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IRベストプラクティスガイドラインとは

海外IR活動の最新トレンドを報告

前回述べたように 、PFP(Project Future Proof)は海外におけるIR活動と、その動向を踏まえた日本企業の価値向上に向けた取り組みの研究・報告に取り組んでいます。中でも最も力を入れてきたのが、英国IR協会が編纂する「IRベストプラクティスガイドライン(以下、IR BPG)」を日本語に翻訳ののち冊子版で作成し、海外におけるIR活動の最新トレンドを日本の上場企業へ報告することです。

英国IR協会は1980年に設立され、IRのベストプラクティスの推進および同協会の会員の専門能力の開発支援、規制機関や投資家・政府に対する会員の見解表明、そして企業と投資家のためのフォーラムとして機能することをミッションに掲げて活動を行っている非営利団体です。

「IR BPG」は、「投資家がアニュアルレポートやWebサイトなどを通じて企業のどのようなことを知りたいか?」という観点から策定されたガイドラインを基に、その年のトピックやトレンドを踏まえて作成されます。ここでいう投資家とは海外の機関投資家を示し、日本企業にとってはIR活動における重要な相手です。海外の機関投資家が知りたい企業情報が集約されているIR BPGは、日本企業が海外IRを進める上で、事前にターゲットの意向を把握できる有効なツールと言えるでしょう。

出典:英国IR協会(IRS)ホームページ

IR BPG 10年の変遷

およそ10年にわたる「IR BPG」の構成の変遷を振り返ると、やはりインターネットの拡大やソーシャルメディアの普及といった世の中の動きがIR活動に大きな影響を及ぼしている事実は否めません。また、法律の改正により、ビジネスモデルと戦略に関して「企業が短期・中期・長期にわたりどのように価値を生み出し、維持していくか?」という観点からの記載の義務化、さらに同じ頃には、国際統合報告審議会が発表した統合報告フレームワークと同様の情報開示が英国企業に求められてきました。このような動きを受けて、英国IR協会は「IR BPG」をこれまでのツールの使用に関する内容からIR全体のガイドラインへと発展させ、これに伴い、協会のWebサイトで公開していた「IR BPG」も非公開となりました。

なお、最新のガイドラインの概要を以下に記載します。


  1. IROの役割

  2. IRと取締役会

  3. ガバナンスと議決権行使

  4. 方針と法規制

  5. 企業報告

  6. ESG、サステナビリティ、企業責任

  7. セルサイド管理

  8. コミュニケーション

  9. アドバイザーの活用

  10. その他


弊社ではPFPの活動における「IR BPG」の研究と活用法の模索を発展させ、PFP研究所で引き続き国内外のIRに関する動向をウォッチし、各企業の統合報告書、IRサイトなど各種IRツールの制作に役立つ情報を提供しています。興味をお持ちの方は、ぜひお問い合わせください。

株式会社ファイブ・シーズ
取締役社長 越智 義和