「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論360」
みなさん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第6号(2003.5.25発行)「英国市場に異変ありー株式非公開化で経営立て直し」1~※名称等は当時、一部文章省略
株式市場との密接な関係のもと急成長を遂げてきた英国フィットネス市場に異変が起こっている。
英国のフィットネスクラブ経営の公開企業が相次いで株式を非公開化してきているのだ。
キャノンズ、エスポルタに続き、この4月にはフィットネスファーストが非公開化することを発表した。
ベンチャーキャピタルの後ろ盾によりMBO(経営陣による企業買収)や敵対的買収が行われてきている。
株式市場との密接な関係
英国のフィットネス市場は1990年後半急成長を遂げ、2000年までに合計9社が株式公開を果たした。
これは、フィットネスクラブ経営企業が新業態の開発などで確実に市場を開拓したことに加え、先行企業が株式市場から潤沢な資金を経て成長を加速させ、その成長力がさらに投資家たちを魅了したことによるものである。
英国調査会社のミンテルの調べによると1995年から2000年にかけての英国のフィットネス市場規模の成長率は1年あたり約9.5%。
当時の英国の民間クラブ参加率は5.1%であり、これが数年中に米国並みの8%になると仮定して、その後も年10%以上の成長率があると見込まれていた。
さらに当時既に英国大手企業各社は欧州市場への進出を成功させており、たとえ英国の市場が飽和状態に達しても、欧州大陸という大いなる機会があることが投資家たちに自信を与えていた。
しかし、こうしたレポートが出されていた2000年終わりには早くも異変が見え始めた。
数多くの企業が株式公開する中で、株価があまり高くつかない企業が出始めた。
そうした企業は異業種でフィットネス業界に参入を図りたいと考える企業に買収されることになった。
さらに2001年に入ると、英国景気の減速と公開企業各社の過剰ともいえる出店により競合が激化し、各社の業績が思うほど伸びず、株価は軒並み低く留まることになった。
~ここまで~
業界の成長期に株式市場での直接金融によって、積極的に出店がなされたという点が日本と違っております。
日本の場合、ある程度、大手企業によって出店が進んだのちに、その中のいくつかの企業が株式公開を果たしたという流れがあり、フィットネス業界に対する市場からの見方の違いが影響したのかもしれません。
ただ英国の場合、それゆえ、株式市場からの成長圧力が大きかったことでうまく経営をコントロールできなくなり、非公開化の道を辿る企業が増えたとも言えるでしょう。
以前にも記したことがありますが、フィットネスクラブという土着ビジネスの成功と出店ペースはいわばトレードオフの関係にあり、仕組みとして無理があると個人的には考えております。
本日もお読みいただきありがとうございました。