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英国の田舎町の片隅で

イギリス🇬🇧のラザフォード・アップルトン研究所で国際会議があり、最寄りのアビンドンという町に滞在したことがあります。

オックスフォードから15キロほど離れた郊外にある古くて小さな町。町の東側にはテムズ川が静かに流れていました。

テムズ川の美しい風景

僕が滞在したホテルは旧市街であるテムズ川のほとりにあり、周囲には緑が美しい川辺や公園、そして昔ながらのレンガ壁の家々が広がっていました。
通りに並ぶ商店は夕方6時頃にはほとんどが閉まってしまい、ほんとうに静かで美しい町でした。

アヴィントンの街並み

食事を終えたあとで近くのパブに行くと、そこはまさにブリティッシュバプの社交場の世界。
一日の仕事を終えた町の人々が集まり、楽しそうにお酒を飲んでいました。

そんな街の人々を眺めながら、僕もフルーティーな香りとほのかな苦味で抜群に美味いビターエール🍺を飲んでいると、1人の老人が入ってきました。
全体的にくたびれ感のある出で立ちなんだけど、それでもキチンとジャケットを羽織って、何か英国紳士のような風格が漂っていました。
そしてポケットからキッカリのコインを出してスコッチらしきお酒を注文すると周囲を軽く眺めて、あとは自分の世界に入って静かにゆっくりとお酒🥃を飲んでいました。
その姿は、まるで映画のワンシーンをみているような印象でした。

きっとそれがその老人の日課で、誰か知り合いがいないかと探したわけではないのでしょう。いつもと変わらない風景がそこにあることを確認したのだろうなと思います。

その一杯を飲み終わると、老人はバーテンダーにおやすみと言って満足したように帰っていきました。

1週間ほどの滞在で、例によって観光している時間はほとんどありませんでした。
でも、イギリスの小さな田舎町のパブで仲間同士が和気あいあいと楽しく過ごしたり、あるいは一日を締め括るように1人静かにお酒を飲んだりと、そんな町の人々の生活の風景に触れられたことが、短い旅の時間を色濃くしてくれたように感じます。
観光地を巡る旅も良いけれど、こんな風に旅先で触れる日常の一コマにこそ旅の醍醐味があるように思います。


#旅の余韻
#海外旅行

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