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妊娠がわかった日 │ 2024年秋

今振り返ると、その日から一週間前にはいつもと体調が違ったように思う。

夫と宮崎旅行に行った。私達は歩くことが好きで旅行に限らず、いつもよく歩く。その日も、宮崎の街を歩いていた。普段なら平気な距離だったと思うが、すぐに疲れてしまい、その疲れが尋常ではなく余裕がなくなり、「夜ごはん、どうする?」という夫のいつもと変わらない言葉に「ちょっと待って、疲れた、ちょっと座らせて。」と若干嫌な言い方をしてしまった。
夕食は近くにあった桝本に入り、美味しい辛麺をすすり体力も気持ちも回復したが、ホテルまではタクシーで帰ることになった。
疲れていたのかなあという結果になったが、その日はホテルで飲もうと用意していた現地のお酒も飲めずに就寝した。

それから約一週間後、気づけば生理が遅れていた。
と言っても、私は「多嚢胞生卵巣症候群(PCOS)」で、生理周期は元々安定していなかった。婦人科の医師から妊娠周期をしっかり整えるところから、と、クロミッドを飲んでいた時期もあったが、子宮外妊娠を経験し、色々と考えた結果、内服も中止した。
そもそも私達夫婦は結婚が二人とも40歳前であったのもあり、こどもは積極的には希望していなかった。二人でこれからも楽しく生きていけたらいいねと結婚した。なのでクロミッドを終了した後は基礎体温も測らず特に何も考えていなかった。
ただ今回の生理の遅れはいつもよりも長いようにも感じて、ドラッグストアで妊娠検査薬を購入し、夫に相談してから検査をしてみた。

トイレから検査キットを持って「やっぱり線出てないから気のせいかなあ。」と夫に近づいていくと「え、出てるやん!それ、陽性だよ!」と夫が大きな声を出した。
もう一度、視線をキットに落とすと、線がしっかり出ていた。
二人で何度も確認したけど、陽性だった。正直びっくりして、喜びよりも驚きが先行して、言葉にならない発声をしていたように思う。

二人ともこどもは積極的には望んでいなかった、と先に書いたが、結婚後、自分達の兄弟のこどもや、孫を見て喜ぶ両親を見て、お互いに内心「自分達にこどもができたらどんな感じなのかな。」と考えていたことを、陽性判明後にお互い告白した。年齢のことや体調のことで2人とも素直に言えなかった気持ちだった。

なんでもすぐに話し合いをする二人なので、その日にすぐ決まったことがある。(これは後で修正が入る)
・安定期に入るまでは周囲に言わない
・親への報告は体調を見ながら
・職場への報告は必要に応じて、お互いに相談してから
・高齢出産でもあるため、NIPT検査(新型出生前診断)を受ける
・1ヶ月後に結婚式を予定していたので、内容は体に負担がないものを考える
・まずは妊娠できたことを喜び、これから何があっても受け止める

その日、夫は「ああそうかあ、親になるのかあ。あ、いやいやまだまだわからないことが多いからそんなにプレッシャーに思わんでな。」、私は私で「すごいなあ、妊娠したな、あ、まだ安定期に入るまでは色々あるからわからないけど。」など、お互いの性格なのか職業病なのか、100%の喜びを表現できないながらに、ニコニコしながら過ごした。

二人で、何故妊娠できたのか、考えてみた。
結婚式前でもあったので、私は体型のために数ヶ月前から毎日運動をしていた。エアロバイクを1時間以上漕いだり、ウォーキングをしたり、汗をかくようにしていた。夫もダイエットと体力作りで筋トレをしていた。食事は100%玄米の主食に、栄養バランスを考えた献立で、外食も旅行や特別な日にしかしていなかった。そして、毎日運動していたこともあり、夜更かしせずに眠くなることができており、睡眠時間がしっかり確保できていた。
たまたまではあるが、二人とも生活の乱れがなかったように思う。もしかしたらそれがよかったのかな、と、真相は神のみぞ知る、だけど、二人で答えを出した。

まあでも理屈はともかく、このありがたい縁を大切にしようと、妊娠生活がスタートした。

これから始まるつわりの日々や、職場でのトラブルなど予想することもなく、その日は幸せな気持ちで床についた。

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