー広告代理店みたいな人の活動してますね...!

なかむら:代理店の友人に混ぜてもらってた感じです。

名古屋の時は広告周りの友達がそれで出来上がっていって。当時名古屋ってウェブ系がそんなにいなくて、ウェブっぽいことやってる人と知り合いになりたいなって思って2年目くらいの時に、一人単身で東京のイベントに参加したの。

それが今の会社(SCHEMA,inc)が主催しているイベントだったんだけど、そこに一人でぽーんと入って。AR三兄弟の川田十夢さんと佐藤ねじさんとRockakuの森田さんが合同企画の「ねじ山」っていう高尾山を登るのイベントで。

ーあ、トークイベントとかではなくて?

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愛知から毎年一人で、高尾山へ。

なかむら:違う!高尾山一緒に登ってビアバーで飲もうっていう企画があって。

ーよくそれに一人で来ましたね...!愛知から高尾に来て高尾山に...(笑)

なかむら:はい...(笑)え、この人名古屋から来てんの?ってなって、そこで色々話すようになって、ほぼ毎年行って写真撮ってました。

ー喜ばれますよね!

なかむら:途中から「公式」と肩書きをもらったので自由に撮らせていただいていました。
だから広告っぽい人たちとウェブっぽい人たちの両方を見ていった結果、それこそ写真スタジオ入ってみようかなとか、代理店とかに入ろうかなとか思ったりしたけど、どっちかいうとどこでも色々やれる人がいいなと考えるようになって。ウェブディレクターって職は結構合ってるなって思い、5年前に東京に来ました。

ーそれがきっかけで転職されたんですね。

なかむら:そうそう!拾ってくれたのが SCHEMA,incで。

ーじゃあ、カメラはずっと武器になってたんですか?

なかむら:なってはいますね。上手い下手とかいうよりはシャッターを切ることは多かったので(笑)記録をすることがライフワークみたいな感じで全然苦じゃなかったから楽しみながらやってた。

ーそれに東京に来ても友達がいないわけじゃなかったでしょ?

なかむら:そう、通ってたこともあってちょっと土壌ができた状況で来たので。

ー今の勤務は何年目ですか?

なかむら:5年目です。東京は情報が多すぎてもう5年経ったんだなって感じですね。
5年で多くの人にも出会えて、友人が色んな仕事をしているので、どんな仕事が来ても自信を持ってお願いできる先がとても多くて助かっています。

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写真は、見せるものというよりは記録。

ーカメラは高尾山で撮ってた時と比べてスキルも踏まえて今と全然違いますか?

なかむら:全然違うとは...思う。

ー10年以上やっているわけじゃないですか。成長したなぁみたいなのは?

なかむら:そこまで差があるとは思ってないです。触ってはいるから好きな方向性は見え始めたなって思ってて。だからそれ以外の写真に手を出してまで頑張ろうって意欲が自分にはないから、周りに申し訳なくてフォトグラファーとか写真家とは言えないなって。自分が撮ってて楽しい写真を見てもらって、気に入ってもらった人とだけ撮りに行くみたいなことが多いです。

ーなるほど。

なかむら:メディアに自分の好きな写真をアップし始めたのも4〜5年前くらいかな?依頼を貰い始めたのも4年前くらいで。

ー写真の依頼って結構多いですよね?

なかむら:コロナ前はちょこちょこ。コロナに入ってからは多くないけど、逆に俺が楽しめるやつだけを送ってくれることが多くて、それこそBuzzFeedさんは非常に助かっています...
最近だと大竹しのぶさんを撮らせていただいたりとか...直近だと、菜々緒さんも..
プロの方々の刺激をいただきながらお仕事として楽しませていただいております。


ー何か変わり始めてる感はありますよね。

なかむら:編集者の皆様にご依頼いただいているだけなんで...

ー写真を撮る時は何を意識してるんですか?人を撮ることが多いですか?風景の写真をあまり見たことがない気がします。

なかむら:人だね。割と写真の考え方が見せるものというよりは記録なんだよね、画角がずっと。例えば一人の人を撮った時に第三者に見せなくてもいいと思ってて。ここで自分が " いいの撮れた " っていう自分の喜びと、 "いいの撮ってもらえた " っていうことで完結でも全然いいと思ってるの。外に見せる用のものとしてあまり撮ってないものの方が多い。

ーいわゆる広告みたいな感じではなくてってことですね。

なかむら:そうです。編集者の皆さまにはそれも見越してご依頼いただいているので、それを大御所相手でも普通にやっちゃってる。それ以外できないので...前回の大竹しのぶさんも周りのメディアがみんなライティングをしっかり組んでいる中、何も組まずに隣で喋りながら撮ったりとか...

インスタとかも自分のを見てくれっていうよりは、結構出役の友人を見せるようにしていて。こういう人がいるから是非飛んでくれ!っていう場所としてあるんです。飲み会の後の写真とかそういうのを増やしてるのは、こんないい人いるからこの人にお願いしてみてよ!っていう感覚。

ーめちゃめちゃ可愛く撮りますもんね。それで知った人もいるもんなぁ、しんたろうくんの写真で知った人結構居ますもん。

なかむら:そうそう、それでお仕事お願いしてもらったよ!とか連絡が来るのが一番嬉しくて。

それを大きくしたものがLOBBYやABC(青山ブックセンター)で開催した「なかむらしんたろうを拡張する展示」。


そして生まれた、あの展示イベント。

ーあれはどう生まれたんですか?

なかむら:ほぼほぼインスタと同じなんだよね感覚としては。拡張展を開催しようと思ったきっかけは牛木匡憲さんっていうデザイナーの方で。ある日突然その人が似顔絵を送ってきてくれたの。

ーえ、いきなりですか?

なかむら:いきなり。めちゃめちゃファンの方が突然送ってきてくれて何これって思って...そしたら、あまりにもその見た目が特徴的なので描きましたって。でもこれ普通に出すとそのままでバレるから、一応許可としてとのことで。

ー友達でも何でもなく?会ったこともなく?

なかむら:何でもなく急に。こちらからするとえー!光栄です!って。

ー嬉しすぎますねそんなの...

なかむら:そこで思ったのが、あれ?俺、イラストレーターさんが周りに多いなと思って。今までも元々仲良くしてた飲み友達とかに似顔絵を描いてもらうことはあったので、既にいくつか溜まってて。あれ?これ何かできそうだなぁとふんわりとは思ってて。

ー展示できるぞみたいな?

なかむら:そう、それが30の歳の時だったので、元々やろうと思ってた何かしらの感謝企画のテーマにしようと思って。イラストレーターに絞ることにはなっちゃったけど、イラストレーターの方たちを自分の周りの人たちに見せる会をしようって。

ー自分をっていうよりは、色んなイラストレーターの人たちを見てもらおうということですね。

なかむら:自分の顔を見せたい!って軸で考えたらやばいんだけど、自分の顔がモチーフじゃなかったら俺が逆にどう関わったらいいか分からないから、この見た目と今まで飲んできた繋がりの人たちと、色んなクリエイターの人たちと同時に繋げるための拡張をやってみようと思ったのね。

ー自分の使い方が凄いですね。確かに拡張で知ったイラストレーターもたくさん居るなあ

なかむら:それのおかげで仕事が来ました!とか連絡があるから本当に嬉しい。

ー凄いですね!自分がメディアになってるじゃないですか。

なかむら:それを意識した会ではあったなと。この人のファンとこの人のファンとこの人のファンってみんな違う。ファンになる導線が違うから、知らないだけで絶対気にいるとパターンもあると思って。

ー連鎖しますもんね、絶対。

なかむら:そうそう。あとは、作家を集めて飲みますとか言っても作家同士って意外と集まらないので、横のつながりを作るって意味では同じ日に集まれる口実を作るというのも一つ。あと、見せる側の工夫としては、めちゃくちゃ有名な人とまだ駆け出しの友人とかを、有名な人を大きくしてその人を小さくするんじゃなくて、同じ枠組みで全部一緒に横並びにしました。同じ目線で全部見られるから、差なく自分がいいと思った人たちを覚えて帰ってもらえるなって思って。

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自分を拡張することで、感謝したい。

ー全く繋がりのなかった人はあの中に居ないんですか?

なかむら:いますけど、元々お互い相互フォローになってる人が基本でした。

ーなるほど。会ったことはないけどこういうことやるんでぜひ〜みたいな?

なかむら:そうそう、話をして。

ーそれで自分を描いてくれるんですよね?最高だなぁ...羨ましすぎる...

なかむら:冷静に考えると意味わかんないんだけどね(笑)でも、そうやって広がればいいなっていうのをベースでやってた。30歳感謝企画(笑)


ーいや、凄い。あの展示を見て周りに、オレも拡張されたい!みたいな人たちも居たけど、その人たちとの欲望と全然違う(笑)。めちゃくちゃ素敵だ、有名になりたいとかじゃないってことですしね。しかもその感じが出てなかったですもんね、展示から。

なかむら:僕が例えばイラストとか描いてる人とかで、それを見てくれってことだったら分からなくもないけど...別にそうではないからね...笑

ーそういう背景があったんですね。良いなぁ。

なかむら:凄くインパクトだけはあるから、よく分からない人が大御所達に描いてもらって大きな会場でやる展示っていう、謎をかけ合わせたものなのでちょっと話題になるんじゃないかと思ってやった感じ。

ー今のしんたろうくんの見栄えになる前って全然見た目が違うじゃないですか。 Facebookで見て超イケメンじゃんって思って。どっちもめちゃくちゃいい...

なかむら:めちゃくちゃ爽やかだからね(笑)

ーその見た目になったきっかけは何かあるんですか?


“髭を剃るなら何か理由をつけろ”


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