8月15日(火):ダンボール物語@平塚市美術館
先週末には平塚市美術館で開催されていた造形作家の玉田多紀さんの「ダンボール物語」を子供たちと一緒に観覧してきました。
タイトル画像が今回の企画展におけるメインディスプレイです。
これらはすべてダンボールによる造形で、どこにでもある一般的なダンボールをパルプ状にしてから形にしているとのことでした。
基本的には着色なしでダンボールの様々な部位、特徴、風合いを活かしながら形にしていくようで、そのインスピレーション、造形イメージが素晴らしいなと思います。
また単にダンボールを使った作品による素材や造形における妙だけに留まらず、そこには明確なメッセージが込められています。
例えば前述したディスプレイの生き物はすべて絶滅危惧種です。
こちらは360度のどこからでも見られるようなディスプレイですが、その周囲を歩いてまわると全ての角度で何らかの生き物と目が合うように配置されています。
「どこからでも自分が見られている」状態、つまりは私たち人間のありようが彼等の行く末を握っているのだ、というメッセージなのだと受け取りました。
またアネモネを使ったこの作品では様々な動物の顔が並んでいますが、それぞれの動物は何らかの感情を表したものです。
それがどんなものか読み取ることができるでしょうか。
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これらは左から順に「うむぼれ」「保守的」「落ち着いて」「言いたい事が言えない」「事なかれ主義」となっています。
この作品はコロナの直前である2019年に作られたものですが、その後のコロナ禍で露わになっていった私たち人間の世界で蔓延していたもののようにも感じました。
それぞれの作品を見て回っていると、あっという間に1時間以上が過ぎてしまいましたが、楽しい表現からそこに込められたメッセージまで、濃密な展覧会でした。
今回の玉田多紀さんの「ダンボール物語」は関東の公立美術館としては平塚市美術館での展覧会が初開催となっていましたが、相変わらず平塚市美術館は良い企画をしているなと思います。
以前の深掘隆介さんの金魚アート「しんちう屋」の時も同様でしたが、かなり早いタイミングで良い作家・作品による企画をしていて、その目利きと遊び心のようなものに感心します。
今後も面白い企画展があれば足を運んでみようと思った次第です。