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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論790」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第35号(2008.3.25発行)「満足の足し算~商業アドバイザー・小柳剛照」1~※名称等は当時、一部文章省略

価格破壊による競争激化が多くの業界に見られます。
たとえばホテル業では、余分なサービスを削り低料金をアピールするビジネスホテルの林立で、業界内の競争は熾烈になる一途です。
しかし値下げ競争もそろそろ限界でしょう。
原油高騰に加え、小麦など輸入食料品の値上げで、価格破壊のリーダー企業たちもこれ以上の値下げには二の足を踏むのは避けられません。
それに値下げの背景にある経費節約は必ずしも経済にとっていいことばかりではありません。
人件費節約のため給料を安く抑えられている従業員、あるいはパートタイマーや派遣従業員、それらの低収入人口が増加で、消費を控える傾向が強まるのは自明の理だからです。

値下げの落とし穴

では、利益を削ってまで、値下げを追求するのはなぜかを考えてみましょう。
消費者は商品やサービスにお金を払うとき、その原価や企業の利益を考えることはほとんどありません。
お金を払うときはその金額に等しい満足を得られるかどうかを判断基準にして、商品やサービスを利用するものです。
つまり数式で表すと「価格=満足」となります。
価格と満足が等しければ、消費者は不満を感じることはありません。
でももっといいのは価格より満足が大きいこと「価格<満足」です。
この不等式を達成すれば消費者は大きな満足を感じてリピーターになってくれるうえ、口コミで宣伝をしてくれるのです。
そして式を見て気付くでしょう。
従来のサービスや商品を変えなくても満足度を大きくする方法に。
そう、値下げをすれば簡単に価格より満足が大きくなるのです。
それが企業が値下げを追求する理由です。
ただそこには二つの落とし穴があります。
ひとつは、ライバル他社が強力な値下げをすれば、お客さまはあっさりとそちらに移るということ。
満足度が同程度なら価格の安いほうに惹かれるのは当然だからです。

~ここまで~

リーマンショック以前の原稿にも関わらず、前段の原油高騰、輸入食料品値上げ、給料を安く抑えられている従業員といった文言は、今の状況にそのまま当てはまると皆さま感じるはずです。

つまりは、15年前も今も、資源や食料面で日本は常に揺さぶられる国であること、また多少は改善傾向であるものの、労働分配率に転嫁しづらいことにあまり変化ないという事実です。

そのように考えていきますと、少し時間が経てば、再び上記のような値下げ競争に軸足が戻ってしまうことが業界問わず想定されるシナリオだと思われます。

フィットネス業界では、現在、24時間ジムがまさに林立しているところですが、価格競争は既に3,000円前後まで引き下げられています。
さらには元々、ローコストオペレーションの事業モデルの為、コスト削減には限界があり、この価格帯で採算ラインを維持できる企業は恐らく少数でしょう。

記事の数式の通り、値下げは不等式を楽に成立させる方法ではありますが、そのリスクの大きさを理解しておく必要があると思います。

お読みいただきありがとうございました。

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