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GFXとSigma Art:50mm F1.4 DG HSM

Sigmaがプロダクトラインを刷新し、Artラインとして35mm F1.4を発売したのが2012年11月。従来では考えられない重量と解像度で一大センセーショナルを巻き起こしました。続いて2014年4月に同じコンセプトで50mm F1.4を発売。こちらも随分良い評価で迎え入れられた記憶があります。

気づけばもう2024年、それももう10年前のイベントです。ついこの前のことのような気がするのですが、なんと10年も前…時の流れは残酷なものです。
今となっては10年も前のレンズをレビューするなんて、Sigmaさんからお叱りを受けそうな勢いですが、しかし逆に言えば、10年経ってやっと、Sigma Artラインが到達したい解像度にセンサー側が追い付いてきたとも言えます。1億画素で見るArtラインの評判の立役者は、どんな写りなのでしょうか。


諸元

Sigma Art 50mm F1.4 DG HSM

いつもどおり、最初にSigma Art 50mm F1.4 DG HSMのスペックから始めたいと思います。

超高画素時代にふさわしい圧倒的な描画力。
大口径標準レンズの決定版、誕生。

SIGMA公式WEBサイト / https://www.sigma-global.com/jp/lenses/a014_50_14/
SIGMA公式WEBサイト /  https://www.sigma-global.com/jp/lenses/a014_50_14/

まず初めに記載しておくべきことは、GFXにおける50mmは、フルサイズ換算40mmの画角だということです。コダワリの多い標準レンズ界隈において、この画角の違いは最重要事項です。

そうしてみたときに、この50mm F1.4は8群13枚、重さ905gとなっています。一般的な50mm F1.4と比べれば重たいでしょう。しかし、どこかのArtラインの40mm F1.4が12群16枚、重さ1,295gであることを思い出してほしいと思います。その40mmが最高画質であることはさておいて、私は「GFXでフルサイズ換算40mmの画角が使いたい」のであると気づいたとき、Sigma Art 50mm F1.4 DG HSMを買わない理由は存在するでしょうか?なぜならば、フルサイズ用のArt 40mm F1.4と比べて、明らかに安価で軽量だからです。そう、このレンズは安くて軽いのです(感覚が狂っている)

そう感じたとしたら、このレンズは非常に使いやすいスペックです。フィルター径も77mmで一般的ですし、もしフィルターシステムを82mmで揃えていたとしても、ステップアップリング1つで共用可能です。1kgを切る重さはカメラとのバランスも良く、最短撮影距離も現実的。標準レンズとしてこれ以上何を求めれば良いのでしょうか?

カメラとマウントアダプタ

いつも通りカメラはFujifilm GFX100S、マウントアダプタはFringer EF-GFXを使用します。AE・AF・Exif等の互換性に問題なし。

気になる周辺減光やケラレですが、このレンズに関して言えばFringerのVignetting Correctionによって周辺減光は緩和され、それほど気になりません。解像度の低下はやはり見られ、遠景などの風景撮影であればF5.6以上に絞りたいなと思います。一方で、実際の撮影では周辺部の解像度の低下は気にならないことが多く、好みではありますがガンガン絞りを開けて使う方が楽しいと感じます。

実際、このシリーズで投稿している写真はすべて撮って出し、ノートリミングのJPG。収差や解像度がどれほどなのかは、作例の項で確認していただければと思います。

作例

今回は台湾に行った時の写真を持ってきました。ずっとKANIのブラックミストフィルター(シネマディフュージョン)#0.5を付けっぱなしにしています。本来そういったフィルターを使わないのが正式なレビュー記事だとは思いますが、実際そんなお堅い記事を期待している人は居ないと思いますので、考慮せず載せちゃいます。

射的で無双する女子高生にビビる

なんか台湾の夜市って独特なんですよね。常設だからか、お祭り騒ぎって程のテンションの高さはない。でも遊びの場ではあるので、皆が楽しく過ごし、賑わってはいる。お酒はないけど、美味しいご飯とスイーツがある。ちょっと蒸し暑く、でも不快ではない。

伊勢海老は台湾にもいる
水槽

日本人にとって、異世界と言うほど全く別の世界ではなく、しかし明確に違う国を感じる。そんなちょうどいい距離感が台湾の魅力。

これは早朝の魚市
バターコーン最高

次の写真は、近距離側の画面隅がいわゆるグルグルボケ(サジタル方向の非点収差)となっていることが分かります。通常のフルサイズイメージセンサでは影響のないエリアですが、GFXではそれより広い範囲を使用するため、通常では分からない収差が見て取れます。

そうは言っても、レンズの収差にそれなりに知識のある人が、特定の条件の写真を見てやっと分かる程度で、実用上の影響はないと言い切っても差し支えないでしょう。実際、ピントが合っているイスの部分には収差は全く無いのですから。

街角の織物工場
機械に宿る歴史

このレンズに限った話ではありませんが、こういうインダストリアルで、かつ歴史を感じるアイテムを撮るのが楽してしようがないのは何故なんでしょうね。

糸巻の数は造ってきた製品の数

まとめ

誤解を恐れずに一言でまとめるのならば、バランスの良いレンズ、と言えると思います。画質と絵作りのバランスです。解像度は高すぎても違和感があるし、低ければ不満になるものです。一方でこのレンズは十分な解像度を持ちながら、不足と感じさせず、余剰のリソースを使ってボケや立体感を描写する。Sigmaが標準レンズの決定版と評するのも分かります。

朝市の終わり

まぁ正直な話、私がフルサイズ換算40mmの画角が好きという事も多分に含まれています。私にとっては使い勝手の良いレンズ。GFXのGF50mmF3.5 R LM WRを使えば、もしかしたら気持ちも変わるかもしれませんが…

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