「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論420」
みなさん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第7号(2003.9.25発行)「業態の研究」14~※名称等は当時、一部文章省略
Ⅲ業態の分析
(2)エグゼクティブ系のフィットネスクラブ(上質なサービスとゆとりを提供する都市型クラブ)
強みの源泉
③アクセスしやすい立地とチェーンメリット
日々忙しい個人会員のビジネスマンや法人会員の利用が多いため、短時間でアクセスしやすい場所にクラブがあることや仕事先や出張先にもクラブ(提携クラブ含む)があることはお客様にとって大きなメリットとなろう。
特に前者については「駅から0分で雨天でも濡れずに来館できること」(S部長)が魅力となる。
上記は特に顧客魅力性という観点に立っての強みであるが、競争優位性という観点からすれば、先に述べたような資金力と信用力、それにビル開発力に優れたディベロッパー子会社が事業主体となっていることが大きい。
簡単に参入できる業態ではない。
運営上の留意点
上質なお客様が多いということからすれば、利用上のマナーの徹底と同時に、スタッフに高い接遇力が求められよう。
この点では人事システム、特に教育システムの整備が必要となろう。
また施設の清潔感を常に高いレベルで維持することも必要となろう。
日々の清掃はもちろんのこと、定期的に内装デザインをリニューアルすることなども必要となろう。
この点、修繕維持費や備品購入費を予め予算化しておくことが大切と言えよう。
都市再開発地域への出店となるため、エネルギーシステムは地域冷暖房を取ることが多いので、コスト削減にも努める必要があろう。
節水器具やインバーターの取り付けなど予めハードで対応できるところはしておくことが大切となる。
その上でできる限りオペレーショナルな対応をしていくことが必要となろう。
タオルなどのリネン類にもかなりの経費がかかることになるが、これも低コストに抑える工夫をしなければならない。
「エスフォルタ六本木」のIマネージャーは、「ロッカールーム内に置いて好きなだけ使えるようにするよりも、来館時にフロントでお一人お一人に手渡しする方が使用する枚数は少なくなるはずです。」とアドバイスしてくれている。
課題と将来動向
経営上の課題としては、出店地が限られるため、同一業態で事業規模の拡大をスピーディーに図っていくことが難しいことが挙げられよう。
ただ今後、この業態でのノウハウと資源を整えた上で、既存の高額な会費設定のフィットネスクラブの営業継承や運営委託を積極的に受けて成長していく方向性も考えられよう。
ユニークな事業モデルでもあり、競争優位性も高いため、都心の人口増と経済の成長が続くことを前提にすれば需要は確実に増加していくものと考えられる。
~ここまで~
エグゼクティブ系のフィットネスクラブについては、今後も高級ホテルやリゾート、タワーマンションなどの対象物件が旺盛なこともあり、一定の需要が見込める分野だとアバター近藤は考えております。
ただ、人材ということに関して、接遇面では専門教育を受けて優れている方が多い印象の反面、業界プロパーの人材が少なく、親会社などからの出向者がマネージャーになったりすることで、営業マネジメント力やトレーナー力に改善の余地が大きいのではないかと推測されます。
大ヒット韓国ドラマ「梨泰院クラス」の日本版「六本木クラス」ではありませんが、当社のような会社がその領域に踏み込んで革新していくのも面白そうです。
本日もお読みいただきありがとうございました。