【忍殺TRPG・FMシナリオ】ハンティング・ハウンド・ドッグ
はじめに
本シナリオはニンジャスレイヤーTRPG向けのシティシナリオである。
シティシナリオは膨大な時間とGMのアドリブを求めるものであるため初心者GMにとってハードルの高いものと思われており「そんな高度なこと出来ないよぉ……」と敬遠されがちだが、本シナリオはGMが考えるべき事を極限まで減らし、「簡単に回せるシティシナリオ」を目指した。実際、想定プレイ時間はオンラインセッションで4時間程度と小さくまとまっている。
このシナリオでGM(以降NM)が体験するのは
・時間経過で変化するNPCの行動の管理
・PLの自主性(自由行動)の尊重と管理
・原作キャラクターのRP
・最終的なルート分岐の管理
である。本来これらはNMの創意工夫と経験を要するものだが、本シナリオは「制限時間」という枠を付与する事でNMが考えるべき事をコンパクトにした。ニュービーNMは是非このシナリオを回し「シティシナリオってこんな感じで良いんだ!」という成功体験を積んで欲しい。
概要
要求されるPCの強さ: 初期作成から8余暇スロットを過ごした程度のニンジャが3~4人
あると有利になる技能等: ハッキング能力、交渉能力
プレイ時間: オンラインセッションで4時間程度
ストーリー概要: ソイカイニンジャ「ガンドッグ」がソウカイヤへのミカジメ料横領がバレたのを機にヌケニンを試みている。また彼はソウカイヤの機密情報が入ったフロッピーを所持しており、これが外部に渡る事を阻止しなければならない。ガンドッグを発見・殺害し、フロッピーを物理的に破壊せよ。また、ガンドッグは直前にニチョームのオイランを殺害しており、ニチョーム自治会のニンジャ「ネザークイーン」も彼を追っている。ソウカイヤのメンツを保つため、ネザークイーンより先にガンドッグを殺害しなければならない。
マップ
このシナリオでは通常のマップは使用せず、簡易的なマップを用意した。探索箇所にコマを置き「今どこを探索しているのか」だけを記録する(トレジャーなどもここに配置してよい)。戦闘は拡張マス(x10, y5 の広さがあるので十分であろう)で行ってもよいし、雰囲気を重点したいのであれば2つめのテーブルに入れた駅前マップを使用してもよい。
ダンゴウ
PC達はソウカイニンジャ「プロコンスル」のもとに集められる。古代ローマ風のトガとSPQRと彫られた真鍮製メンポを付けたニンジャだ。彼は幾ばくか負傷している事が見て取れる。プロコンスルは以下のような内容を話す。
・ガンドッグはソウカイヤへのミカジメ料を横領しており、それを看破したプロコンスルに攻撃、逃走した。現場はニチョームの近辺である。
・ガンドッグはソウカイヤの機密情報が入ったフロッピーを所持している。これを発見した場合、中身は見ずに物理的に破壊せよ。中身を見た場合は粛清の対象となる。
・ガンドッグは逃走時にニチョームのオイランを殺害しており、ニチョーム自治会のニンジャ「ネザークイーン」が彼を追っている。ネザークイーンより先にガンドックを殺害せよ。
・ガンドッグは射撃戦が得意なニンジャである。
・ガンドッグはザイバツ・シャドーギルドへの亡命を試みる可能性がある事に留意せよ。
プロコンスルの口調は尊大で高圧的なものにすること。(プロコンスル:[ラテン語] 前執政官 / 代理執政官)
◆プロコンスル (種別:ニンジャ)
カラテ 6 体力 5
ニューロン 5 精神力 3
ワザマエ 5 脚力 4
ジツ 1(ヘンゲ) 万札 10
近接攻撃6(ヘンゲ9) 遠隔攻撃5 回避6(ヘンゲ9)
装備や特記事項
装備:古代ローマめいたトガ(追加ルールなし)
スキル:『●連続攻撃2』
『ヘンゲヨーカイ・ジツ』:ニンジャは大型の獣人や怪物に一時的に姿を変える。自分の手番開始時に【精神力】を1消費して、使用を試みられる。
成功すると一時的に【カラテ】が+3、【脚力】が+2される。ジツ使用判定に成功したか失敗したかにかかわらず、PCはそのターン中普通に行動できる。
【ジツ】値が1の場合、この一時的強化は、次のターンの自分の手番の開始時まで持続する。
同様に、2なら2ターン、3ならば3ターン持続する。効果が切れたターンの手番に改めて使用を試みてもよいが、
判定を行わずに変身状態を維持したい場合は、効果が切れるターンの手番開始時に【精神力】をもう1点消費することで、
能動的にXターンだけ効果を延長できる。Xの値は【ジツ】値に等しい。
ミッション開始
-探索可能地点一覧
PC達は広大なネオサイタマを捜索する事になるが、探索箇所をPLの自由提案に任せていると無限の時間とNMの脳内リソースを消費する。NMは、予め「ここにしか重要な情報はない」と断言し以下の地点を列挙してよい。もちろんNMは余裕があればこれ以外の地点を創作・提案を受諾してよい。
・ガンドッグの自宅
・ニチョーム近辺< プロコンスルとガンドックの戦闘跡地 >
・新幹線駅
探索ではシーン制を導入し、1探索シーン中での時間経過(例えば複数回UNIXへのハッキングを試みる)は全体のフェイズ進行に影響しない。チームを分けて1フェイズ中に複数個所を探索する事は自由である(最大2チームにとどめること)。これによりPC達は2フェイズで全ての情報を集める事が可能になる。
またNPCたちは、フェイズごとに独自の行動を行う。NMはフェイズ開始時に以下の予定表を確認すること。
【ガンドッグ】:3フェイズ目に新幹線駅に現れる。それまでは全体進行に影響を及ぼさない。
【ネザークイーン】:
・1フェイズ目: ニチョームに居る。
・2フェイズ目: ニチョームに居る。
・3フェイズ目: 新幹線駅に居る。
【プロコンスル】:
・1フェイズ目:トコロザワピラーで待機
・2フェイズ目:新幹線駅に居る。
・3フェイズ目:ガンドッグの自宅に居る。
NPCが独自に動くと聞くと尻込みしがちだが、基本的には探索箇所にフェイズごとのそこに居るNPCの行動を書いてあるので、その通りに処理すれば問題ない(ネザークイーンだけ特殊)。余裕があれば、PCの提案でNPCの行動を変化させても構わない(例えば真相を推察したPCがフェイズ3に達する前にプロコンスルをおびき出し、奇襲するとか)。
尚、3フェイズ目にガンドッグと接触できなかった場合、彼は新幹線に乗りキョートへと旅立つ(ミッション失敗)。つまりこのシナリオは3フェイズで情報を集め、ガンドッグと接触する事が目的となる。このタイムリミットはPLに開示しない事。ただし、「早くしないとガンドッグは亡命する」と伝える事は可。このシナリオのキモは焦燥感である。
-ガンドッグの自宅
雑居ビルの1室で、扉には鍵がかかっている。破壊するには【カラテ判定:Normal】もしくは【ワザマエ判定:Hard】に成功する必要がある。ただし、【カラテ】判定で破壊した場合にはトラップが作動し、ダメージ1、回避難易度Hardを受ける。ワザマエ判定の場合は解錠とともにトラップも解除される上、失敗した場合でも「どうやらトラップが仕掛けられている」と気付ける。
室内は雑然としている。UNIX、金庫、ガンラックがある。
【UNIX】
ハッキング【ニューロン判定:Hard】に成功すると、ガンドッグの日記が見つかる。どうやら彼はプロコンスルに対し内偵を行っており、プロコンスルが横領を行っていると疑っていた事がわかる。
【金庫】
物理錠がかかっており、【カラテ判定:U-Hard】もしくは【ワザマエ判定:Hard】で解錠出来る。中には「万札×PCの人数」と以下のものがランダムで入っている。
出目1-3: 万札3
出目4-5: 万札5
出目6: ZBRアドレナリン注射器
【ガンラック】
電子錠がかかっており、ハッキング【ニューロン判定:U-Hard】で解錠出来る。中には以下のものが入っている。この判定を2回以上行う場合、失敗するたびに回避不能の精神力ダメージ1を受ける。
スダチカワフ・ショットガン:遠隔武器、ダメージ2、小銃
グレネード:湾岸警備隊や暗黒メガコーポが使用する最も一般的な屋内突撃用グレネード弾。遠隔武器、手榴弾、使い捨て、爆発『カトンLV1』、『ボス級の敵』は回避判定可能
なお、3フェイズ目に来た場合、既にプロコンスルがいてUNIXは全て破壊されている。
-ニチョーム
マッポは既に撤収しており、霊柩車に被害者の棺が運び込まれる所である。オイラン等ニチョームの住民は「ミノコ=サン……どうして……」と泣きながら出棺を見送っている。
1、2フェイズ目に来るとネザークイーンが居る。彼(女)はPC達を見つけると、「ソウカイヤが何の用だ……? ミノコ=サン殺しておいてどう落とし前つけるんだッコラー……!」とヤクザ口調で詰めよってくるが、PC達のようなサンシタを殺したところで事態が悪化するだけだと理解しているため自分から戦闘を仕掛ける事はない。PC達が冷静に接した場合、以下のような事を話す。
・ミコノはゲイオイランパプで働くゲイオイラン。運悪くガンドックとプロコンスルの戦闘を目撃してしまったらしく、口封じに殺されたようだ。
・ミノコはカラテで殺されており、その遺体は獣のツメで引き裂かれたようになっていた。
ネザークイーンはガンドッグとプロコンスルを探しており、両者の引き渡しを求める。基本的には独自に調査と粛清を行うが、PC達との交渉にも応じる。
【共闘】: 交渉判定【ニューロン:HARD】に成功すると、PC達と行動を共にする。この判定難易度は高級ヤクザスーツ等の修正を受ける。 PC達が自分たちのミッションを説明した上で、ミノコを殺した犯人はプロコンスルなのではないか?等の疑問を漏らした場合、さらに難易度を下げてもよい。
当然であるが、PC達がニチョームの住民を人質に情報を引き出そうとした場合など、敵対的な行動で共闘を申し出た場合は、一時的に共闘を受けるものの最終戦闘で裏切るだろう(致命的なタイミングでエネルギースリケンをPCに投げてやろう!)。
-新幹線駅
1フェイズ目は誰もいない。PLを落胆させるのが嫌であれば、チンピラ(【万札】1を持っている)を出現させて小戦闘を行う、トレンチコートを着た背の高い男が新幹線に乗り込んだ、などの小イベントを挟んでもよい。
2フェイズ目はプロコンスルがおり、「まだ見つかっておらんのか!早くしろ!」とどやしつけた後、「ここは貴様らに任せる」と言っていずこかに去る(ガンドッグの自宅に行く)。
3フェイズ目に来るとネザークイーンが居る。基本的にはニチョームで出会った時と処理は同じ。ただし、3フェイズ目までに共闘関係が成立しなかった場合、ネザークイーンは他の場所を探すために去る(最終戦闘には介入しない)。
--ガンドッグの処理
3フェイズ目に来るとガンドッグが姿を現し(ネザークイーンの処理の後)、以下のような事を話す。
・自分はプロコンスルの横領を発見したが彼に察知され、ニチョーム付近で襲撃を受けた。IRC端末は戦闘中に喪失しており、ソウカイヤ上層部と連絡を取る手段もなく仕方なく亡命を選んだ。
・フロッピーの中身はプロコンスルの横領の証拠データである。
・フロッピーは渡すから見逃して欲しい。
・ニチョームのオイランを殺したのは自分ではない。プロコンスルが腹いせに殺した。
彼が話す事は全て事実であり、これが事件の顛末である。
基本的には、交渉に応じず彼を殺害すればミッションは成功である。以下にルート分岐ごとの処理を列挙する。
【ガンドッグと戦闘】
交渉が決裂し、共闘も亡命も許さなかった場合は戦闘になる。
ネザークイーンと共闘関係を結んでいた場合、話を聞いていたネザークイーンはガンドッグを信じ、苦言を呈する。それでも戦闘になる場合、ネザークイーンはガンドッグ側に立って戦闘を行う。
【亡命を許可】
機密フロッピーをPC達に渡し、新幹線に乗り込みキョートに亡命する(詳細な処理はデブリーフィング参照)。
【共闘】
PC達がガンドッグの話を信じ、プロコンスルの粛清を提案した場合、交渉判定【ニューロン:Normal】で共闘の申し出を受ける。この判定難易度は高級ヤクザスーツ等の修正を受ける。この場合、ガンドッグは各ターン開始時に援護射撃をしてくれるようになる。
またネザークイーンはプロコンスルの粛清には関わろうとしないが(ガンドッグを保護・キョートに亡命させ撤退)、既にPC達とネザークイーンが共闘関係を結んでいる場合は戦闘に参加してくれる。
プロコンスルは、「ガンドッグと戦闘中だ」等と言えばおびき寄せる事が出来る。この場合、彼はクローンヤクザ×PCの数を引き連れてくる(極力密集させる)。
◆ガンドッグ (種別:ニンジャ)
カラテ 3 体力 1
ニューロン 6 精神力 6
ワザマエ 6(4) 脚力 4
ジツ 0 万札 5
近接攻撃 3 遠隔攻撃 6 回避7
装備や特記事項
装備:『ノーカスタム・チャカガン×2』:連射2(難易度HARD)
『スナイパーライフル』:遠隔武器、ダメージD3、小銃、移動後射撃不可
『サイバネアイ』、『ヒキャク』(反映済み)
スキル:なし
共闘時はマップに配置せず、援護射撃を行う。対象はプロコンスルで、彼の回避ダイスを-3する。
◆プロコンスル (種別:ニンジャ)
カラテ 6 体力 5
ニューロン 5 精神力 3
ワザマエ 5 脚力 4(ヘンゲ6)
ジツ 1(ヘンゲ) 万札 10
近接攻撃 6(ヘンゲ9) 遠隔攻撃5 回避6(ヘンゲ9)
装備や特記事項
装備:古代ローマめいたトガ(追加ルールなし)
スキル:『●連続攻撃2』
『ヘンゲヨーカイ・ジツ』:ニンジャは大型の獣人や怪物に一時的に姿を変える。自分の手番開始時に【精神力】を1消費して、使用を試みられる。
成功すると一時的に【カラテ】が+3、【脚力】が+2される。ジツ使用判定に成功したか失敗したかにかかわらず、PCはそのターン中普通に行動できる。
【ジツ】値が1の場合、この一時的強化は、次のターンの自分の手番の開始時まで持続する。
同様に、2なら2ターン、3ならば3ターン持続する。効果が切れたターンの手番に改めて使用を試みてもよいが、
判定を行わずに変身状態を維持したい場合は、効果が切れるターンの手番開始時に【精神力】をもう1点消費することで、
能動的にXターンだけ効果を延長できる。Xの値は【ジツ】値に等しい。
◆ネザークイーン (種別:ニンジャ)
カラテ 5 体力 5
ニューロン 4 精神力 4
ワザマエ 5 脚力 3
ジツ 5(ムテキ) 万札 5
近接攻撃5 遠隔攻撃5 回避5
装備や特記事項
装備:なし
スキル:なし
★★エネルギー・スリケン:ムテキ・アティチュード中に受けた物理的ダメージを、破壊的なエネルギー弾に変換して射出する。
このジツを持つ者は、その戦闘中に自分のジツによる『ダメージ軽減』効果で無効化したダメージ数を、全てカウントしておくこと。
このカウントが1以上で、なおかつそのターン中に1以上のダメージを無効化していた場合、
術者は自分の「手番開始フェイズ」または「ターン終了フェイズ(効果を延長しているか手番以降に1以上のダメージ軽減を行なった場合に限る)」に、
【精神力】を1消費して「射出」を宣言できる。これは隣接する相手にも射撃可能である。
エネルギースリケン:『遠隔武器』、『ダメージX+1』、『回避難易度:HARD』
Xの値はカウントしたダメージ数に等しい(最大値は9)。Xの値が5以上8以下の場合、
上記の代わりにカトン・ジツの『カトン・ ボール』と全く同じルールにより爆発的なエネルギー衝撃弾として射出してもよい
(ダメージや回避難易度は『カトン・ボール』と同じとなり『遠隔攻撃判定』も必要としない)。Xの値が9の場合のみ、【精神力】を1ではなく2消費して、
『カトン・ボール』2発分として射出してもよい(『時間差』とみなされる)。射出した場合のみ、ダメージ数カウントは0に戻る。
また射出した時点で効果継続中の『ダメージ軽減』系のジツは、全て解除されてしまう。なお、「射出」の宣言は1ターンにつき最大1回までである。
このネザークイーンのデータは本シナリオに向け大幅にナーフしたものである。本家のものを使っても良いが、能力値15程度のPCでは絶対勝てないためルート分岐を実質的に制限してしまう。そのため、このデータのネザークイーンは「手加減している」と解釈し、体力が0になっても爆発四散せずに撤退するものとすると良い。
ネザークイーンはクローンヤクザを優先的に狙う。クローンヤクザを殲滅した後はプロコンスルを狙う(この場合、プロコンスルがネザークイーンを狙うかどうかは戦況により判断する事。PC達が著しく不利ならば2ターンに1度はネザークイーンを狙わせ、エネルギースリケンを使わせる)。
尚、プロコンスルの精神力が切れてヘンゲが維持出来なくなった=戦闘が4ターン以上続く 場合、アトモスフィアを1段階引き上げる。
-デブリーフィング
ルート分岐で主催が変わる。ガンドッグが死亡もしくは亡命した上でプロコンスルが生き残っている場合はプロコンスルが主催。プロコンスルが死亡している場合はソニックブームやシックスゲイツが主催する(評価A+の場合はラオモト)。
【評価】
A+: 誰とも共闘せずプロコンスルを粛清した。
A: ガンドッグと共闘しプロコンスルを粛清した。
B: ガンドッグを殺害しフロッピーも破壊した。
C: ガンドッグを取り逃がした(亡命許可)。フロッピーは破壊した。
D: ガンドックを取り逃がした(4フェイズ以内に接触出来なかった)。フロッピーも破壊していない。
【報酬】
A+:【万札】15×PCの人数分、【名声:ソウカイヤ】+3。さらにこの行動がラオモトの耳に入り、気に入られる。カルマ・ロンダリングを行ってよい。
A: 【万札】10×PCの人数分、【名声:ソウカイヤ】+2
B: 【万札】7×PCの人数分、【名声:ソウカイヤ】+1
C: 【万札】5×PCの人数分
D: 全員ケジメの上【名声:ソウカイヤ】-1
さらにネザークイーンと共闘していた場合、【名声:ニチョーム】+1。またネザークイーンを殺害した場合は【名声:ソウカイヤ】+1を追加で与える。
プロコンスルに対し「フロッピーの中身を見た」と言った場合、即座に戦闘になる。彼はクローンヤクザ×PCの数を呼び出す。この戦闘に勝利した場合は評価A+に格上げすること(確実にセッション時間は伸びるので報酬は差額に加えて【万札5】程度色をつけてもよい)。
評価B以下でソニックブームなどにフロッピーの中身を話した場合、後日プロコンスルが両腕ケジメした事が伝えられるだろう。この場合、プロコンスルはPC達に強い恨みを抱き、腕にサイバネ(おそらく非内蔵型近接武器)を施した上で今後のストーリーに介入してくる可能性がある。
余暇は4~5スロット与え、セッションは終了となる。
トラブルシューティング
Q. PLが予想外の提案をしてきたよ!
A. 処理できない場合は素直に「それは処理が難しいから、悪いけど却下だ!」と言いましょう。別に恥ずかしい事ではないです。また、「シナリオに書いてないからダメだ」もOKです(自作ではないシナリオはこれが言えるから最高だ!)。そのあと「でもその提案は面白かったから【万札】1あげるよ」という処理をすれば尚良いです。大事なのは、PLの自主性を損なわない事です。独創的な提案をして受け入れられたPLは(あるいは詫び【万札】を貰ったPLは)、「自分で考えて提案したら良い事があった!」と学びます。そうしたPLはよりシナリオを深く読み込み、考え、いろいろと提案してくれる事でしょう。NMはその中から「これは面白い事になるぞ(かつ自分でも処理できる)」と思ったものだけを採用すれば良いのです。そうして回されたシナリオは再現不能な唯一のものになり、満足度も高くなる傾向にあります。
Q. PLからの提案が多すぎて断るのが心苦しいよ!
A. 良い傾向ですが、その提案が著しくPLに有利なものな場合(例えばソニックブームを呼んでプロコンスルを殺させたいだとか、ヘルカイトやダイダロスにガンドッグの位置を割り出させたいだとか)は「それは君たち(PC)が居る意味がなくなるからダメ」と諭しましょう。これは意外とPL視点だとわかりづらいので(自分の利益を優先するのは当然の欲求)、優しく諭してあげましょう。
また、シナリオを破壊しかねないもの(任務放り出してニチョームで遊びたいとか)は「シナリオが壊れるからダメ」「任務失敗になるよ」と突っぱねてOKです。それでも強行したがるPLが居る? 一般通過ニンジャスレイヤーを出してそいつのPCだけにカラテするか、あなたが直接PLにカラテしましょう(いわゆるマンチは淡々と処分し、とっとと別のメンツと遊んだ方が色々楽です)。
Q. 提案受けてたら処理不能に陥った…
A. 謝った上で時間を巻き戻すか、原因になった提案を「なかった事」にして続行しましょう!磁気嵐!でも詫び【万札】も忘れずに。
また、ニンジャスレイヤー読者なら「NMはケジメしました。ごあんしんください」と付け加えれば大抵あんしんしてプレイを続行してくれます。
終わりに
シティシナリオってこんなに単純で良いのか?と思う向きもあるだろう。
結論から言えば良いです。シティシナリオの楽しみの1つは、PLが自主的に考え、PCに街を駆けまわらせる事である。PCの行動がシナリオの結末に影響を与え、時間経過で変化する状況の中で状況判断を迫られれば、それで十分PLは楽しめる。その点においてクローズドとシティに「新たなロケーションを追加出来るか否か」以外の違いはなく、本シナリオのように単純でもシティシナリオとして成立する。
つまるところ、「本格的なシティシナリオ」を作るときは主要なロケーションの情報だけ考えておき、あとはPLからの提案に任せ随時追加していき、NPCはPCの行動に合わせ臨機応変に行動を変える……とするだけでよい。予め用意しておいたロケーションやイベントの数だけ綿密で凝った演出が可能になる。
選択の余地のない1本道シナリオ(例えば戦闘結果のみが結末に影響するもの)で満足度を上げるのは難しい。ストーリーテリング技術であったり、1本道を1本道と認識させない技術力が必要になるからだ。そういう意味では状況に応じてロケーション=選択肢を手軽に増減可能なシティシナリオの方が回す上で気が楽ですらある。
より大規模なシティシナリオでは探索箇所はそれこそ無限大に広がるが、このシナリオでは時間制限をつける事で探索箇所の少なさに疑問を抱かせない構成にした。また簡易的ながらNPCが独自に動く事で「NPCは定型文を吐くだけの人形ではなく、ネオサイタマという街で生きている」事も表現可能だ。余裕があればこのあたりに留意してNPCのRPをしてみると良いだろう。
より大規模なシティシナリオではこの街は生きているという実感も湧かせられるはずだ。それこそがシティシナリオの1番の楽しみだと私は思う。
是非このシナリオを踏み台に、広大なネオサイタマを探索するシナリオを考えてみて欲しい。そして私をPLに呼んで下さい、ヨロシクオネガイシマス!