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チームとともに成長するデザインシステムの考え方
この記事は弁護士ドットコム Advent Calendar 2022の16日目の記事です。
前日は@dskymdさんの「Remix のBlog Tutorial をやってみた」でした。
電子契約サービス「クラウドサイン」プロダクトデザインチームの福田です。
クラウドサインのデザインシステム連載の最終回です。
デザインシステムに関する活動のこれまでを振り返りつつ、方針や考え方について触れていきます。(具体的な取組みについては、前回までの連載で紹介されていますので、そちらをご覧ください!)
連載の目次
第1回 デザインシステムを作る上で最初にやること
第2回 デザインシステムのコンテンツづくり
第3回 仕組みづくりについて
第4回 組織への浸透について
第5回 デザインシステムの方針と考え方(👈 今回の記事です)
最初は、コミュニケーションを中心に
私が入社した当時、プロダクトデザイナーは3名体制でした(マネージャー1名、メンバー2名)。
ちょうどその頃、デザインシステムに関心が集まり始め、やがて本が出版されたこともあって、私たちも「こういうことをやっていきたい!」という話を出しました。しかし、当時選んだのは、デザインシステムには大きな投資は行わないという選択でした。
デザインシステム構築の目的の一つには、開発スピードの向上があります。はたして開発リソースに制限をかけてまで、デザインシステムに大きく投資を行うべきか?少なくとも、「メンバーも少なく、プロダクトの開発もこれからの部分が多い」という当時の状況では、コストに見合うだけのリターンは得られないと判断しました。
それよりも、デザインについて相談・議論ができる関係性を作り、コミュニケーション中心として一貫性などを担保していくことを優先するべきと考えていました。
この時点では、この選択が適当だったものの、プロダクトとチームの成長に応じて変化が求められるようになります。
投資を始めるタイミング
やがて、プロダクトデザインチームのメンバーは3倍以上、また、それ以上にエンジニアが増え、開発組織全体が大きくなりました。人数の増加に伴い、同時並行して進むプロジェクトの数も多くなります。
こうなってくると、同じ画面への改修が複数プロジェクトで検討されたり、似たような要件が求められるUIが異なる画面で検討されたり……。以前は、会話でキャッチアップできたことも叶わなくなってきます。
コミュニケーションだけで担保していくのは難しいと考え始めたところに、ちょうどメンバーからデザインシステムに取り組んでいきたいという声が上がりました。こうして、チームとして改めて「投資を行なっていこう」となりました。
今の私たちに、必要なものだけを
スタイルガイドの構築をはじめとしたデザインシステムの取り組みは、「YAGNI」を意識して進めてきました。
"You ain't gonna need it"、縮めて YAGNI とは、機能は実際に必要となるまでは追加しないのがよいとする、エクストリーム・プログラミングにおける原則である。
やはり多くの開発プロジェクトが控える中、メンバーが増えたとはいえ、専任メンバーを設ける訳にもいきません。機能開発と並行して取り組むため、限られたリソースでの取り組みとなります。
また、例えば、世に公開されている立派なデザインシステムを見て、
「こういうことを決めなければいけない」
「こういうものがあった方がよさそう」
で溢れてしまうと、今の私たちには不要なものが詰め込まれていき、開発を加速させるものどころか、開発にとって邪魔な存在になり兼ねません。
さまざまな提案がチーム内から上がりましたが、いま必要なものを選んで進めてきました。
実際とのズレをどう捉えるか
スタイルガイドやコンポーネントライブラリを整えていくと、どのチームでもある程度ぶつかるのがこの問題。プロダクトの実際と、スタイルガイドやコンポーネントライブラリとのズレをどう捉えるか。
すでにプロダクトがあるため、既存画面にはガイドラインに定めた内容から外れたものが存在することもあるかと思います。機能開発を止めて、既存画面のズレの修正にリソースを割くべきか?
もちろんプロダクトを利用するにとって、大きく問題が生じるものは早急に対応すべきです。それ以外の軽微なものに関しては、以下の方針を取りました。
UIの改善タスクとして積み、タスクリストを整備して「いつでも手を付ける状態」にしておく
デザイナーで解決できるものは順次対応
jsの修正が伴うものなどは、エンジニアのオンボーディングタスクなどで対応してもらう
反映スピードはある程度の限界がありますが、この運用をとったことで「常にUI改善・デザインシステムについてを話している」ことにも繋がっています。
少しずつ着実な成長を
ここまで書いたように、現在は最低限のルールに留めるよう努めていますが、今後、プロダクトの成長に応じて、厳格化が求められるようになるかもしれません。
しかし、自分たちの置かれている状況に向き合い、「いま何が必要なのか」を議論することに変わりはありません。そして、それが着実に成長するために必要な考えなのではないかと思います。
これからも、プロダクトやチームの成長に応じたデザインシステムのあり方を模索していきます。
プロダクト開発も選び抜くことの連続であり、そこに一人一人が真摯に向き合っているのが私たちデザインチームの強みです。今後も少しずつ着実に、このチームとともにデザインシステムを成長させていければと思います!
一緒に働く仲間を募集しています!
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弁護士ドットコム Advent Calendar 2022の明日の担当は@kitttenさんです。こちらもお楽しみに!