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対談企画〈ふわふわ地獄〉VS さきぶに #1


さきぶに  :
こんばんは♪
ぼくの文章ではないのですが、ぼくにとっての「イキ告芸術」としてまず挙げるに値する記事を共有させていただきます♪


〈ふわふわ地獄〉:
ありがとうございます!ほんとに軽くさらっと読んだんですが、なんとなくわかった気がします。市川雛菜さんは包容力があるのに自分以外の責任を持たないニヒリストで、だから「女性」としても「母」としても向き合えなくてわだかまりが残るって話なのかと思った。

ところで、今、エロマンガ専制さんの他の文章も読んでます。

彼も弱者男性・インセル……といろいろ書いていて、正直かなりの同族嫌悪がある。共感はするけどどこか受け入れがたい。これを掘り下げていきたい。
〈令和イキ告派〉も基本的にはコミュニケーション下手な人間の運動を想定している。
いわゆる弱者男性・インセルを応援する哲学なのを実は想定してるし、自分もコンプレックスはめっちゃある(女性経験がなく、去年からようやく初めて恋愛している)

しかし〈令和イキ告派〉は、男性性のキモさや加害性を隠すことなく、ギリギリのレベルでフェミニズムに到達する思想だと思ってる。どういうことか。

たとえば、既存の社会体制(ウエルベックがいう闘争領域!)弱者男性・インセルが異性愛の恋愛をするには、女性を貶めるか、男性である自分を高めるしかない。前者がミソジニー。後者がロマン主義的マッチョイズム。
たとえば、後者の例は、メンズコーチジョージにほかならない。

この動画やばすぎる。ロマン主義そのものなんですよ。現代の男性はあらゆる衣食住や快楽を簡単に入手できるようになった。だから、心身がどんどん弱くなっている。わたしたちは危機感をもって、狩猟民族だったころのパワーを取り戻し、強い男性になろうと。
すごいよ。〈令和イキ告派〉の思想にも確実に影響を与えている。

現代のテクノロジーによって人間の人間性が貶められているという点は、まったく正しい。
しかし彼の欠点は男性/女性のロマンティックラブイデオロギーを温存していることにある。

メンズコーチジョージに敬意を払いつつ、メンズコーチジョージを超克すること、これが〈令和イキ告派〉の第一の目標になるだろう。


さきぶに  :
ぼくは理系畑の人間であまり人文知に造詣が深くないので、どちらかといえば理系方面から掘り下げていこうかと考えています(物理学および精神分析的なアプローチになると思われます)。
重力=引力、これがぼくにとってのキーワードで、「イキ告」によって人間どうしの間に厳然として存在する「引力」を破壊すること、これを目標に掲げています。〈ふわふわ地獄〉さんの例に挙げられたメンズコーチジョージもそうなのですが、弱者男性やインセル、あるいは単なるオタクでもいいし、彼らを商売相手とするアイドル、Vtuber、コスプレイヤー、頂き女子りりちゃん、立ちんぼでさえ、資本によって関係「させられている」ことに対してあまりにも無自覚です(ここらへんの詳細に関しては、S.ジジェク『イデオロギーの崇高な対象』に書いてあるところなのですが、ラカンいわくマルクスが封建制から資本主義への移行に対して「症候」という概念を発見した、というくだりがあります。そこでは、王-臣下といった関係から自由な主体としての関係に変わったものの、依然として上下関係が物どうしの関係として隠蔽されているというようなふうにぼくは理解しています)。

にも書いたのですが、「恋に『落ちる』」というのも実にまた寓意的に捉えることができ、落下と死との深い関係もまた説明せずとも理解されることと思います(首吊り、飛び降りなど)。死への欲動の説明にも速度と落下(ジェットコースターやバンジージャンプ)が用いられますが、速度(厳密には加速度)と重力の等価性というのはニュートン力学〜アインシュタインの相対性理論に語られているところで、「加速主義」などのタームとも関連づけて語ることができそうです。恋と死への欲動はかなり近いところにあると思っていて、先に送らせていただいた文章に「射精=死の欲動=完遂された留保なき賭け」という等式が登場するのですが、ぼくはここにさらに「=落下=恋に落ちるということ」と書き加えたいのです。
ここであえて「恋」ではなく「恋に落ちるということ」としたのは、そういう瞬間があるようにぼくたち自身も誤解しているのであって、それは「落下」する以前から重力がぼくたちの周りにあたりまえに存在し続けてくれているように、恋もまたそうであるのではないか、という提言でもあります。
「完遂された留保なき賭け」であるところの落下=恋に落ちるということ、これがイキ告として理解されうるのではないでしょうか。ぼくたちの精液が床を汚す瞬間、眼前に垂らされた縄に首を通して椅子を蹴り飛ばす瞬間、走馬灯として無限に引き伸ばされるそれがぼくにとっての「イキ告」です。

追伸
Xでポストしたのですが、ぼくにとっての「イキ告芸術」として真っ先に挙げられるMy Chemical Romanceはエモ・ロックに分類され(本人たちは否定していますが)、「I'm not Okay」のMVは実に良いので観たことがなければ是非YouTubeで観てみてください♪


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