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ACRYL 写真本の36冊目
こんにちは。FK3(フクゾー)です。
ちょこちょこと手に入れている写真に関する本を紹介していきます。
写真本の36冊目はこちら。
馬場智行さんのACRYL。
無人の(?)水族館、アクリルを隔てた生き物の写真。トーンが暗いのでテーマは明るくはないだろうと思っていたが、ステイトメントを見るまでは、海の生物をカッコ良く写していると感じていました。
人類の科学は様々な問題を、不可能を可能にすることによって解消してきた。私たちの生活は自らが作り出してきた様々な技術の恩恵を受けている。それらの一部には体外受精やクローンという、生命の存在意義に関わる技術がある。文化とあくなき向上心が人間の真髄と言えるかもしれない。しかし、それによってもたらされるものは、人間を生物たらしめていることを奪うかもしれない。
作者は水族館の生物を人間の行く末、あるいは現在の姿を暗示するモチーフとしている。
水族館の生物と海に生きる同生物との一番の違いは、生存競争に身を置かないということだろう。そのことが両者の生き方を大きく分けている。水族館には人口の波や岩、そして人間がある。これらの生き物は、人間の生み出した技術に囲まれ、育まれている。姿形は海に生きるそれと何ら変わりないが、別の存在に成りつつあるのかもしれない。
数十センチのアクリル壁一枚を隔てた場所に存在するその姿は、あたかも自然の摂理から逸脱した人間のようである。
人間の欲望で地球上のさまざまな生き物が影響を受けそれを守るために極端なコントロールも行われる。もうどこにいてもなにをしててもその影響からは逃れられない。人間が生物らしさを感じるのは未知のウィルスとの戦いや自然災害だけなのか。水族館の生き物に幸も不幸も無いように人間もそうなのか。
それでも水族館の中の生き物は凛として美しくもある。
写真本の36冊目は馬場智行さんのACRYLでした。
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