未練たらたら、感情だらだら。

※この文章は自己満足で書いています
※起承転結なし。
※支離滅裂



夏のある日、東京ドームに行った。とあるアイドルのコンサートだった。
10周年という記念すべき節目の年、デビューから変わる事の無い同じメンバーの数で駆け抜けて来た記念の年を祝うドームツアーの最終日に相応しい賑わいを見せていた。

これは「ドームツアーのオーラスで両隣の人間があまりにもだった為にコンサートの要所要所の記憶が全部しんどくなってドーム公演をしたアイドルの担降りすら考えかけている」私の心境の書き殴りだ。

こんなの第三者に見せる文章ではないと分かっているが、何かもう本当にしんどくて仕方がないのだ。共感してくれなくていい、ただ発散したいだけ。発散ついでに呪いにも似た何かを残したいだけかもしれない。自分でも迷惑すぎると思う。

本題に入る。
今回参加した席はそれはそれは本当に良席だった。1階スタンドは1桁列、視界良好、ほぼアリーナ。外周の花道も双眼鏡無しで十分見えた。

左隣の席のヒトは用意していたうちわから察するに研究生(と記す)のファンだった。だが公演前から「撮影禁止」の会場内でうちわを掲げてステージを撮影したり、何かそういうのが目に付くヒトだった。注意すれば良かったのだが、私は臆病者でそれが出来なかった。
実際は「コンサート公演中もお目当ての研究生が出て来る以外は座ってスマホを見続けているヒト」だった。

右隣の席のヒトは公演開始時刻も現れるコトは無かった。この時の私は「台風で参加を諦めるヒトが呟いていたな」と思い出し、きっとそうなのだろうと思った。
実際は「途中入場して、そのままお目当ての研究生が出てくる以外はスマホを見て、そして公演の途中で退出していくヒト」だった。 

ここまでの文章で「たった両隣と言うだけで」と思われたかもしれないが、「されど両隣」、結構目に付くのである。特に立っていると両隣の不在やテンションの違いなどを感じる瞬間はかなり多い。

そして開演。

会場内は暗くなり、周囲は全員立ち上がり、オープニング映像が進むにつれて期待感や楽しみな気持ちが湧き上がるが、左隣のヒトはいっこうに立ち上がらない。それどころかスマホを見ていた。ここは「コンサートのオープニング映像は見逃すタイプかな」と思いスルーした。ファンだって50万人を超えれば色んなヒトがいるし、楽しみ方は人それぞれだ。

だが、アイドルが実際に出て来て、ファンの歓声がドーム中を包み込んだその瞬間も左隣のヒトは座ってスマホを見ていた。

左隣のヒトが立ち上がったのは研究生が出て来る直前だった。今までが嘘だったかのように立ち上がってうちわを掲げ元気そうに楽しんでいた。うちわの文字にはとある研究生の名前が入っていた。名前として繋げる為であろう、2枚のうちわを連結させる機能が便利そうで、これは少しだけ羨ましいなと感じてしまった。

研究生たちがステージから消えると、左隣のヒトはまた座り、スマホを見始めた。これは決して「みなさん座ってもらってー」などのアイドルからの掛け声のある休憩時間などでは無い。アイドルはまだまだ歌って踊って公演中である。

こうなると私の中で一種の仮説が出来た。それは「複数回参加しているからタイミングを上手く掴んでいるのか?」と「SNSのレポでタイミングをバッチリ把握しているか」だ。後者だと信じたいのだが、証拠のない醜い考えはいつしか健全だったはずの思考すら蝕んでくる。左隣のヒトの動作一つ一つが「複数回参加済みだからこその情報収集量では無いか」つまり「チケット取引経験者では無いか」と言う予想を頭に広げる。だが証拠は無い。あるのは、「お目当ての研究生が出てくる時間以外は公演中にも関わらず座ってスマホを使用していた、そしてお目当ての研究生が出てきて掲げたうちわは見事にスルーされていた」という事実だけである。

ようやっと右隣のヒトが来た。何故か前方のヒトと知り合いだったらしく、だがこの段階で左隣の方への好感度が真っ逆さまというコトもあり、これ以上メンタルを削りたくなくて話の内容は聞きたくなかった。だが、耳に入ってくる内容があまりにも「チケット取引に関する内容」だった。財布から出され、前方のヒトに渡される数枚のお札が目に入った。この時の感情は絶望だった。

前提として、このコンサートは「デジタルチケット」を採用しており、席は入場のその時まで分からない様になっている。たまたま知り合いと近くの席になったのかもしれない。目の前で起きたのはそういう奇跡なのだと信じたかった。現実は違かった。

研究生が出てこない間、右隣のヒトも左隣のヒトも座ってスマホを見ていた。当のアイドルは歌って踊って
、私はうちわにペンラで盛り上がっているのだ。私は段々と自分が何をしているのか分からなくなってきていた 。「自分の好きなアイドルが演出したライブのオーラス公演を見届ける!」それが一番だったのに、気づけば両隣の研究生ファンに気を取られている。これだけで十分「コンサートに、アイドルに集中出来ているのか?」と自己嫌悪に陥る原因にはなっていた。

研究生の出番がほぼ完全に無くなり、左隣のヒトは椅子から動かなくなった。気づけば、いつの間にか右隣のヒトは退場していた。

なるべく研究生は応援したい側の人間だったが、これからこのコンサートに参加したら研究生達を見る度に今回の両隣の複数人を思い出すのだろうと思うと、かなりしんどい気持ちになった。「アイドル」と「ファン」の印象とはこんなにも直結するのか、と思った。

ここから先、永遠にも似た時間の中で味わう前方からの熱狂、実質不在の左右から冷房の風が吹き抜けていく、あの何とも言えない生ぬるい空気感が私を次第に狂わせていったのかもしれない。後方はどうだったのだろうか、楽しんでいたのだろうか、それとも左右2人のように公演中にスマートフォンを見ていたのか。今となっては確かめようもない。

両隣の方はもちろんだが、何故か前方のヒトも誰も公演中の掛け声演出に参加しないものだから、その寂しさを振り払うように参加した。声がデカかったかもしれない、周りに迷惑をかけていたら申し訳ない。

そう、寂しかったのだ。 寂しかった。虚しかった。
ドーム公演であんなに虚しくなるのは初めてだった。
先輩グループ(最推し)のコンサートの自名義で2階席になったコトもあるが、今回よりは熱狂的な空間だった。

あと、今回で言えば地味に推しのファンサどころか目線、それどころか顔すら自分の居たエリア自体に向かなかったというのもなかなかにキツかった。両隣の件のうじゃうじゃとした感情を推しの顔面かファンサひとつでどうにか晴らしたいと思った私の浅はかな考えもダメだったのだろう。あと単純な話になるが私の顔は非常によろしくない。アイドルだって人間なのだ。私みたいな近くの醜い民に手を振るくらいなら遠くの王子や姫のような民に手を振りたくなるだろう。私からしてみれば双眼鏡無しで顔面が拝めるだけでも奇跡だった。それが身の丈に合わない夢を抱いてしまった。


以前、2次元の推しから降りたコトがある。あの時はファン界隈が「○○の女」と言う総称でメディアに呼ばれるようになり、需要を察知した公式からのグッズ展開もよく分からないものが増えてきて、また二次創作界隈の熱量にも着いて行けなくなって、よく分からなくなったのが原因だった。あの時もずっと虚しかった。

もちろん、こんな「虚しい」の感情のせいで私がこの先、このアイドルグループを今までと同じくらい楽しく推せなくなるワケでは無いと信じたい気持ちもある。

ジュニア時代に出演していたドラマを見て顔が綺麗だと思った日も、年跨ぎの事務所合同コンサートでデビュー発表を見て愕然とした日も、そこから7人でのデビューが決まって当時のクラスメイトと喜び合った日も、初めてコンサートに参加したら最後列だった日も、「関西」という概念自体が苦手な母上と揉めに揉めた結果入会したFCの会員証を手にした日も、カラオケでMV付きの映像で歌いまくった日も、アニメの主題歌起用が決まった日も、「ザ・王道系アイドル」みたいな曲が出るのが決まった日も、音楽番組でアルバムリード曲を披露した日も、アイドルとしてフェスに出るのが決まった日も、グループ名が変わったけど物凄くカッコいい名前だったから嬉しかった日も、ここに書ききれないくらい沢山のコトがあった。本当に本当に楽しい日々だった。大好きだった。楽しい10年だった。これからもそんな日々が続いていくと信じていた。

だから「ドームツアーのオーラス公演でたまたま両隣だったヒトたちの行動」だけで気持ちが冷め始めた自分が怖かった。「たまたま今回両隣のヒトのせいでそう思っただけで、前々から冷めていたんじゃないのか?」と自問自答する日々だった。答えは分からない。分かりたくもない。

ただ、こんな未練たらたらの状態で弱火オタクになるのも不思議な話だ。だが、たった10年、されど10年、もしかしたら区切りの良い年なのかもしれない。とも思う自分もいる。もう何も分からない。私が分からないのだから、きっと誰にも何も分からないのだ。

    さいごに、
しんどい時も貴方達が居たから乗り越えられた。
季節が巡る度に新しい情報が出るのが嬉しかった。
何度も聞いた声はこれからも耳に残り続けると思う。
感じた言葉を歌詞にして生まれた曲が好きでした。
ふとした時に曲を聞き番組を見て励まされました。
はじめてデビューから推し続けたアイドルでした。
こんな時でも曲が頭の中に流れるほど大好きでした。

物凄く楽しい10年間でした。
ありがとうございました。
どうかこれからも沢山の人々に愛されてください。
10年前のあの頃と比べるとCD売上だけじゃない色んな評価基準があるけど、それも全部全部乗りこなしててっぺん掴んでください。
心の底から貴方達が大好きでした。
本当に、ありがとうございました。



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