220717ロイヤル・バレエ スカーレット版白鳥の湖

シネマシーズンの千秋楽、スカーレット版白鳥の湖を観たので書き散らし。幕ごと、全体の順に思い出す。

1幕

男性陣の衣装かっこいい、、!!!?!!?!え?!かっこいい!!振付と隊形はダウエル版よりもシャープというか今風でコールドのかっこよさ際立つなーという感想。一方でジークフリートも良く、ダウエル版に比べて天真爛漫みは少し減じていて、なんだか本当に王様にはなりたくないし妃もとりたくないような印象を受けた。この辺りはダンサーにもよるのかな。パドトロワはいつも通りでなんだか安心した。
王家転覆を狙っている(?)ロットバルトは、しっかり女王を取り込んでいた。長髪イケメンおじさん最高だな〜〜〜〜〜!ロットバルト像は版によってかなり変わってくるポイントだが、この虎視眈々と外堀を埋めつつ女王の失墜を図るおじさんは、なぜオディールを使って王子を誑かす必要があるのか、という問いに答えられるなかなか良い設定だと思った。パリオペのカール・パケットに次ぐ2番目に好きなロットバルト。

2幕

幕間のインタビューで1幕と2幕の転換が素晴らしいとのコメントがあった。たしかに、ジークフリートが無闇矢鱈に走ってたらいつのまにか湖畔に来てしまった感じがよく伝わる。大道具さんは大変そう。
そしてお待ちかねの白鳥たち。スカーレット版は、コールドの衣装をクラシックチュチュに刷新したのが個人的最大のポイントだと思っているが、統一感があってやはり良い(けど確か昔はコールドはロマンティックチュチュだったのだっけ)。
カスバートソンもさすがの貫禄?経験値?で、安心して観ていられるオデットだった。困ってはいるけれど、ある強さももっているような女王、オデット。
傑作である2幕には、どれだけ改訂が入っても手を入れられない。

3幕

みんな大好き舞踏会3幕。ダウエル版では仮面舞踏会だったようだが、スカーレット版ではそうではないよう。まーーーーーた衣装がいい!お后候補たち4人が各国のデザインのチュチュだったのが個人的にはとても良かった。これがないと、各国舞踊団が何しに来たのかよく分からなくなってしまう。舞踊団ズの衣装も、旧版の野暮ったさがなくなって、より民族的な要素が強くなっていてなんとなく嬉しい。
それからパドトロワの登場シーンが増えていた。これまでの版では使われることが少なかった曲も組み入れており、新鮮で楽しかった。
そして終始にこにこ笑顔のオディール、かわいい!動きがぱきぱきしているところとにこっとジークフリードに目をやるときと、この落差で王子様を落とすのか…。
意外だったのは、オディールとロットバルトが正体を現した時に黒鳥のコールドが出てきた点。他の版でもあまり見ない演出で、単純に黒チュチュの黒鳥集団はかっこよかった。欲を言えば、4幕にも出して欲しかった……………。

4幕

個人的にはなんだか物足りなかった。コールドが舞台いっぱいに斜めに並ぶ隊形は確かに綺麗なのだが、2幕でたくさん見たなあと思ったり。オデット and ジークフリード vs. ロットバルト対決はなんとなく華やかさに欠けるような。だからって何がいまいちなのかは言語化に至っていないのでこれ以上は言わない。ジークフリードにも死んで欲しかったのだろうか私は。
ラストシーンは良かった。オデットが岩の上から見下ろすシーンは、実現しないタイプの真実の愛の抽象化とでも言おうか、裏切りへの絶望とそれも含めたある諦めと達観が感じられるようで、好きな終わり方だった。

結び

衣装やら演出やら、細々した点で好みに刺さる部分が非常に多く、スカーレット版の評判が良い理由がよく分かった。
ただ全体的には、3幕はグリゴローヴィッチ版を、4幕はブルメイステル版を感じる部分が多く、ちょっと二番煎じ?の気持ちがどうしても否めないので、ダウエル版を推したい。いつものことではあるが、ロイヤルのコールドは自由だなあ。
ですが、衣装が良かったので全部OKです!!!!

後日、ダウエル版についても書く予定。