一人で海外旅行すると日本で生きやすくなるかもって話
今年の9月下旬、生まれて初めて一人で海外に行った。行き先は中国・上海(一泊だけ香港)たった4泊5日の旅ではあるが、とても緊張した。
「初一人旅で中国に行くのはなかなかぶっ飛んでるね」と言われるが、地理的に考えれば上海はとても日本から近い。飛行機で3時間もあれば到着する。同じアジアでも、日本人に馴染みのある台湾や香港のほうがよほど遠い。
だが、政治的な隔たりや、入国難易度の高さから完全に近くて遠い国になってしまっている。大学時代にちょっとだけ中国語をやっていたこともあって、もともと中国の文化にはかなり興味があった。コロナも明け、仕事にも余裕が出てきたタイミングで、一度この目で中国を見てみたい!と思ったのが旅のきっかけだ。
そもそも、私は自力で航空券やホテルを予約したこともなければ、一人でチェックインしたことすらない。実際すべて自分でやってみると、自分がいかに海外渡航について何も知らなかったかに驚かされた。まず期限切れパスポートの再発行からはじまり、航空券やホテルの予約、現地の決済アプリや電車タクシーの乗り方…何から何まで知らないこと尽くし。心配性なのでかなり調べてから現地に行ったが、それでも失敗やカルチャーショックの連続で、本当に学びの多い旅になった。
一人旅の良さはなんといっても、複数人で旅するより圧倒的に多くの場所に行けることだ。上海に滞在したのはたった3日程度だけど、有名な観光地はだいたい巡ることができたと思う。
一人旅って孤独でメンタル落ちるかなと思ってたけど、上海という都市には謎のエネルギーが満ちていて、ただ街を歩いているだけでもすごく楽しかった。寂しいと感じる暇もないほど朝から晩まで歩きまくっていた。安全面でいうと東京とそこまでの差異を感じなかった。どこにいても公安の車両があり、特に外国人が多くいる外灘周辺はかなり警備が徹底されていて、酔って騒いでる人や客引きなどもいなかった。
ただ、わかりきっていたことではあるけど、中国の方はみんな声がめちゃくちゃでかい。どうしたらそんな声出るんだと思うくらいでかい。なので街もめちゃくちゃ賑やか。
自分も3日目くらいになると店員さんに向かって「ニーハオ!」と遠慮なく叫ぶようになっていた。小声だと気づかれずスルーされてしまうのが中国なので、精一杯アピールする術は身につけた。おそらくあの瞬間、自分史上最高に声がデカくなっていた。
東京に帰ってきたら街が静かすぎて、逆に不安になった…。慣れって怖いね。
かなり遠回りになったけど、表題の「海外一人旅すると日本で生きやすくなる」という点について。
海外で現地のお店や施設に一人で入ったり、アクティビティーに一人で挑戦するって、はじめはかなり緊張するし、強い心が必要だったりする。
しかも政治的にあまり仲良くない国となれば尚更だ。日本人とわかったらどんな対応をされるんだろう、大丈夫かな、問題なく入れるかな…とか考えて、ビビりの私はかなりのエネルギーを使う。
※実際は上海の方はとても優しくて、誰一人として差別的な方はいませんでした。
当然ながら日本語は通じないし、幼児レベルの中国語とカタコト英語でコミュニケーションを取るしかない。
でもこれを何度も繰り返し、店員さんとも仲良く話せるようになって、その国のコミュニケーションの取り方がわかっていくと徐々に恐怖がなくなっていく。
最初は怖くて乗れなかったタクシーも、最後は時間節約のため当然のように乗りこなすことができるようになっていた。
この大変さに比べれば、母国での生活がどれだけイージーなことか。日本でいわゆる「入りづらい店」「敷居の高い場所」なんて屁でもないわ!ってくらい、今はガンガン入れてしまう。
だって言語が通じるし。言葉通じるだけで楽勝すぎる。そういうマインドセットに自然となる。
コミュニケーションの齟齬についてもそう。
同じ日本で育ったというだけで、言語はじめ、どれだけの前提条件を共有できているか…と感謝すら芽生える。海外でのコミュニケーションをとる大変さに比べたら、これもほんと屁でもない。同じ言語でこれだけ話せる相手なのだから、もっとちゃんとコミュニケーションをとって相手を理解する努力をしようと思えるようになった。
そういう意味でも一度海外に行って、たった数日でも自力で過ごしてみるのはものすごく良い経験になった。そしていかに普段、人に助けられて生きているかということを痛感した。
日本で何気なく過ごせているのも、日本の素晴らしいインフラ、それを動かしている人々の努力で成り立ってるんだなあと…あらためて日本が好きになったし、やっぱり自分は日本に生まれてよかったなあとしみじみ感じた。今まではどうしてもネガティブな面ばかりに目が行きがちだったけど、海外に行くことで客観的に母国をみることができるようになって、もう少し謙虚な気持ちでこの有り難みを感じなきゃいけないなと思わされた。もちろん、日本の良くないところ、中国の良いところもたくさんあるんだけどね。
上海でも本当に多くの人に助けていただいた。
気さくな店員さんが多くて、とある雑貨屋さんで買い物をしたら「ちょっとお茶でも飲んでく?」と自身がポットに入れて飲んでいたお茶(!)をコップに入れてご馳走してくれた店員さんもいた。
また、私の荷物が多いことに気づくと「まだ他のお店も見るでしょ?帰るまで預かっておいてあげるよ」と言ってくれる方もいたり、全体的にとても親切な印象だった。あと中国はおまけの文化があるのか、何か物を買うとおまけで一つ物をくれるパターンが多かった。ちょっと謎なおまけも多かったけど気持ちが嬉しかった。笑
そういうわけで、海外一人旅は圧倒的におすすめだ。自己管理能力もかなり鍛えられるし、なにより計画力や行動力が格段にアップすると感じている。
ただ一つ難点があるとすれば、一人旅には重度の中毒性があることだろうか…。
今まで年に何度も海外へ行く人たちの気持ちが全く理解できなかったのだが、確かにあの非日常とスリルを味わってしまうと更にまた別のスリルを味わいたいと思ってしまうのもわからなくない。かくいう自分も、来年もまた一人で海外へ行く予定を立ててしまっている。
円安の煽りもあって、お金の工面が本当に大変。航空券もホテルも目ん玉をひん剥くような価格になっていて身震いしている。
来年の夏まで、ひたすら貯金を頑張りたいと思う…。