Level C/D Flight Simulatorで、ジェット機PICタイプレーティングを取得するには
通常、操縦をする際にPICタイプレーティング(機種限定)が必要な飛行機と言いますと、米国の場合、三つの条件 (FAR 61.31)があり:
1) 離陸総重量12500ポンド以上の飛行機(例、King Air 350)
2) 全てのジェット機 (例、Citation M2, Boeing 777, Concorde)
3) 航空局で、必要と定めた飛行機
上記の種類の飛行機を飛ばす場合に必要な資格として知られています。SICとして乗務の場合は、機材や運航方法によっては、PICタイプレーティングは法的に必要とされませんが、航空機の保険や、米国外への運航に、SICタイプレーティングが必要となる場合が殆どです。この様な航空機は、実機で訓練すると莫大な費用が掛かる場合が多く、殆どの訓練がFAA認定のLevel C/D シミュレーターで行われ、資格取得の試験もシミュレーターで行うというのが一般的だと思います。また、実機を利用したタイプレーティングのコースは米国にも数か所存在しますが、なかなか探すのが難しい上、費用も随分高くなると思います。しかし、シミュレーターを利用した、タイプレーティング取得コースに行けば、誰でもシミュレーターでPICタイプレーティングが取得できる訳ではありません。
法的に、条件として求められてくるのは、以下の一つ (FAR 61.64)。
1) 既に、同クラスのジェット機で、監督制限無しのタイプレーティングを所持している。
2) タイプレーティングが必要とされている、同クラスの飛行機(機種は2つ別でも可)で、飛行時間が1000時間以上。
3) 米空軍で、同クラスの飛行機で機長として発令されている。
4) 取得しようとしている同機種で既に500時間以上の飛行時間がある。(SIC時間で可)
5) 総飛行時間2000時間以上と、同クラスのタービン機で500時間以上。
上記の一つを満たしていれば、シミュレーター訓練と試験でPIC Limitations無しのタイプレーティングを取得する事ができます。もし、上記の条件を満たさずにタイプレーティング試験をシミュレーターで実行した場合は、PIC Limitationsが付き、SOE, Supervised Operating Experienceという飛行時間を実機で25時間取得後、航空局まで出向き、免許のPIC Limitationsを外してもらうまでは、PICとして飛行機を操縦する事ができません。もちろん実機があっての話ですが、シミュレーター訓練後、飛行試験の一部( 飛行前のプリフライト、通常離陸、 通常計器飛行での進入、ミスドアプローチ、通常着陸)を実機で行う事により、このPIC Limitationsが資格に付属する事を防ぐ事も可能です。
例えば、Boeing 777の機種限定資格をPIC Limitations無しで取得したいという場合、先ずは、小型ジェットの実機が借りれる訓練所でPIC Limitationsが付属しないタイプレーティングを取得後、Boeing 777やB787など、お好きな機種のタイプレーティングを取得すれば、世界に通用するPIC Type Ratingが取得できるという事です。就職の際に、機種での飛行時間を、どれ程持っているかという話は別としてですが (一般的に特定機種で500時間は必要とされる)…
ちなみに、海外の会社で契約社員として働く場合、現存する資格を、リカレント・トレーニング(初めてタイプレーティングを取得するイニシャル・トレーニングの三分の一の訓練時間と費用)実行後、タイプレーティングの試験を受けて資格の書き換えをする訳ですが、この際に必要となってくるのが、無制限のPIC機種限定資格となってきます。PIC Limitationsはもちろん、Circling Approach VMC Limitationという制限も、書き換えが難しい原因となってしまいますので、タイプレーティングを取得される場合は、制限無しのタイプレーティング取得を心掛けると良いでしいょう。要は、一番最初の機種限定資格は実機で取得するか、シミュレーターで取得後、25時間の実機SOEができる事を確保してから取得すると後が無難だと感じます。
※FAA各種、飛行機操縦士免許取得に向け、自分でできる勉強ノートは勉強室@FL510.aeroにて公開しています。また、FAA 自家用操縦士資格を始め、FAA 飛行教官免許取得や、FAA ATP取得などの米国の飛行機操縦士免許取得に関する相談などは、雑談室@FL510まで。
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