【#14】S&Cコーチはトレーニング指導だけでなく競技の練習を観察することもすごく大事
*今回の内容はS&Cコーチ向けです。
現在帯同しているチームでシーズンインし、春の試合に向け徐々に練習強度が高まってきました。
ここから、チーム練習(戦術や連携の確認等)を経て試合に向かっていきます。
加えて、オフシーズン中にリハビリを終え、徐々に競技練習に復帰していく選手も増えており、練習時に対応するリハビリ/リコンディショニングもだいぶ減ってきました。
復帰した選手には二度とこちら側に帰ってこないよう頑張ってもらいたいところです(親心的な感情)
練習時のリハビリ対応が少なくなったので、練習時は各ポジションの部分練習を見る機会が増えてきました。シーズン中はリハビリに追われていてなかなか見れていなかったのですが、改めてS&Cコーチとして、競技の練習を観察することが改めて重要だなと感じました。
今回は、S&Cコーチが競技の練習を観察することについての考え方をまとめていきたいと思います。
選手の競技パフォーマンスをより正確に把握できる
普段はトレーニングやコンディショニングでの選手の動きを見ることが多く、それらを元に選手の能力を判断することがあります。
例えば、SQの重量で下半身の最大筋力を確認したり、ジャンプトレーニングでパワーを確認したり、スプリントでスピードを確認したり、、、
概ね、その能力は競技でも生かされている印象ですが、
筋力が低い選手が、『え、意外と力強いタックルするやん!』とかスピードがない選手が『え、意外とボールへの寄りが早いやん!』みたいなことは結構起こります。もちろん逆も然りですが。。(筋力があるのに相手を押し切れないとか)
我々は、”競技パフォーマンスを向上させるために”トレーニングを指導する専門家なので、選手がどれほど競技パフォーマンスを発揮できているかという部分をしっかり観察し、評価する必要があります。
トレーニングでは成果は出ているのに競技ではイマイチであれば、何を以って競技でパフォーマンスを発揮できていないのか考え、またそれがS&Cの指導で改善される範疇であれば、その解決策を検討する必要があるでしょう。
逆にトレーニングでは成果が出ていないのに、競技ではうまくいっているのであれば、トレーニングの成果による伸び代がまだまだあるわけですから、そこにしっかりアプローチしていけばいいわけです。
それもこれも、競技中のパフォーマンスを見なければ確認できません。そのために競技を観察することは非常に役立ちます。
場合によってはトレーニングを考える上でも重要
これは特に、自分が未経験の競技のS&Cコーチを務める際に必要になってくるんじゃないかなと思います。
私は現在、自分が経験したことのある競技でS&Cコーチを勤めているので、ある程度のルールはもちろん理解していますし、競技特性も自分の体を以って体験しています。
しかし、もし全く知らない競技でS&Cコーチをするとなると、どのような体力要素が必要になるのか、どんなトレーニングが適切なのか把握しきれないことがあるかもしれません。
競技の全容を知り、実際に観察することで『こんな動きがよく使われるんだ』とか『こういう時間でこのくらいの出力をするんだ』みたいなところが見えてきます。
これらはトレーニングプログラムを考える際に必要になるので、やはり競技の観察は大事です。
身体能力と競技力を分けて考える
1つ目の内容とも重複する部分もあるかと思いますが、身体能力と競技力は必ずしも等しくなるとは限りません。
いくら身体能力が高くても、その競技の技術が伴わなければ競技での成果は得られないのです。
そして、今ある身体能力が競技の技術にどう影響しているかを確認するためには、やはり実際に競技を観察しないことには難しいと感じます。
ここで大事なのは、身体能力と競技力を分けて考えることです。
実際の競技力を見て、選手の弱点を把握したものの、その弱点を克服するために、例えば競技の動きに負荷を加えたようなトレーニングに走ってしまっては本末転倒です。
競技の動きに負荷をかけても、大抵それは競技とは別の動きになってしまい競技力向上に繋がらないだけでなく、ウエイトトレーニングのような身体能力の向上効果も見込めません。
トレーニングで身体能力を向上させ、その身体能力を元に競技練習を通じてパフォーマンスアップを図っていくことが正しい道のりです。
(これについてはまた今度まとめたいと思います。)
まとめ
今回は、S&Cコーチが競技を観察してくことについて考えたことをまとめてみました。
我々、S&Cコーチは、あくまで”競技力向上を目的とした”身体能力向上にアプローチすることが仕事なので、実際に競技を見た上で、『この選手の競技力はどのくらいなのか』という部分や『この選手の競技力を改善するために必要な身体能力は何か』などを正しく評価し改善していくことが必要だと感じます。