ストーリー性、ではなくストーリーを撮りたい
写真を撮る時に「ストーリー性」が大事だとか。
光の向きとか、構図とか、主役と脇役とか、ボケとか。
そういった要素を意識して撮ると1枚の写真なのに映画のワンシーンみたいなドラマチックな写真が撮れる。自分もそんな写真を目指していた時がある。そういう1枚が撮れた時のテンションの上がり方は半端なかったと思う。
こういった写真は、全てインスタグラムの影響だ。
今まで自分はインスタグラムをメインのプラットフォームにしてきた。自分が写真に、ポートレートに、興味を持ったのもインスタグラムがきっかけだった。
今年度、多くの人を撮ってきたし、そろそろ写真をフォトブックにしてみようと思い、思い切って作ってみた。そうしたらどうだろう。ページをめくっても心に響くものがあまりにもなかった。あれだけインスタではよく見えたのに、同じ写真が写真集の中ではあまり魅力的に見えなかったのだ。しかしとりあえずそんなモヤモヤを抱えつつも写真を撮り続けた。
ある日、友人が、古本屋で買ってきたという写真集を見せてくれた。なんかそれを見てやっぱり写真集の写真は魅力的に見えた。
「写真には流れがある」
そんな基本的なことをその時やっとわかった気がした。
その時から、一枚勝負の写真じゃなくて、完璧でなくても並べたときにその時の気持ちとか雰囲気とかが伝わる写真を撮ろうという意識に変わった。
インスタで写真を好きになり、インスタでたくさんいいねをもらい自信をつけた自分。でもインスタの世界しか触れていなかった。
写真の世界はもっと広いのだなと、やっと気づいた。
写真の路線が変わって以降、インスタのアカウントでのいいねの数は減るし、フォロワーも増えない。
自分の写真にはまだまだ下手な点とかたくさんあるからいいんだけど、たぶん自分の求める写真がSNS向きの写真ではなくなってきたのだろうと思う。勝手にそう納得する。タイムラインに1枚流れてきても目に留まらない写真だなあとも思う。でも、並べてみるとすごくいい雰囲気。自分的にはね。
しばらくはこんな路線で撮り続けていくことにする。
「ストーリー性」ではなくて、「ストーリー」を。