3つの間
「3つの間」と聞いて、何を想像しますか?
初めて聞いたのは…
「3つの間」という言葉を初めて聞いたのは、24・25歳の頃。
大学を卒業し、大学で教育職員として2年間勤務し、現職に就いてから。
「アビスパ福岡ホームタウン推進部」という部署に2006年に加入。
主な仕事は、
・サッカースクールの運営(コーチ業)
・ホームタウン(地域貢献)活動
大きく分けて上記の2つ。ここでキーワードになってくるのが、
・子ども
・大人
サッカースクールで多くの子どもたちに関わったり、
サッカースクール以外に地域でいろんな活動をする際に基本的には子どもを対象とした活動を行う。
しかし、その際に子どもたちに会って関わるのはほんの数十分や2時間前後で、子どもの数と同じぐらいかそれ以上に保護者の皆さんを含む子どもを取り巻くたくさんの大人の方々に会う。
ホームタウン推進部(現育成普及部スクール推進課)に加入し、様々な活動の中で、当時の部長である下田功さん(現ギラヴァンツ北九州)が各所で「講話」「講演会」「講習会」「研修」などを行う際にアシスタントとして帯同する際に毎回、「3つの間」について話していたので、そこで初めて聴き、学び、今では、自分がその言葉を使って話す機会が多くなっている。
「3つの間」とは?
時代の変化に伴い、様々な環境が変わってきた。
(1)空間
建物が増え、交通が増え、空き地や公園の減少、公園なのにボール遊びが禁止など…そして、子どもを狙った犯罪の多発などにより、子どもたちが自由に、安全に遊べる場所「空間」の減少。
出身小学校には裏山があり、アスレチックがあった!
甥っ子を連れて遊びに行った時の写真。
(2)時間
低年齢からの塾やお稽古ごと、その他の習い事の増加、そして、仕事などで忙しくて親子で一緒に遊ぶ時間がなかなか取れずに子どもたちが外で遊ぶ「時間」の減少。
(3)仲間
少子化や習い事などで一緒に遊ぶ「仲間」の数の減少。
この「空間」「時間」「仲間」3つの間の減少により、かつては、外遊びの中で育まれていたもの、身に付いていたものが、現代の子どもたちは身に付きにくくなってきた。
【現代のこども事情】
「3つの間」の減少によって…!?
外で遊ぶ時間や経験が少なくなり、体力の低下や外遊びの中で身に付いていた(投げる・跳ぶ・捕まる・転がる・登る、ぶつかる、ふんばるなど…)動きの経験が少なくなり、自分の身体を上手く動かせずに、簡単にバランスを崩してしまったり、簡単に転倒してしまったり、転倒経験が少ない分、転倒の際の大怪我が増加。(ちなみに、アビスパ福岡サッカースクールでは、手首や肘などのケガが1番多い。)
また、集団の外遊びの中で年齢関係なく関わって、お互いが楽しめる様に工夫して遊んだり、コミュニケーションを取る機会も減少。
※写真はフィリピンのセブ島マクタンにて、外遊びする子どもたち
自分が子どもの頃は、公園や小学校に行けば、誰かが居て、みんなで一緒にサッカーしたり、年齢の差があれば、お互いでルールを決めてみんなが楽しめる様にしたり、野球をするのに、人数が足りなくても楽しめる様にワクワクするように工夫したり、(小学校に裏山があったので)放課後にみんなで家から道具を持って来て基地を作ったりする中で役割分担したり…
最近はこういう機会も減ってきたのでは??
※写真はフィリピンのセブ島よりストリートバスケットをして遊ぶ少年たち
お互いがコミュニケーションを取らなくても、工夫しなくても、身近な大人が善かれと思ってコミュニケーションを取って、問題(課題)を解決して、困る・考える・失敗する・挑戦する…これらの機会を奪ってしまい、経験から成長機会を奪ってしまっている場面もよく目にする。
外遊びの場所・時間・人数の減少や人と関わる機会の減少…
上記の理由などによって、体力低下だけではなく、自分自身で問題(課題)に気付き、自分自身で観て考えて、或いは仲間と協力や工夫をして、その問題(課題)を解決していくチカラ(=生きるチカラ)が育まれにくくなってきている。
外遊びの減少によって、失われているものを現代ではスポーツがその役割を代用している。
だからこそ、サッカースクールやホームタウン活動の現場では、サッカーだけではなくサッカーを通じてお互いが良い「時間」「空間」をいかに創っていけるか、それを創り出すための「仲間」との関わり方など、「3つの間」の減少により、育まれにくかったことを現場において「3つの間」を意識しながらコーチが環境づくりをしたり、あえて察しの悪い大人を演じてみたり、様々な角度から考え、試行錯誤しながら現場での活動を続けている。
時代はどんどん変化していく。この数ヶ月のコロナ禍において、「3つの間」の存在やあり方なども大きく変化し、この先も時代が変化していく。
正解はない。ただ、それを考え悩みながら過ごす日々は簡単ではないけど、毎日がチャレンジの連続で変化や成長を感じられた時は楽しい!
子どもに関わる大人
Jリーグの監督を務めることが可能なS級ライセンスの下に、A級、B級、C級、D級などと対象者やカテゴリーを目安にしてJFA(日本サッカー協会)公認の指導者ライセンス制度があり、我々サッカーコーチは様々な角度からサッカーについて、またサッカーを通じて大人へと成長せいていけるように選手の成長をサポートしていけるように日々、学んでいる。
現在、B級コーチを所持していて、またキッズリーダー養成講習会のインストラクターとして、県内各所や母校:福岡大学サッカー部の1年生を対象にキッズリーダー養成講習会を実施している。
キッズリーダー養成講習会では、発育や発達、子どもの特徴など低年齢の子どもたちはどんどん変化していくので、6歳以下、8歳以下、10歳以下と大きく2歳刻みにして、子どもたちをもっと深く知り、子どもたちに関わる大人たちが同じ様なビジョンを共有し、成長をサポートしていくことを目指すことを一緒に学ぶ講習会である。
自分が運営責任者を務めるアビスパ福岡サッカースクール博多校でアシスタントコーチを務める福大サッカー部員は、このキッズリーダー養成講習会で現代社会や子どもの環境、発育発達の特徴などを一緒に学び、毎回のスクール現場を終えてコーチ陣で反省会や振り返りをしながら、スクール生たちをもっと知り、理解し、成長やスキルアップ・自立のサポートをしていけるようにトライ&エラーを繰り返しながらコーチたちも経験から日々、成長していることを実感している。
また、コーチたちが実情を知り、理解し、現場に立って子どもたちに関わるだけではなく、サッカースクール生の保護者の皆さん・地域で子どもたちに関わる大人がこういったことを知っておく必要がある。だから、我々コーチの仕事は、現場で子どもたちを楽しませるだけではなく、子どもの成長をサポートする数多くの大人たちと課題や狙い・意図などを共有しながら協力していく体制も整えていくことが大切。
コーチが現場で子どもたちに関わる時間よりも、はるかに長く濃ゆく関わる身近な大人が変わっていかなければ、子どもたちの成長や未来は変わっていかない。
だからこそ、こういったことを多くの大人に伝えて、子どもに関わる大人自身が変わっていく必要性を強く感じている。
2006年のアビスパ加入時の部長シモさん(下田功さん)から学ばせてもらったたくさんのこと。そして、大切なこと。その学びと気付き・築きを今でも大切にしながら、アビスパ福岡のホームタウン活動やサッカースクールは力をつけながら成長を続けている。
そう思うと、シモさんには本当に感謝の気持ちでいっぱい。ありがとうございます!
アビスパ福岡は、スポーツを通じて"人づくり"を支え、元気な福岡の"街づくり"に貢献し、地域の皆さんと共に未来を創っていくことを目指しています!
さぁ、今日もみんなで楽しみながら未来を創っていこう!
Jun Fujii