「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論738」
皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第29号(2007.3.25発行)「世界の動きー保険会社の後押しで変わる、パーソナルトレーナーの資格制度」3~※名称等は当時、一部文章省略
業界への信頼と信用を高める
こうしたフィットネスクラブと保険業界の双方にメリットのあるコラボレーションの動きは、IHRSAが業界の底上げを目指して発信した当初の提言の域をはるかに超えるところまで来た。
「このようにNCCAの認可を受けた認定資格が各方面から注目され、保険会社まで巻き込んだ動きになっていることは大変喜ばしいことです。このようにして信頼と信用を高めることは、パーソナルトレーニング業界の今後の発展に大きく寄与することでしょう。」とIHRSAのプレジデント兼CEOであるジョー・ムーア氏は語る。
NCCAから認可を受けた資格認定団体の1つである、NASMの代表マイケル・クラーク博士も、ムーア氏の見方に同調する。
「フィットネス業界の発展のためには、資格認定制度の整備は避けて通れない道です。これは健康を扱う業界では当たり前のことです。今後、保険業界、福利厚生団体、そして賢い消費者は皆、第三者機関による認定や認証を要求するようになっていくでしょう。また、今後医療とフィットネスの融合が進むにつれ、きちんとした認定資格を保有していないパーソナルトレーナーは競争力を失い、淘汰されていくことでしょう。」
すでに消費者の間では、クラブやパーソナルトレーナーを選択するにあたり、そのクラブやトレーナーが権威ある機関から認定されているか否かをチェックする動きが起き始めている。
「NCCAのお墨付きは、マーケティングツールとしても非常に有効です。事業主にとって、権威ある資格を持ったトレーナーを雇用することは、顧客からの信頼と信用を得るうえで欠かせません。」と複数のフィットネスクラブを経営するトッド・ダーキン氏は語る。
長年、資格認定制度の整備に関わりパーソナルトレーナーのサポートビジネスを手掛けるダニエル・R・ゲイタ氏は、こうした動きを歓迎しつつも残された課題を指摘する。
「フィットネス業界は、全てのパーソナルトレーニング関連の資格がNCAAの認可を受けるように推進すべきです。これにより、最低限の質を保証することが可能になります。」と同氏は語る。
同氏が運営するウェブサイトでは地域を限定してトレーナーを検索することが出来るようになっており、トレーナーがどのような資格を保有しているかも確認できる。
医療とビジネスの双方について高い意識を持つダーキン氏は、こうした資格制度の整備が業界の大きな前進に繋がると考えている。
「資格制度の整備は、絶え間なく融合と発展を繰り返しているこの業界を1つにまとめる力になるとともに、この業界の批判分子を取り除く上でも重要だと思います。」と同氏は語る。
「パーソナルトレーニング業界は自らを厳しく律していく必要があります。そうしなければ、いずれ当局が介入してきて、見当違いな規制をかけてくることでしょう。資格制度を厳格に整備していくことは、この業界が自らを厳しく律して高い水準を目指していくことを世に示すことにもなるのです。」とカロー氏は語る。
~ここまで~
訴訟社会である米国において、信用や信頼を担保する資格制度を業界全体で構築することは、市場全体のパイを広げることに繋がり、とても理にかなっていると改めて思います。
そして、記事の中で「健康を扱う業界では当たり前のこと」とあり、この意識を日本のフィットネス関係者は強く持って事業を行うべきだとも思いました。
国内のパーソナルトレーニング市場は、どちらかと言うと、業界団体に属する企業よりも、それぞれ個々に事業活動する企業によって、勝手に増殖している状況です。
その場合、保険金不正請求でニュースとなっている某中古車販売会社ではありませんが、自社が儲かれば良いという狭い発想になりがちで、資格に限らず事業モラル自体が低い結果、業界全体の信頼や信用を棄損するリスクを抱えているのが日本の現状と言えるでしょう。
お読みいただきありがとうございました。