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GFXとSigma Art:105mm F1.4 DG HSM

Bokeh Masterとして知られるSigma Art 105mm F1.4 DG HSMに、フルサイズを超えるイメージセンサを持つGFXを組み合わせたらどうなるのか、気になりますよね。きっと見たことのないボケボケワールドが広がっているんだろうと思って買ったら図星でした。

散る桜

諸元

Sigma Art 105mm F1.4 DG HSM

まずは最初に、Sigma Art 105mm F1.4 DG HSMについて、性能をおさらいしておきたいと思います。

同ライン最長焦点距離となるこのSIGMA 105mm F1.4 DG HSM | Art は、最高レベルの解像力とボケ味を発揮、アウトフォーカス部の描写までこだわり尽くした「BOKEH-MASTER」ともいうべき1本です。

SIGMA公式WEBサイト / https://www.sigma-global.com/jp/lenses/a018_105_14/
レンズ諸元 / SIGMA公式WEBサイト
https://www.sigma-global.com/jp/lenses/a018_105_14/

Art 105mm F1.4 DG HSMはフルサイズ用Artラインの最大口径。重量は1.75kgというヘビー級です。DSLR用レンズでは重さを度外視したSigmaとはいえ、ミラーレスカメラ用レンズになると多少は重量を気にし始めたようで、これより重いArt単焦点レンズは未だ出てきていません。

レンズ構成は12群17枚と、中望遠単焦点レンズではなかなか見たことがない数字が並んでいます。焦点距離や世代こそ違いますが、NIKKOR Z 85mm f/1.2 Sが10群15枚ということを踏まえると、高画質に対するやる気が見て取れます。
フィルター径も105mmと、Sigmaのズームサンニッパ120-300mm F2.8 DG OS HSMと同じです。フィルター径からしてもこのレンズが規格外という事が理解できると思います。

三脚座が付属していますが、個人的には常時三脚座を取り外して使用しています。確かに重量はあるのですが、この程度の焦点距離であれば三脚を使うことは少なく、手持ちが主流であること、そのために少しでもレンズを軽量にしたいということが主な理由です。

カメラとマウントアダプタ

カメラはFujifilm GFX100S、マウントアダプタはFringer EF-GFXを使用します。GFX100Sについてはありとあらゆる場所でレビュー記事が書かれているので説明は不要でしょう。

マウントアダプタFringer EF-GFXについては別記事を書きたいと思いますが、現状で最高レベルのEF-GFXマウントアダプタであることは間違いないと思います。
このアダプタを使って色んなEFレンズを使用してきましたが、対応表にラインナップされているレンズであれば互換性に問題はありませんでした。S-AF性能は十分で、不安なく合焦してくれます。純正レンズと比較すれば、C-AF性能が明確に劣りますが、マウントアダプタ経由であることを考慮すると仕方ないところだと受け入れています。

Fringer EF-GFX / https://www.fringeradapter.com/canon-ef-to-fujifilm-gfx

LaCA CorrectionやVignetting / Distortion Correction なども精度が良く、とくにVignettingに関しては、楽しめる軽度のVignettingについても容赦なく補正してくれるせいで少し味気なく感じるほどです。

作例

Art 105mm F1.4 DG HSMはフルサイズ用ということもあり、一回り大きなイメージセンサを持つGFXで使用できるのか?というのは皆が気になる所でしょう。百聞は一見に如かず、作例を見ていただければわかるかと思います。

浮き立つような鳥居の迫力は大口径の成せる業

もちろん、隅を見れば若干の緩さはあります。像の流れもある。しかし、そもそもの話、このレンズに求めるのは周辺部の解像ではないのです。無類の大口径から来る、浮き立つような迫力を求めているのです。
その点についてはご安心を。他の追随を許すことのない立体感がそこにあります。

桜との相性は最強

ここ最近はLightroomでRAW現像をして、良い感じの色味に調整し、ノイズを減らし、被写体が浮き立つようシャープネスを掛けるのが当然の世の中です。ソフトフィルターを掛けたり、彩度を高めたり、気を引くためのテクニックには事欠きません。そんな世の中でも、画像処理で誤魔化せない領域を作り出してくれるのがこのレンズです。そしてそれと同時に、その違いが、普通の人に見て取れるというのも大切であったりします。

届くけど、届かない

今回の記事で投稿した画像はすべてGFX100Sから吐き出させたJPGファイル無編集。私は基本的にRAW現像派ですが、現像なしでも十分インパクトのある仕上がりになっていることはご理解いただけると思います。

視線

中望遠レンズで撮っても赤牛とはこれだけ距離が離れているのに、赤牛の目もほとんど見えないほど小さいのに、赤牛がこちらを見つめていることがパッと見で分かる。被写体が遠くても、前景や背景を上手く整理できる大口径中望遠レンズならではの魅力です。

向いている人、向いていない人

このレンズ、全く万人受けはしません。
重量があっても他人と違う写真が撮りたい、少々お金を叩いてでもボケた写真を撮りたい。そういう人には真っ先にお勧めできるレンズです。被写体や背景、撮影距離の組み合わせ次第だとは思いますが、過剰なボケボケ写真ではなく、立体感のある映像に上手く落とし込むことも可能です。
画質を追求する趣味人には自信を持って推薦したいですね。

向こう側の世界

一方で、コンパクトさや気軽さを重要視する人にはお勧めできないのはスペックからして明らかです。また、フィルター径が105mmと異常に大きく、撮られ慣れていない被写体さんからすると圧迫感を感じることも。

そういう意味では職業カメラマンさんにも不向きでしょう。短い時間でどれだけレパートリーに富んだ写真が撮れるかが勝負な商業用途では、いくら立体感が出せるからと言って、対応力に欠けるレンズを持ち運ぶわけにはいきません。大口径ズームが好まれるのはそういった点を評価されてのことでしょう。

まとめ

中望遠レンズの一つの到達点と言っても過言ではないでしょう。
同様の焦点距離とF値で発売されているのは、本レンズとニコン AF-S NIKKOR 105mm F1.4E ED、Zeiss Otus 105mm F1.4のみ。NikkorやOtusもいつか使ってみたいですが、それに負けず劣らず優れたレンズであることは間違いないです。
中判用レンズでは、PENTX67 SMC 105mm f/2.4があるくらいで、f/1.4は聞いたことがありません。
それを44mmx33mmのGFXで実用的な運用ができる。これほどまでに面白く個性的な使いこなしは中々ないのでは。

冬へ向かう道

きっとこういう使い方をしたい人はもう既にお持ちでしょうから、今更Noteを書くほどでもないのかもしれませんが、「ちょっと人と違う機材の選び方をしたい」と思っている人の背中を押せたらいいなと思っています。

編集後記

やっぱり写真関係のNoteをやっているなら、レンズ評論家ぶった記事書きたくなりますよね。正直もうその辺ド素人なんですが、それっぽくなってたら…いいな。


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