どう受け止める?

Etape14 の勝敗を分けたのは、そこにいた観客たちであった。

最後の超級山岳のクライマックス。ポガチャルがアタックして、ビンゲゴーは少し遅れをとりながらも同じペースを刻んでいた。2人の力は完全に拮抗している。その後ビンゲゴーがポガチャルに追いつき、そしてポガチャルの前に位置どり様子を伺っていた。この時ビンゲゴーが何を考えているのか分からなかった。スプリントのパンチ力で言えばポガチャルに軍配が上がると認識していたし、ビンゲゴーは自ら不利な状況に身を置いているようにしか見えなかった。

次の瞬間、ポガチャルが再びアタックを仕掛けた。かなりエネルギーを使ったインパクトのある攻めでコレはやばいと思ったが、残念ながら前を行く2台のモトに阻まれ、失速してしまった。

このシーンは私にとってかなり強烈だった。あのまま行けばポガチャルがKOMを取っていた可能性が十分にあると思えるからである。という事は総合成績に大きく影響するという事であって、コメンテーターはそのことについて深く掘り下げて言及することはなかった。

確かに何を言っても事実が変わるわけではないが、あのレキップのモト&フォトグラファーが完全に悪いのか?というとまったくそうではない。彼らはあの件でペナルティを喰らったわけだが、なかなか理不尽な制裁である。

モトがポガチャルのアタックを阻害したという事実の根源を辿ればそこにいた観客たちが空間を圧迫していたからであり、勝負ができるハズのコースを塞いでいたからだ。モトは本来はもっと距離を保たなければならないが、観客が多く群がると捕らえるべき選手ではなく観客しか映らないということになる。したがって、距離を近くして先頭を争う2人を収めるワケである。

そんな状況で、あの爆発的なアタックには反応できないし、避けるスペースもないし、急加速するにも観客が邪魔で何もできないという事になる。

あの状況でどのように反応すれば良かったのか?非常に難しい。強いて言えば観客を外に押し出しつつ停止しラインを明確にするしかなかったのかもしれない。

観客はレースを盛り上げるつもりがレースをぶち壊す。己の行動の影響する範囲を自覚できていない。

私はあの事象を見て、受け止められず困惑した。

選手たちは、その状況もよく理解しているハズであって、そうであればあのタイミングで勝負を仕掛けたポガチャル自身の考えが浅かったと言うのだろうか?

その後のポガチャルのレース運びは冷静さを欠いていたと感じる。かなり納得が行かない心境であっただろうと想像する。行き場のない苛立ちをどう発散すれば良いのか分からない、心の乱れが伝わってきた。

観客たちの配慮のなさには正直苛立ちを覚える。
コース沿いで選手に触れるくらい近い距離で観れるのはロードレースの大きな魅力だ。だがその自由さには行動への責任も伴って然るべきである。選手のラインを塞ぐな。コーナーのインに入るな。勝負を仕掛けるスペースを空けろ!なんか知らんけど至近距離でヒラヒラさせるな。TVに映ろうとするな!お前らがレースをぶち壊したのだと自覚しろ!

モヤモヤがとまらない。あの1秒は重たい。しかしその1秒という結果は完全な2人の勝負の結果ではなく、水を指すヤツらが招いた結果である。

自分には関係ないから気にしなければ良いんだが、真剣勝負を観ていただけに思い入れも強くなる。あのバカどものせいで心が曇ってしまった。

お金があったらあの峠全域に柵を並べて置きたい。観客が一線を超えてレース結果を左右するほどの影響をもたらすのであれば境界を立てるしかないじゃないか。まぁそれも全く現実的ではないのだけれど…

めちゃくちゃ良いレースだったのに、めっちゃ後味が悪い。

私の心はコレを受け止められない。
事実だけが残るが、あのポディウムが持つ意味が薄れていく。鮮やかな黄色が薄れていく。

直感型で感情や情緒で思考する。理想主義で完璧主義… 私自身の性格判断は的を得ている。

コレも事実として受け止めなければならんのか…

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