作詞の方法

こんにちは、fizfelisです。

私はTwitterでたまに詞をつぶやいています。たまにだと思ってたのですが、調べてみたら全ツイート中の約1割が詞のツイートでした。それだけ詞を作ってるなら、そのノウハウみたいなのを公開したら、作詞で悩めるボカロPさんの助けになるんじゃないかと思って、このnoteを書いた次第です。

ちなみに私のつぶやいた詞(上にまとめてあります)は、ご自由に使っていただいて構いませんが、ご使用の際はクレジット(fizfelis)の表記をお願いします。
使った際はご一報いただけると嬉しいです。
なお、著作権等の放棄はしていません。自作発言等はおやめください。
改変や曲中等でのご使用などに関しては、TwitterのDM等までご相談ください。

私の方法論に入る前に、本を一冊ご紹介させていただきます。
・仰木日向 「作詞少女」 YAMAHA
です。この本はラノベ形式で、わかりやすく作詞の技法が書かれています。是非一読するのをおすすめします。作曲少女シリーズもおすすめですよ。

作詞の方法

これから紹介するのは私独自の作詞法です。ですので、おそらくすべての方にとってやりやすい方法ではないと思いますが、何かの参考になればと思って公開させていただきます。

ざっくりとした手順

1. 曲の世界観を決める
2. その曲で何が言いたいのかを決める
3. 曲の世界に対して詞を書く
4. パズルを解く
5. 細かい表現を吟味する

具体的な手順

1. 曲の世界観を決める

曲の世界観というのは、何を曲にするのかというのを決めたときに勝手に決まるものです。少なくとも私の場合は。ですので何を曲にするのか、という曲のテーマを考えます。曲のきっかけはそこら中に転がっています。その中から、曲を作るに足り得るというテーマを拾ってきます。私の場合は、日頃の想いやふと浮かんだフレーズであることが多いです。

テーマが決まったら、曲の世界観が決まります。これは考えて決めるものではなく、勝手に決まるものだと思ってます。世界観というのは、曲のテーマが決まった瞬間、聴こえてくる聴こえない音楽、目の前に広がる世界のことです。その曲のテーマを選んだ時、何か音楽が聴こえませんでしたか?一つの世界が目に浮かびませんでしたか?それこそが曲の世界観です。

以降は、この聴こえない音楽に満ちた曲の世界の中で創作を行います。

2. その曲で何が言いたいのかを決める

曲の世界観は決まりましたが、それはまだふわふわとしてつかみどころのないものです。すでに音楽は聴こえているので、作詞を始めることは可能ですが、その前に曲の目的をもう少し明確にしておきます。これは迷ったときに振り返って指針にするためのものです。

曲の目的、コンセプトを決めましょう。それはつまり、この曲で何が言いたいのかです。別に何か伝えたいメッセージがある必要はありません。ただ、何を表現したいのかは明確にする必要があります。

コンセプトが決まったら、それを自分に分かりやすいように言葉にしてまとめます。実は作曲だけをするならコンセプトを言語化する必要はないかもしれません。それを体現するのが音楽そのものだからです。しかし、作詞をするなら絶対に言語化が必要です。これから扱うのが言葉だからです。

このコンセプトの言語化が、おそらく曲における一番最初の選択です。言語化した瞬間、あなたはもしかしたら、何か取り返しのつかない、曲の世界の変質が起こったことに気づくかもしれません。その感覚は多分正しいです。創作とは曲の世界に無数にあった可能性の中から、一つの世界線を選び出す行為だからです。そして、それはおそらく、自分が選んだようでいて、完全にはコントロールできないような、そんな代物です。

私は作詞の初期の段階で、曲のタイトルを決めてしまうことが多いです。それは、タイトルが決まることによって、ふわふわしていた曲の世界の境界がばしっと決まる感じがするからですね。タイトルには曲の世界観と伝えたいことがたった一言で表現されています。先ほど書き下したコンセプトをこれから何度も振り返って判断の基準にするわけですが、その際に私はコンセプトの代わりにタイトルを使うわけです。この辺は好みの問題ですね。

3. 曲の世界に対して詞を書く

さて、いよいよ作詞をしていきます。
詞を書くポイントですが、その詞を読んだときに何かしらのメロディが浮かぶかを指標にしてください。ただの文章と詞の違いは音楽性の有無です。音楽が聴こえれば、それは詞と呼ぶに値すると思います。

最初にまず、コンセプトの言葉を読みながら、曲の世界に流れる聴こえない音楽に耳を傾けてください。曲先の場合は、メロディを流しながらですね。そしたら、まず一番言いたいことを決めてしまいましょう。コンセプトを曲の世界観と音楽に合わせて詞にしてみます。この詞が、この曲のキーフレーズです。納得のいくまで書き直してください。といいつつ、一番最初に浮かんだ素直な表現が一番良かったりします。参考までに。

このキーフレーズが、コンセプトの次に重要な言葉です。これからの作詞はこのキーフレーズに収束するように書いていきます。キーフレーズが決まったら、曲中のどこに置くかも仮決めしておきます。曲をどういう風に展開するかの指針になるからですね。もちろん仮決めですので後から変更しても大丈夫です。

次は人にもよると思いますが、曲の導入を決めましょうか。歌いだしは、曲の世界観に引き込む役割を持ちます。ここでどういう世界を設定するかでその後の展開が大きく変わってきます。キーフレーズとこの導入で大まかに曲の世界を切り取るわけですね。私はここに心象風景の描写を持ってくることが多いですが、やっぱり曲によりますね。曲の世界観とコンセプト、収束先のキーフレーズを見ながら丁寧に設定していきましょう。

曲の大枠が決まったので、これから中身に入ります。ここからはもう正直自由にやって構いません。曲の導入の続きを書いてみたり、キーフレーズへとつながる展開を書いてみたり、曲のラストを書いてみたり、思いつくままに作詞してください。ただ、その際の注意点としては、常にコンセプトに帰るということです。書いた詞がどんなによくできていてもコンセプトに沿わなければ採用してはいけません。これさえ守れば好きに作詞して大丈夫です。

好きにしてよいといいましたが、実際にやってみると、実は案外好き勝手出来ないことに気づくと思います。言いたいことを選択して確定していくと、段々曲の世界が収束してきて、身動きが取れなくなってくるのです。私は作詞は自由度の高いパズルのようだと思っています。こういうことを言いたいな、というピースをいくつか作ると曲自体が変質を起こして、勝手に完成してしまうのです。そうなってしまうと、次にやるべきは、作詞というよりは、そのパズルを解く作業になります。

4. パズルを解く

3. の工程で言いたいことのピースはある程度出揃いました。次はこれを組み上げていきます。といってもあんまり自由度はありません。むしろ完成形はすでに決まっていると思ったほうがよいくらいです。そのしっくりくる完成形を探していきます。

これは最早、勘の領域なのですが、パズルのピースが嵌まるように、これだという組み合わせが少しずつ出来てきます。そうすると、今度はその小さい組み合わせ同士を組み替えたりして、どんどん確定した場所を大きくしていきます。

また、場合によっては作ったけど使わないピースも出てきたりします。そういう時は潔く捨てるか、他のピースとの融合を試みます。実は作詞においては、何を言うか以上に何を言わないかも重要だったりします。迷ったらコンセプトを見直しましょう。

出来上がってくると、足りないピースがあることに気づきます。そういう場合は適宜ちゃんと隙間に嵌まるようにピースを作ってください。必ず隙間を埋めるピースがあるはずです。

この、パズルを解く工程ですが、多分世間一般では構想を練るというんじゃないかと思います。ですが、普通構想を練るのって、具体的に創作を始める前にするものですよね。なので、もしかしたらしっかりと本来の意味で構想を練ってから、創作に取りかかればもっとスムーズなのかもしれません。これもご参考までに。

5. 細かい表現を吟味する

ここまでで、ほぼ詞は完成しています。あとは、細かい表現を詰めていきます。文字数を合わせたり、同義語を当たったり、言葉の順序を入れ替えたりですね。納得のいくまで吟味しましょう。特に詞は音楽につけるものなので、歌った時の響きも意識するとよいと思います。韻を踏んだり、同音異義語を連想させたり、いろいろありますが、これも好きにしてください。

これで作詞は終了です。やはり作詞の肝はピースを作るまでで、それ以降は作業のような気がしますね。ですが、どの工程も重要なので丁寧に行いましょう。

曲先と詞先の違い

当然ですが、最初にメロディがあるかどうかの違いです。曲先の場合は、世界観の中で流れる音楽がすでに決まっているので、それに対して詞を付けていくことになります。また、曲の構成も決まっているので、パズルの形も最初からだいぶ制限を受けますね。ピースの大きさ、字数等も最終的にはきちんと合わせなければなりません。ですが、制限があるということはある意味では作りやすいということもできます。自由すぎるのも困りものだったりしますからね。

詞先は、逆に制限がないためとっても自由です。好きに作れますが、上でも触れたとおり、音楽性を持たせることに気を付けてください。私が「詩」ではなく「詞」とずっと表記してきた理由はここにあります。読んだときにメロディが聴こえてこなければ、それは詞ではありません。具体的にメロディを詰める必要まではありませんが、ちゃんと音楽にしてくださいね。

さて、個人的におすすめなのが、作詞・作曲を同時にやる方法です。この方法だと、作詞と作曲両方の自由度をかなり高く保ったまま、曲が作れるため、かなり好きに作れます。イメージとしては、メロディ付きの詞をピースとして作っていって、パズルを解くという感じですね。楽しいのでおすすめです。

おまけ

私がTwitterにつぶやいている詞の作り方を簡単に説明します。

まずとっかかりですが、ふと頭に浮かんだ言葉やフレーズで作ることが多いです。特に浮かんでこなければ、適当に身の回りにあるものをテーマにすることもあります。あとは、夢で見た映像や音楽とか、実際に何かの音楽を聴きながら、絵を見ながらなどなど、様々ですね。

テーマが決まったので、世界観が決まります。その次は、聴こえてくる音楽に合わせて詞を書くときと、世界観に合わせた音楽を作るように詞を書くときと2通りあります。どちらにせよ音楽ができることは確かですね。

ただ、実際のメロディまでは詰めないことが多いです。読んだときに音楽が聴こえてきて、一つの世界が目の前に広がればそれでOKくらいのゆるさで作ってます。コンセプトも決めてないことが多いですね。ふわっとした心に浮かんだ何かを、そのまま詞にする感じです。

そんな感じで、めっちゃゆるく作ってますが、そこに何かを感じていただけたり、気に入っていただけたりしたら幸いです。

終わりに

ちょっと長くなりましたが、作詞の参考になれば嬉しいです。
ボカロPの始め方では、私の作曲方法やボカロの調教方法なども書いたのでそちらも参考にしてみてください。

それではまた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?