「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論280」
みなさん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌(元々はクラブマネジメント誌としてスタート)のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~クラブマネジメント通巻第38号(2002.1.25発行)「パーソナルトレーニング」5~※名称等は当時、一部文章省略
■資料1
9.全体の短期的、長期的な売上目標は?
10.各トレーナーの短期的、長期的な売上目標は?
9については、当然のことです。
MACでは私はオープニングスタッフでしたから、最初から目標値を決めて取組みました。
私が最初に働いたヒューストニアンクラブ(私が勤めた時はオープンから既に12年経っていました)では、パーソナルトレーニングの価格や売上目標などがなんとなく決まっていました。
私が着任した時には、2人のパーソナルトレーナーがいて、コミッションで働いていました。
2人は月当たり5,000ドルの売り上げを上げていました。
その時、ヒューストニアンは彼らにその売り上げの80%を報酬として支払っていました。
そこで私はまず、その2人とこれからどのくらいの売り上げが上げられるかについて話すことにしました。
その話の中で分かったことは、1週間に25セッションのパーソナルトレーニングを提供するということは、週40時間の労働時間となることでした。
セッションを提供する以外にも、メンバーさんの担当医と話をして、プログラム内容を決めたり、メンバーさんが来るのを待っていたり、そのメンバーさんの症状や希望に合わせたプログラムを作るために、本を読んだりして勉強する時間が掛かるからです。
そしてまた、フロアを歩いて新しいメンバーと話をして、サービスを買って貰えるよう努める時間も必要となります。
通常フルタイム社員の労働時間は週40時間ですが、パーソナルトレーナーの場合、その全てをセッションの提供に充てようと考えてしまうと、新しいお客様を見つけられなくなるばかりか、既存のお客様を逃したり、また身体も大変疲れてしまうということになってしまいます。
そうしたことからパーソナルトレーナーとしては、1週間に25セッションを提供するというのが一般的なフルタイム社員の働きに相当すると考えたのです。
次に、これをもとに売上目標を計算しました。
当時はメンバーに対して1セッション35~40ドルという価格設定をしていましたので、1ヶ月では25セッション/週×40ドル×4週となり、1人当たり月約4,000ドルの売り上げになると計算しました。
そこで私はパーソナルトレーナーにノルマを与えることにしました。
「1ヶ月当たり最低4,000ドルを売り上げるように」と言ったのです。
私はこのノルマをパーソナルトレーナーたちに是非とも達成して貰いたかったので、各種保険やユニフォームの支給など、福利厚生面で出来る限りのサポートをすることを約束しました。
彼らは、以前売り上げの80%を収入として得ていたのですが、これでは会社経費を除くとクラブに利益が出なくなってしまいます。
そこで、私は彼ら彼女らと交渉して、80%を60%にして貰うようにしました。
そして最終的にどうなったかというと、パーソナルトレーナーは月4,000ドル以上の売り上げを上げ、その60%を収入として得ながら福利厚生面でのサポートを得て働くことができるようになりました。
目標を決めて、そこを目指せるようにするというのは凄いことです。
~ここまで~
ただ、ノルマを課すだけでしたら、パーソナルトレーナーの動機付けにはなりませんが、その達成に伴う報酬が明確かつ良心的であれば、Win-Win-Winの関係性は構築できることを示唆しております。
それには、やはり対等のパートナーという意識が大事であり、雇用(契約)してあげているというマインドからは離れる必要があると思います。
本日もお読みいただきありがとうございます。