獣になれない私たち4話5話
3話を飛ばして4話と5話で印象的だったところだけつまみ食い(?)で感想を書いていこうと思います。
4話のベストセリフは「よく知ってるんですね」だったと思っている。これは、晶が恒星の事務所で、京谷の行動の真意を語って見せるシーンのセリフだ。
京谷が、呉羽と寝たことをごまかさずに晶に打ち明けた理由を、恒星は晶が結局許してくれる人だと舐められているからじゃないの? と言った。でも晶は、京谷自身が自分の行動を許せなくて、その罪悪感から解放されるために告白をした、と説明する。
それに対して、恒星は「よく知ってるんですね」と言うのである。このセリフで、今壊れそうになっているけれど長い年月をかけてお互いを知っていった晶と京谷の関係の重みが表現される。たかが年月、されど年月。今寝ようとしている恒星とは全然違うのである。それは晶が、元カノを家に匿う京谷と別れきれない、つまり獣になれない理由の1つでもあるだろう。
つまり、京谷と晶の年月がその一言で、視聴者にとって重みのあるものに変わり、なぜ獣になれないのかを実感させるセリフだったのだ。
5話は「ぐるぐる散歩ですか?」というセリフがすごくへにゃっとした柔らかさがあって、良かったなと思う。でも、もっと良かったのは晶と恒星がキスをしているのをみた呉羽の表情だ。
その直後に流れてきた6話の予告を観ると、実は呉羽の結婚は契約結婚だった⁈ ことがうかがえる。これは、あの状況で、京谷をハントするほどの獣らしさを持ち合わせていた呉羽が獣じゃなかったことを示しているように思う。
鐘がなったと嘘をついたり、契約結婚であることを恒星に伏せていて、いざ晶と恒星がキスをしていたら傷ついた顔をしてしまったり。全然潔くない。獣じゃない。
そんな会社やめた方が楽だからやめた方がいい。そんな彼氏、最低だから別れた方がいい。そういう正しくないことや辛いことを、切り捨てる強さや潔さが大切だという風潮が最近強いと思う。もちろんそれは正しいと思うけれど、ある種の圧力にもなっている。「そんなに大変ならやめればいいのに」という言葉は、その人を救う言葉にはならない。実際、作中でも京谷のことなんか大した男じゃないよ、という呉羽の言葉は晶のことを救わない。
でも、きっとこの作品はその獣であれることと、獣になれないことの断絶ではなくて、各々がそれぞれ獣になれないことに寄り添う作品なのだと思う。
なぜなら、絶対的獣だった呉羽さえも獣ではなかったから。
晶や恒星が獣である呉羽に羨ましさを感じていたのは、元カノの朱里が晶はなんでも持ってるじゃん!と憤ったことと同じだったのだ。
誰もが潔く諦めたり決断したりできるわけではなくて、誰もがそれぞれに煮えきれなさを抱えているということだと思うのだ。
というわけで、早く6話を観て呉羽さんの秘密を知りたい!!と思っております。
もしかしたら、やっぱり獣だったわ、となるかもしれないし。とにかく、楽しみです。