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僕ヤバの深読み【Karte.2 僕は憤怒した】僕の心のヤバいやつ

Karte.2のメインテーマ 市川の不器用な優しさ

Karte.2は社会の授業で各班に分かれて発表を行うシーンだ。

山田が授業中、泣き出すのを隠すために、市川がクラスメイト全員の前で黒板の資料をカッターで切り裂く奇行に走る。というのがこの話のメインだ。

話の冒頭から、すでに山田に強く惹かれている市川は、序盤から山田を擁護しまくる視点になっている。

山田「昨日書いて渡したやつ(資料)と違くない?」
関根「めっちゃ汚かったから全部書き直しといたよ☆」
市川(糞ビッチ!!!!何てことしやがる!!)

Karte.1でも書かれていた通り、山田は字がスゲー下手だ。
後の話で、市川が風邪で寝込んだ時の置手紙でさえすごく汚い。
おねえ(市川の姉)に「男子かと思った」と言われるほどだ。

無断とはいえ、黒板に張り出す発表会の資料を書き直した山田の友達 関根萌子の行動はまあ理解はできるのだ。

市川も山田の資料を「確かにヒドイ」と評しつつも、やはり男の子。
一度気になった女子を全面的に味方してしまう。

しかし、山田は自分の班の発表が終わって席に戻った後頑張って作った自分の資料を書き直されてしまったことにひっそりと泣き出してしまう。

この話の一番の見どころは、泣いている山田に気付いた市川が「そんなちょっとしたことで泣くのか」と若干馬鹿にしつつも、「いや、ちょっとしたことじゃないんだろうな」と共感するところだ。

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この「相手の気持ちを推し量る優しさ」が市川の魅力だ。

市川が実際にKarte.1で山田が資料を作っている所を目撃したというのもあるだろうが、このコマの表現からすると、見ていないところも想像しているんだろう。

そこに共感する女子のような優しさ。
そして、資料を切り裂く奇行で隠そうとする不器用な優しさ。

これが市川の素晴らしい所なのだ。

山田は本当に自分の資料が書き直されたことに泣いたのか?

個人的にこの点、気になっている。

というのも、今後の話で山田が泣くときは「自分のせいで誰かに迷惑を掛けた」という自責の念が理由だ。
(鼻を怪我して撮影をキャンセルした、市川がトイレに行ったことを班員に伝えず電車に乗り遅れた、など)

ひょっとしたら、「自分のせいで関根に書き直させてしまった」と思っているかもしれない。

まあ、話の最後ですぐに気を取り直して関根に話しかけているあたり、単純に山田は気持ちがネガティブになった時に泣きやすいだけかもしれない。


こんな感じで少しずつ、各話を深読みしたいと思っています。

前回 > 僕ヤバの深読み【Karte.1 僕は奪われた】

次回 > 僕ヤバの深読み【Karte.3 僕はお膳立てした】


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