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猿博打×かるがも団地 合同企画 三匹と三羽『野良犬』上演台本

はじめに

猿博打×かるがも団地 合同企画 三匹と三羽『野良犬』
当公演は仲良し劇団・猿博打との初の合同公演でございました。

フライヤー(表)

猿博打は村上さん(写真左)・板場くん(中央)・河村さん(右)の3人から成る劇団でございます。
2020年から今年にかけて、全員かるがも団地の本公演に客演として出演していただきました。最近ではかるがも団地の劇団員・宮野が、猿博打の公演で制作スタッフを務めさせていただいています。

がらにもなくかっこつけているおれたち

そんなわけで仲良し通り越して癒着しまくってきた私たちなわけですが、
どうせならこの際がっつり癒着しようや、ということで立ち上がった企画が三匹と三羽でございました。

2020年の大晦日に藤田家に6人集合して作戦会議をしました。

調印している僕と河村さん
一緒に面白いことをすると誓った契約書

この段階では具体的な物語は何も決まっていませんでしたが、
「サスペンスをつくる」
「『野良犬』というタイトルにする」
「みっちゃん(板場くん)が闇に落ちる」
「冬の相模湾物語・第二弾にする(第一弾はこちら)」
ということだけ決めて、一年間試行錯誤してまいりました。

パワフルかつ魅惑溢れる客演さん・絶対的安心感のスタッフさん、
そして温かいお客様、いつも気にかけてくださっている皆様の支えにより、
無事に劇場公演全7ステージを終えることができました。
この場をお借りして改めて皆様に感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。
(+稽古場確保してもらうのめちゃめちゃ助かりましたよ河村さん…。)

なお、配信版は2021/12/18(土) 23:59 まで購入が可能でございます!
一度購入していただると2022/1/1まで何度もご視聴できます。

ぜひぜひご検討くださいませ。
↓ 購入ページ

三匹と三羽『野良犬』 のチケット購入・予約は TIGET から

配信開始当日の12/18(土)には生配信で同時視聴イベントやアフタートークイベントを予定しておりますので是非ご購入いただければと思います。

さて、この台本をご購入していただいた皆様にも、改めて感謝申し上げます。配信版と合わせてこの台本をお読みいただくのも一興かなと思います。
どこかで感想をいただけたら嬉しいです。(よかったら配信版をお知り合いの方に勧めていただけたらもっともっと嬉しいです!)

これまでのかるがも団地でも猿博打でもトライしてこなかったようなちょっと苦々しいお話です。書いている時に考えていたことなどは記事後半の制作後記に記していこうと思います。

※注記1
12/18 9:00頃 に本記事内に追記の形で「藤田の制作後記」を公開予定でしたが、諸般の事情により明日12/19 21:00に公開させていただきました。
掲載が当初の予定よりも大幅に遅くなりましたこと、お詫び申し上げます。

※注記2
記録写真は全てのシーンを網羅してはおりません。事前にご了承ください。


猿博打×かるがも団地 合同企画 三匹と三羽『野良犬』上演台本

当日パンフレットのあいさつ
劇場へのご来場・配信版のご購入、誠にありがとうございます。
魅惑とエネルギー溢れる役者陣、絶対的安心感のスタッフ陣、
そしてこれを読んでいただいている皆様のお力添えをいただきながら、
無事に今日の日を迎えられたこと、本当にマンモスうれピーです。

寒い季節の茅ケ崎のお話です。
サザンとsuchmosを聴きながら、何度も134号線を歩きながら、
元々さして好きではない自分のことがもっと嫌になりながらこしらえました。

「見てほしい」というよりは「見届けてほしい」そんな気持ちです。
最後までごゆっくりお楽しみください。
かるがも団地 藤田恭輔


登場人物

陽村 那央(ひむらなお・25) …… 板場充樹(猿博打)
草加 朱音(くさかあやね・25) …… 村上弦(猿博打)
和泉 優吾(いずみゆうご・25) …… 河村凌(猿博打)

辻野 千紘(つじのちひろ・24) …… 澤あやみ
平塚篤史(ひらつかあつし・21) …… 平林和樹
まりも (まりも・21)…… 岡野桃子(ヒノカサの虜)

バド部先輩1/新入生秋田/ディレクターA/児童3/就活生/魚……岡野桃子
バド部先輩2/宗教先輩5 ……村上弦
バド部後輩/宗教代表/ディレクターB/児童1/ウーバー1/朱音の兄/魚……平林和樹
宗教先輩3/朱音の上司/朱音の母/魚/ウーバー2/幼稚園の先生 ……古戸森陽乃(かるがも団地)
宗教先輩4/児童2/朱音の父/魚 ……河村凌


  舞台上には椅子(または座れる構造物)が3つある。
  前説後、舞台上徐々に暗転。 

1.

●サザンビーチちがさき

  波の音が聞こえてくる。
  舞台、ゆっくりと明転。

朱音の声 もう絶対無理だって、諦めなよ
優吾の声 いける、いけるって、今点きかけただろ?
   
  神奈川県茅ケ崎市。冬のサザンビーチちがさき。
  手持ち花火に火を点けようとしている和泉優吾(当時22歳)と、
  その恋人の草加朱音(当時22歳)。
  少し離れたところでその二人を眺めている陽村那央(当時22歳)。

朱音 夏に買ったんでしょ
優吾 花火だもん当たり前だろ
朱音 しけっちゃってるんじゃない、半年も経ったら
優吾 いや一年半
朱音 え?
優吾 おととしの夏に買った
朱音 絶対無理じゃん、那央くんも何か言ってよ
那央 気が済むまでやらせてあげたら
朱音 せっかく久しぶりに三人で集まれたんだからさ、江ノ島とか行かない?
優吾 馬鹿、だから花火なんだろうが、大学生活おつかれちゃん&お引っ越しお祝い花火
那央 あ、お祝いしてくれてたの
優吾 そうだよ!welcome to 茅ケ崎、今日から貴様もご近所物語
朱音 いつでも遊べるね
那央 うん、ほんと引っ越し手伝ってくれてありがと
朱音 こっちが無理言って誘ったみたいなもんだけどね。前の家の方が会社も近いんじゃない
那央 でもこっちの方が住みやすそうだし―

  花火に火が点く。

優吾 わわわついたついたついた!ほらほら!

  優吾、持って朱音と那央を追いかけまわす。
  逃げる二人。やめろと言いながらもどこか楽しげである。

優吾 写真!
那央 写真!?
優吾 写真!那央!スマホ!(ピースしている)
那央 あぁはいはい、(優吾にスマホを向けて)はいこっち向いて!
優吾 自撮り!自撮り!3人で
那央 3人?
優吾 早く!消えちゃうから!朱音!
朱音 え、入るの!?
那央 画角、画角きついってこれ
優吾 ぎゅって!詰めて詰めて!ほれ!(画角におさめようと花火を近づけるが、火花が二人にかかりそうになり)
那央 あっぶね!火あぶないって!
朱音 離してよ
優吾 早く!消えちゃうから!おさまれ!
那央 はい、はい撮るよ!
優吾 白目!
那央 白目?
朱音 なんでだよ
優吾 いいから!白目!全員白目!なおくん、だいがくそつぎょうおめでとう、めんそーれちがさき

  シャッター音。

優吾 なー間に合わなかったじゃんもう!(花火を示して)消えちったチネチッタ!
朱音 急に撮ろうって言うからでしょ
那央 白目なかったら間に合ったよ
朱音 そうだよあれのせいだよ
優吾 遊び心だろうが

  朱音と優吾、少しもめていて、

那央 ねえ、働くのって楽しい?
優吾 ん?だるいよな。だるいな~って思いながらも夢を携えて生きていくのよ
朱音 先輩風吹かせちゃって。私ずっとバイトだもん、会社は分かんないよ
優吾 お掃除戦隊お便所メン
朱音 その言い方やめてトイレ以外もやってます
優吾 バイトも会社も大して変わんねえよ。でも、だるくなってもいつも通り三人で呑んだり遊んだりして憂さ晴らししたらいいべ
那央 ありがとう。ほんと二人がいてくれてよかったよ
優吾 ……お前、ほんとに大学で友達いなかったんだな
那央 いや、そんな憐れみの目で見ないでよ……たしかになぁ、僕ほんとうに大学で友達できなかったんだなぁ

●K大学日吉キャンパス

  時間は那央が19歳・大学一年生の春へ。
  サークル・部活への勧誘をするために、
  上級生たちが道行く新入生にビラを配っている。
  那央、バドミントン部の先輩たちと話している。

先輩2 えーてか高校でやってた子少ないから嬉しいよねー
先輩1 ねー、私もバドミントン大学から始めたの
那央 あ、そうなんですね
先輩2 そーなんかもう逆に教えてもらいたいよね(笑)先輩っ、いっそ先輩っ

  先輩方、きゃはきゃはしとる。

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