人は恋をする、何があっても #34
筆者よりお詫び:
7月月初はあまりにも忙しくて更新できずすみません。話はこれから佳境です。
旅行に行く日がやってきた。彼女のとの集合場所は飛田給の駅。出かける方向付近まで彼女がクルマを出してくれたのだ。晴天の平日遅い時間の駅前はガランとしている。通る車も人もいない。待つことしばし。彼女の車はやってきた。少し型落ちのクラウンで高速警察隊みたいなシルバーメタリックだ。
「チカちゃん、ごめんね。遅れちゃったけど待った?」
「お迎えありがとう。車出してもらってるのに遅れたりすることは気にしなくていいよ。待ったといっても大した時間じゃなかったよ。オケオケ」
「荷物入れたら出発!」
平日の中央道はすいている。かなりいいペースで勝沼着。勝沼のマルキ葡萄酒醸造所に行く。ここは勝沼でも高地なのでほかのワイナリーとは少しばかり志向が違う。残念なのは彼女に試飲させてやれないことだ。
「礼ちゃん、赤と白、どっちがいい?この色というワインはおいしいよ」
「そうなの。今晩はそれをいただきましょう。赤がいいな。それとは別に自分のお土産にほしいワインがあるのよ」
「ああ、じゃあ一緒に買うよ。どれ?」
「あの甲州使ってるという白が欲しいの」
「オケ、じゃあ、一緒にお会計するよ。お会計の前に上いかない?」
「上?」
「そう、上。上の階にはテラスがあって勝沼盆地を一望できるよ」
「あら、それはきれいそうね。行きましょ」
テラスにて。
「ああっ、こんな景色が見たかったのよ。いい景色ね。」
「そうそう、ここは勝沼盆地の南斜面だからとてもきれいな眺めだよ」
「気に入ったわ。また来たい」
二人して手をつないでずいぶん長いこと景色を見ていた。会話?会話はしなかった。手のぬくもりが心地よい。お会計を済ませて宿への移動を開始する。
「メルシャンのワイナリーはいかなくていいよね」
「そうね、あそこは言ったことあるけど、チカちゃんつまらなくなかった?」
「そうなのよ。あそこは勉強にはなるがつまらないし、ろくなワインが手に入らない」
「お昼食べて、お宿へゴーかな」
「異議ナーシ。よろしくお願いします」
というわけでお昼ポイントを探しがてらドライブは続くのであった。