BugLug「i CON」発売記念インタビュー
ー 久しぶりのオリジナルアルバム「i CON」のリリースですね。
先にリリースされたシングル「ひとりごと。」、「OZ」で新たな進化を遂げたBugLugのニューアルバムということでどんな作品になるのか楽しみでした。このアルバムタイトルの「アイコン」というタイトルにはどんな意味がこめられているのでしょうか。
一聖 今のBugLugの全てというか、今のスタイルっていう意味で”アイコン”というタイトルをつけました。これは昔から変わらないんですけど、楽曲面に関しては決まった方向性みたいなものはなくて、そういう意味では変わらない”アイコン”、”スタイル”ではあるんですけど、あらためて今いろいろな方向性だったり、表現方法をしていくっていう意味での”アイコン”というタイトルにしました。
ー アルバムのオープニングを飾るのは「EZUKU」ですが、新しいBugLugの世界の幕開けを思わせる楽曲ですね。この楽曲を最初に持ってこられたのはなぜでしょうか。
一聖 一番ポップで弾けやすいっていう印象があるし、とても前向きなメッセージ性があるっていうところでアルバムの最初に持ってきました。
一樹 楽曲を作り始めた時に疾走感のあるイメージの曲だったので一曲目っていうのはすごくいいなって思いました。
ー 一聖さんは先日、SNSで日本語をローマ字表記にしてタイトルをつけることに触れられていましたがこの曲もそうですね。
一聖 そうですね。思えば。(笑)
ー どういう時にそういう発想が出てくるのでしょうか。
一聖 なんなんでしょうね。僕の感覚かわからないですけど、特にこうしなきゃって思ってローマ字にするわけじゃなくて、これはローマ字だなっていう自然発生ですね。特に意識はなくって感じですね。
ー 続いて、MVにもなっている「F.E.V.E.R」ですが。実にBugLugらしく、よりスタイリッシュでノリの良い楽曲になっていますね。この曲を表題曲にした経緯を教えてください。
一聖 今回アルバム制作ってこともあって、今まで以上に選曲会を何度も繰り返しながら、大量に楽曲がある中で、「F.E.V.E.R」って曲が面白いし、ポップ性もあるしこれにしようって感覚だったと思います。
ー 一番の決め手はBugLugらしさでしょうか。
一聖 どうなんですかね。BugLugらしさは確かにあると思うんですけど、楽曲としては新しくて、ファンクだったり、シンセだったりが昔っぽい音で入ってたりとか、僕らのもとからあるポップ性もあるんですけどプラスアルファいろいろな新しい要素が入っている楽曲かなって思います。
ー ほんとにこのアルバムは、作品に収録されている一曲一曲がそれぞれの魅力を持っていると思いますが、次に収録されている「♪えいりあん♪」は面白い楽曲ですね。ライブでの楽しそうな景色を想像してより楽しみになりました。
燕 そうですね。歌詞の内容的にも面白いなって思っていて、楽曲的にもメインがシンセなので、がちゃがちゃしたフレーズを入れ込むというよりは、シンセをベースにレコーディングしていった曲ですね。ライブでも”ワレワレ ハ チキュウジン ダ”の部分とか、どうなるんだろうなって思いますね。なんか面白いことをできたらなって思ってます。
一聖 今言っていた”ワレワレ ハ チキュウジン ダ”っていうフレーズの部分はよくある喉を叩きながら声をだして録ったんですけど、ライブの時はみんなもやって欲しいなって思いますね。みんなで地球人だって主張してほしいですね。
ー どこからこの楽曲の発想が出てきたのでしょうか。
一聖 一番最初に思ったのは、いろいろなインフルエンサーの方々でも結構、加工厨じゃないですけど、一般人の方も、芸能人の方も写真の加工アプリ使っているし、それをして当たり前の世の中になっていて、小学生とかも使っているのかなって、それでそれが当たり前になっていくから幼稚園児や赤ちゃんにまで使うようになるのかなってところから作っていった曲ですね。
ー 一聖さんなりの皮肉にもなっているのですかね。
一聖 まさにそうですね。
ー 続いて、一樹さん作曲の「GUM」に続きます。今回のアルバムも「OZ」を含め一樹さんの楽曲も沢山収録されていますね。一樹さんが今回のアルバムの楽曲を制作するにあたって何か特別に意識されたことはありますか。
一樹 自分が作りたいものをとりあえず沢山作って、選曲会に持っていったって感じですね。この「GUM」もリフがあって、ライブ映えするところから作り始めたんですけど、アレンジを進めていく中でメタルコアっぽい要素が入ったり、叙情的な雰囲気へと徐々に変えていった曲ですね。
ー 今回、アルバム楽曲を作曲される上で、一樹さんが意識していたものはありますか。
一樹 僕が意識していたのが、映像と照らし合わせて聴きたくなる曲をイメージして作っていて、ゲーム画面を映しながら曲を作るみたいなことも今回やってましたね。
一 一樹さんの楽曲は他にも「ガトーショコラ」、「Ressentiment」がありますね。どちらも良い曲ですが、個人的には「Ressentiment」が歌詞も含めて凄く好きです。
一樹 そう思います。歌詞がのったことにより、より情景が見えるというか、言葉も凄く強いものがのって説得力のある曲になったなと思います。
ー 「ガトーショコラ」も含めて、一樹さんの曲だろうなっていうのはなんとなくわかりますね。
一樹 おそらく、ポップスがもともと好きなのでシンプルだけど良いメロディみたいなものを意識しているからかもしれないですね。
ー 「Ressentiment」、「ガトーショコラ」それぞれの楽曲の魅力についても一樹さんからお聞きしたいです。
一樹 「Ressentiment」は、メロディから作っていったんですけど、もう少しアッパーな曲だったんですよね。この曲を聴いた者を鼓舞するような曲にしたくて作りだしたんですけど。アレンジしていく中でよりシンプルになっていって、浮遊感だったり遠くまで届くようなイメージに方向転換して作っていきましたね。「ガトーショコラ」は手グセみたいなイントロのフレーズがもともとあって、そこから作り進めていきました。僕的には和をイメージして作った曲でしなやかで柔らかい感じのイメージです。こういったタイプの曲を年に何回か作るんですけど、今回はこの「ガトーショコラ」がそういう曲になったという感じですね。
ー 一聖さんは一樹さんの楽曲についてどんな印象をお持ちですか。
一聖 そうですね。凄く繊細だなと思いますね。音もそうですし、あと世界観というか、僕には作れない感じが凄くありますね。
ー 今回のアルバム、新曲も勿論、素晴らしいのですが、アルバムに収録されたことにより、先行でリリースされたシングル曲「ひとりごと。」、「OZ」の魅力もより際立ったように感じました。やっぱり良い曲ですね。悠介さんから見たこのアルバムの魅力について教えていただけますか。
悠介 そうですね。もともとBugLugは音楽性がバラバラだっていうのは、”らしさ”としてあるんですけど、僕は結構、今回のアルバムはトータルとしてそんなにバラバラな感じはしてなくて、「ひとりごと。」、「OZ」があって、そのゴールになるようなアルバムにしようって話もあったので、ただバラバラなアルバムじゃない、一個のゴールになった作品なのかなって思いますね。さっき一樹さんの曲が繊細だっていう話もあったんですけど、アルバムを通して凄く繊細だなって思っていて、繊細が故にフレーズ的にも難しかったり、今までなかったものも入っていたりして。また今までと違った面白さはあるのかなと思っています。
ー 悠介さん的に特にここが特に苦労したなっていう部分はありますか。
悠介 そうですね、一個一個、違う悩み方をしたというか、シンプルに自分に持っていない部分で難しかったのは「GUM」だったりとか、「♪えいりあん♪」とかも同期の音がメインでデモ曲はもっと今よりもさらに同期の音がメインだったのでドラムどうしようとか、「Ressentiment」も勢いだけじゃない凄く繊細な部分もある曲だったので、どう叩こうかとか、一曲一曲苦労した部分はありますね。
ー 続いて、「アーティストのフリ」についてお聞きします。この曲はアルバムの中でもタイトル、歌詞ともに強く印象に残るインパクトのある作品ですね。
一聖 ここでは、「アーティストのフリ」っていうかたちで、音楽人だったり、それ以外もアーティストって対象になる人間はいろいろな方がいると思うんですけど、要するに何が言いたかったっていうと、”着飾っているフリをしてるな皆”みたいなところで、それは俺自身もバンドマンとして感じた上でこの曲を作りましたね。
ー 先程の「♪えいりあん♪」にも通じる楽曲なのかなと思いました。
一聖 それは確かにそうですね。
ー 実際、SNSで感じていた印象と実際会った印象とは違う方もいらっしゃいますもんね。
一聖 そうですね。それが正解なのかもしれないですし、その人の本質が見えないので、それが良しとされることもあると思うんですけどね。難しいんですよね。SNSって例えば僕もやっていますけど、音楽じゃないところで評価されるじゃないですか。写真だったり、内容だったり、それによってより一層繕うことも出来るので、俺はこうだからこういうところを見せたいんだみたいな、自己プロデュースというか、それによってより一層バンドマンである価値が分かりずらいなと僕は思ってしまって。僕自身も昨年、Twitterを始めてるんですけど、”なんのために始めているんだろう、俺”みたいな。すげぇ、俺自身がアナログな人間で一辺倒な人間だからなのかもしれないですけど。世の中的にはマルチに生きて当たり前なのかもしれないですし。
ー 一聖さんは現在、どのようにSNSと向き合っていらっしゃるのでしょう。
一聖 難しいなって。(笑) だったら、俺マイク持って街頭演説ぐらいしたいなってくらい自分を発信したい人間なので、俺の考えですけど、SNSはなんか枠に覆われて発言してるって印象なんですよね。オブラートに包んでみたいな。本気(マジ)じゃないみたいな印象があるんですよね。
ー 今作は、優さんの楽曲「Fabulous」も収録されていますね。歌詞はすごくシリアスなものになっていますが、作曲された優さん、このアルバムの中でも少し異彩を放った曲という印象を受けました。この楽曲について聞かせてください。
優 俺が曲作る時って、ある程度出揃ってから、こういうパーツあったらいいなっていう作り方していくので、これは結構後半に出来た曲ですね。それまで歌モノっていうか、ポップスアルバムだなっていう印象が強かったので、ちょっと気持ちギターロックみたいなアッパーな曲が欲しいなって作っていった曲ですね。こういうリフとか、こういうコードで作っていったら歌詞もこういうの乗ってくるだろうなっていうのもなんとなく分かってきて、いい感じに社会風刺みたいなのも入ってきて、いいねってなってますね。
ー 歌詞についてはいかがですか。
一聖 そうですね。いろんな各国において独裁権を握って国を牛耳っている人間って結構いるなって。日本って平和ボケしてる国だって思うので、他の国のことは他の国のことだから別として捉えているとは思うんですけど、もし日本がこうなったらってことを考えたうえでこの曲の歌詞を書いていきましたね。
ー アルバムを締め括るのは「ラブソングが歌えない理由」ですね。この曲はラブソングという解釈でよろしいでしょうか。
一聖 どうなんでしょうね。。それは捉え方、それぞれあると思うので何とも言えないですけど…BugLugってラブソングっぽいものもあるとは思うんですけど、ストレートな”愛してる”だったり、”好きだ”だったりって、所謂ベタなラブソングってないと思うんですよね。言いづらいっていうか、言えないというか、で、僕自身そういった中で、恋愛って、恋ってなんなんだっていうところに至ったうえで書いていきましたね。
ー 一聖さんなりの精一杯のラブソングなんですかね。
一聖 そうですね。本音をまき散らした曲ですかね。
ー 本当に幅広い楽曲が収録されている作品だと思いますが、アルバムが完成した今、あらためてみなさんにとってどのような作品になりましたか。
悠介 今までのBugLugになかったところもありつつ、「ひとりごと。」からそうだったんですけど、今までのBugLugにないものを見せようってバンド自体もがいてやってた部分もあったので、そこの集大成になったんじゃないかなって思っています。
燕 新鮮味は凄くあって、ライブの見せ方とかも新しい展開でやっていけるのかなって感じですかね。
優 今回のアルバムはちょっと冒険した作りにもなっていて、ライブをあまり想定せずに音楽的なところだけしっかりしたっていう作り方をしてたので、みんなそうだと思うんですけど手応えは凄くあるんですよね。あとはこれからライブでどうなるのか楽しみな作品になりましたね。
一樹 とても人間味の溢れる作品になっているなって思っていて、狂気性だったりとか、自分の素直な気持ちとか。凄くわかりやすいものになっていると思うので聴いてくれた人も共感してもらえるところが沢山出てくるんじゃないかなって思っています。
一聖 久しぶりのアルバムっていうことで、どういう作品にしようって考えてはいたんですけど一番僕的に出来たなって思えたのは、この数年間で溜まりに溜まった愚痴を溢すというか、ぶちまけるといった感じで作品作りが出来たなってことで、だから凄くスッキリしたなって印象はあるんですけど、そういうところからどうやってライブをやっていくかって、これから始まるツアーに向けての考え方も大事だと思うので精一杯頑張っていきたいと思います。
ー このアルバムを引っ提げてワンマンツアーが始まります。その前に先日まで「Soul of Resistance Tour」を周られていましたね。久しぶりのイベントライブでのツアー、ここ数年とはまた違った環境でのものだったかと思いますが、このツアーで何か得たモノや感じたことはありますか。
一聖 バンド力ですね。バンドとして何をするべきかってことですね。やっぱりBugLugってライブに凄く拘ってきたバンドで、決まったメンツとこうして長いツアーを周るってことが本当にしばらくなかったので、そういった上でいろいろな刺激を受けてライブが終わった後にいろいろな話合いをしたりとか、次はこうしようってやっていった12本のツアーって本当にバンドにとって意味があったなって思っていますね。
一樹 どのバンドもライブ一本にかける熱量とか想いが強くて、BugLugも力を注いでいたと思っていたんですけど、ライブ後の他のバンドのミーティングとか聞こえてきて次に向かう力が凄いなってあらためて感じました。こんなに努力してるバンドが近くにいるんだって思ったらなんだか嬉しくなりましたね。本当に楽しいツアーでした。
優 さっきも出たんですけど、バンド力みたいなところで、思っていることとか、その時のリアルな感情とかのぶつけ方みたいなものをこのツアーで何となく取り戻した気がしましたね。さっきの他のバンドのミーティングしてる姿とか、対バンのお客さんをどうやって巻き込むかってところの考え方だったりとか、やっぱりワンマンばっかりやっているとどうしてもその辺が思っていたよりも浅い所で考えてて、今回のツアーでもう一回深い所まで考えられるようになったのはデカかったかなって思いました。その一本のライブに対してのやり方とか。来てくれた人全員を巻き込むためにはどうしたらいいのかっていうところも。自分たちにとっても凄くいいツアーになったなって思いました。
燕 ワンマンをずっとやっていて、イベントツアーって本当に久々だったんですけど、最初の方とか短い時間の中でセットリスト組んで正解が中々掴めないというか、いろいろ探り探りであったとは思うんですけど、やっぱり対バンイベントをやっていた時の感覚っていうのをこのツアーで思い出したなって感じではありますね。楽しいのもあるし、BugLugのファンは勿論なんですけど、他のバンドのお客さんをいかに巻き込むかってセットリストとかを真剣に考えたツアーだったかなって思います。
ー BugLugの現在のキラーチューンはどの曲になるんでしょうか。
燕 やっぱりイベントライブだと「ギロチン」とか「猿」は”ド定番”であるんですけど、今回、イベントでもワンマンでもあまりやっていなかった「H E I S E I O U T S I D E R’ S」って曲をセットリストに定番で組み込んだんですけど、それが結構ハマっていたなって感じがしました。
悠介 共演者バンドが一緒でずっと周るツアーっていうのが僕がBugLug入って初めてだったので、BugLugと他のバンドとの違いじゃないですけど、メンバーだけで話すことも多かったんですけど、他のバンドの方と話すことも一緒にずっと周ると多くて、その話してる中でだったり、ライブを観てていい部分も悪い部分でも他のバンドとの違いが見えたかなって思いましたね。あと個人的にはお客さんが声も出して自由に動けてみたいなライブがツアーとしては初めてだったので、さっき話にでた「H E I S E I O U T S I D E R’ S」とかはこの環境で出来るのが初めてで、”お客さんがこういう楽しみ方をする曲なんだ”っていうのは結構ありましたね。BugLugの曲のポテンシャルを個人的には知れたツアーだったと思います。いいツアーでした。
ー ありがとうございます。この作品をもって周るワンマンツアーはどんなものになりそうですでしょうか。読んでいる方へのメッセージと共にお願いいたします。
悠介 さっき、優さんも言ってたんですけど、ライブを想定していない音楽的なアルバムっていうのは間違いないんですけど、そこで今までじゃないノリがまた生まれるのかなって思っているので僕たちもどうなるのかって思っている部分はあったりして、新しいこのアルバムでこれまでとは違うBugLugのライブになっていくのかなってワクワクしてるんで皆さんも楽しみにワンマンライブに来てくれたら嬉しいなって思います。
燕 アルバム曲が結構な数あるので、新曲がライブのメインになってくると思うんですけど、基本的にファンの皆さんに楽んでもらいたいなって、結局ライブって”楽しかったな”とか”めっちゃ暴れた”とかそれが一番ライブに行った幸せだと思うんで、そういうライブが一本一本出来たらいいなって思います。
優 アルバムは本当にいいもの作れたっていう自信もあるし、ツアーも久しぶりにロングツアーやれるんでしっかり今のBugLugを見せられるように初日から出来たらいいなって思います。楽しみにしていてください。
一樹 今回のアルバムは楽曲的にもとてもいいものが出来たと思います。このツアーでは今までのBugLugでは表現しきれない部分も多くあると思っているので、新しいBugLugの魅力を見つけるツアーにしていきたいなって思います。一本一本大事に周りたいです。
一聖 今までのBugLugだったら、激しくて、騒いでなんぼみたいなところがあったと思うんですけど、それとは打って変わって全く違う音楽性でのライブ展開になる部分もあると思うので、新しいBugLugっていうのを一緒に体感してもらえたら何よりだなって思っています。8月にはフェスにも出ますので、一本一本違った形でいろいろなBugLug観てもらえたら嬉しいなって思っています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?