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約束

私には、未来が見えない。

でっかい病気を持っている訳じゃないのだけれど
名前の通り超がつくほどの低血圧だし、
貧血とは高校生からの付き合いで
しょっちゅう立ちくらみがするし。

医学には全然詳しくないし、
さっきも言ったようにでっかい病気は
本当にしたことがないのだけれど、
自分の体内に入っていく薬とか
正常な数値とかを見ていると
なんとなく私の未来って
短い訳じゃないけれど長くもなさそうと
思ってしまう。

だから、未来を想像することがあんまり得意じゃない。

それに加えて昨年夢まで捨ててしまった。
詳しいことは伏せるけれど、
ずっとなりたかったものに手が届きそうだったのにその手を自ら引っ込めてしまった。

だから今、本当に目の前に未来が見えないし未来行きの道標もない。

そんな私が今日、世界で1番大好きな人が主演の映画の、円盤発売記念舞台挨拶つき上映に行った。

自分でもまだ訳が分かっていないのだけれどたまたま取れた1番前の真ん中の席。

そこに座っているだけで申し訳なくなってくるような特等席の真正面にいる大好きな人が舞台挨拶の最後にこう言った。

「おじいちゃんおばあちゃんになったらこの映画を見返して感想を教えてほしい」

「おじいちゃんおばあちゃんになっても会いましょう」

その言葉は私を救った。

ずいぶんと先の未来に、ひとつ約束ができた。

そこに辿りつくまでの道のりはまだ見つけられていないけれど、絶対に辿り着かなくちゃいけない場所ができた。

なんでか分からないけれど私に与えられた特等席はもしかしたらこの言葉を真正面から受け取るために用意された席だったのかもしれない。

おばあちゃんにならなくちゃ!

大好きな人が「一生大切にしてください」と言った円形の物体を二生でも三生でも大切にしたいと思った、夢みたいな時間に未だにふわふわしている。

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