仮面ライダーアマゾンズS2 終わらせようとして常に始めているのだ。
映画公開真っただ中ですが、S1に引き続き、アマゾンズS2の感想をまとめたいと思います。観ていることが前提になります!!
S2は熱く語ろうとすると熱さの上限が見つからないので、シンプルに冷静に私なりのSeason2とは、を書きました。ぜひお読みください…!
とにかくS2はいろいろな要素が詰まっているが、鷹山家物語、みたいに言われることが多いように、大きなテーマにつながる要素として“家族”というモチーフがあると思う。そしてその大きなテーマとは“続くこと”であり“連鎖”である(映画のタイトルは輪廻!)。
野座間の会長は「人は始めることはできても終わらせることはできないんだよ。」「終わらせようとして常に始めているのだ。橘君も、あの、鷹山仁も」という名言を吐いている。これこそがS2のテーマだと私は考えています。
S2では「終わらせる」というセリフは結構口にされている。
悠はイユに「君がこんなことになるなんて。終わらせなきゃ」と言ったり、志藤さんは「終わらせる。まさにそれだなやりたかったことは」と言ったり、みずきは「実際に悠に会って本当に覚悟ができました。終わらせなきゃ」と言ったりする。
しかし野座間の会長が言う通り“終わらせようとして始めている”ので、この世で一番アマゾンを根絶したいと願う仁さんが、終わらせようともがいた結果生まれてきた千翼は「終わらせない。俺たちはまだ何も始めていない」と叫ぶのである。
だから、メインストーリーではマモルを筆頭とするアマゾンと千翼の生きたいという力と人間たちや仁さんの終わらせたいという力がぶつかり合うのだ。
文章の最初で“家族”について触れたが、鷹山一家だけではなく、長瀬と親の関係やイユとそのパパ、フクさんの悲劇も家族(親子)の物語として登場する。物事が連続して続いていくことがテーマのこの作品に、親から子へと続いていく“家族”はぴったりのモチーフではないだろうか。
さて、その息子という立場で、続いていくことを体現する千翼の「生きたい」という感情だが、これもまた終わらせようとした力によって生まれたものだ。
千翼は「それでも俺は腹が減るし食べたいし生きたいって思ってる。イユともっと一緒にいたいって」と言っている。彼にとって生きることとイユと共にいることは、並べて語るほど深く結びついていることなのだ。
彼を生きようと思わせるイユは、そもそもアマゾンを殺す4Cの兵器であり、終わらせようとする側の持ち駒である。そしてまたそれは、仁さんのせいで感染した父親に、イユが殺されることから始まる。
イユが生まれたのはアマゾンを根絶したい気持ちからであり、そのイユによって千翼は生きたいと思うのだ。こうして終わらせるはずが始まっている。
鷹山一家と並んで涙なしには語れない駆除班の物語もまた、連鎖の物語だ。
S1のトラロック事件とマモちゃんとの再会を経て、彼らは変化していた。特に、終わらせようとする人間によって仲間を殺され続けたマモルは、人間をアマゾンに変えるほどの憎悪を持つことになる。
そして、アマゾンとして人間との戦いを終わらせようとしたマモルもまた、駆除班の新たな決心を生み出す原因をつくる。それが、フクさんの母親の感染だ。志藤さん、望、三崎、フクさんの4人は5年前のあの時のことを悔やみ続けていた。「俺が悔やんでいるのは、お前を撃たなかったことだけじゃない。お前を引き留めなかったこともだ。強引にでも」とフクさんが言ったように。そして、フクさんの母親の感染(マモルのせい)が引き金となり、5年前の決着をつけるべく駆除班はオリジナルの駆除に真剣に取り組むのである。
5年前のあの時のちょっとした行動が未来を変えたり、マモルの心が変わったり、そのマモルの行動が駆除班の行動のきっかけとなったり。終わらせようとする行動も含め、様々な行動は何かを引き起こす原因の一つだということが良く分かる。
このように、アマゾンズS2は“連鎖”し、終わらない物語だった。
メインストーリーでは、続けようとするアマゾン側はマモルも、クラゲアマゾンも、千翼も殺されてしまい、終わったような形になる。
しかし、終わらせようとして新たなことを始めてしまうことの象徴として、最後に橘が「アマゾンの残党は一匹残らず、たとえ子供であろうと絶対に残してはならない。5年前の事件はまだ続いている。完全なる終結まで脅威は去らない。そのためにも新しいシグマプロジェクトを」というようなセリフを宣言する。こうしてS2の後の世界にも物語は続いていくのである。
以上が、個人的S2の解釈です。
ちなみに、大筋のストーリーから外れた部分では、私はバラアマゾンの話が好きです。S2は人間の服を着たゾンビ風のアマゾンの表現や耳鼻科のシーンのパンチの強さがたまらないですね……。
早く映画をみて、最後の審判くだされなければ……!!!!と思っています。