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エーゼック(AZEC)の協働的取組みの中の、再生エネルギーと統合的に運用する低排出LNG(液化天然ガス)火力発電、ガスタービン・コンバインド・サイクル発電(GTCC)の増設と、二酸化炭素回収貯蔵(CSS)技術のベトナムへの導入

需要応答(DP: Demand Response)呼びかけキャンペーンが続くベトナム
2023年の全世界の総エネルギー発電量は24,180 TWh(テラワット時)だった。発電量1位は中国で9,456 TWh、2位は米国で4,520 TWh、日本(人口約1.2億人)は5位で1,009 TWh、ベトナム(人口約9886万人)は282 TWh、静岡県(人口約355万人)は6.85 TWh、バリア・ブンタウ省(人口約150万人)は7.32 TWhだった。どこの国もだいたい発電量と電力消費量はとんとんである(消費量は1位中国8,392 TWh、2位米国4,065 TWh、5位日本909 TWh、ベトナム250 TWh)。2024.12.09付けベトナム商工省機関誌「工商雑誌」(Tạp chí Công Thương, 越字電子版)によれば、2024年のバリア・ブンタウ省内発電量は8.25 TWhに達する見込みで、浜岡原子力発電所が止まったままの静岡県(バリア・ブンタウ省の2倍の人口を持つ)の総発電量を大幅に上回る。これには、日本の政府開発援助(ODA)で建設され、三菱重工が調達に、三菱パワーがオペレーションに携わったフーミー1, 2, 3天然ガス火力発電所(年間発電量3.3 TWh)の力が大きい。天然液化ガス(LNG)の二酸化炭素等排出量は石炭・石油に比べ3~4割程度少なく、硫黄化合物(SOx)の排出はほぼゼロである。ブンタウには2023年10月に国内最大のLNG受入基地が竣工したばかりであり、かつ、2023年7月には、同規模以上のLNG受入基地の、北隣のビントゥアン省ハムタン県(咸浜県)における建設計画も発表された。ブンタウ市とハムタン県をつなぐ、絶景の続くブンタウ・ビントゥアン道路(淎艚-平順道路)改修拡張工事も順調に進捗している。しかし、フーミー火力が地元にあるとはいえ、ベトナム全国と同様に、バリア・ブンタウ省でも節電が叫ばれ、需要家(電力を使用する企業や一般家庭)に向け、電力の供給状況に応じて賢く電力需要を制御するよう求める、需要応答(DP: Demand Response)呼びかけキャンペーンがいまも進行中である。

世界の電力生産量, 2023.
https://yearbook.enerdata.jp/electricity/world-electricity-production-statistics.html

2年遅れでようやく公布されたベトナム第8次国家電力基本計画(PDP8)
2023.5.15、ベトナム政府は「ベトナム第8次国家電力基本計画」(第8次エネルギーマスタープラン:PDP8)(Quy hoạch điện VIII; Vietnam's the Eighth National Power Development Plan)を公布し、「公正なエネルギー移行支援イニシアチブ」(JETP)、「アジア・ゼロエミッション共同体構想」(AZEC)などの支援誓約(2022-2027年の七年間に公的資金77.5億ドル、民間資金77.5 億ドルの動員に努める)や、気候ファイナンスやグリーンボンド(緑色債権)のようなグリーンファイナンス(緑色金融)融資元の有効活用を国内的に呼びかけ、強化していく」という表現で、JETPとAZECの取組みへの国としての参加を基本計画に盛り込んだ。
*越語原文:Tăng cường kêu gọi, sử dụng có hiệu quả các cam kết hỗ trợ của quốc tế (JETP, AZEC…), các nguồn tín dụng xanh, tín dụng khí hậu, trái phiếu xanh...
*漢字転写:増強叫呼、使用有効果各甘結互助之国際(JETP, AZEC…)、各源信用青、信用気候、債票青
https://www.jbic.go.jp/ja/about/pr-conf/image/pr_20230228_1.pdf
https://greenfinanceportal.env.go.jp/

なお、2021年9月に先行公開された英文草案と公布版は詳細が若干異なる。たとえば、公平なエネルギー移行(chuyển đổi năng lượng công bằng-転対能量公平)について、公布版は、①再生可能エネルギー(năng lượng tái tạo-能量再造)電源を電力生産用に積極的に開発し、2030年までに再生可能エネルギーの割合を約30.9~39.2%にまで引き上げ、2030年以降これをさらに47%に引き上げることを目指す。②「JETP=ベトナムとの公正なエネルギー移行パートナーシップ設立に関する政治宣言」における約束事項(数値目標はパラグラフ24のb, c, d)を完全かつ実質的に履行する。③2050年までに再生可能エネルギー比率を67.5~71.5%とする、などの国際公約順守や数値目標達成を盛り込む一方、具体的な再生可能エネルギー事業、エネルギー移行事業、X-to-Power, Power-to-X 事業の名簿は公布版には盛り込まれなかった。PDP8 は 2050年時点での越国内の電力消費量(điện thương phẩm-電商品)を1兆2546億 kWh(=1,254.6 TWh)と予測するが(2023時点での越国内の電力消費量は250 TWhなので、5倍に増加すると予測されている)、英文草案の公表から実際の公布までに2年間の遅れ(ロス)があり、2年間この予測値への対応ができていない。基本計画(quy hoạch-規画; masterplan)の遅れに伴い、様々な事業の投資決定もまた遅れてしまうことが、投資家及び電力部門により危惧された。

ベトナムとの公正なエネルギー移行パートナーシップ設立に関する政治宣言, 2022.12.14.
パラグラフ24のb, c, dが、ベトナムが有志国(IGP)に約束した数値目標。
PDP8英文草案における送電網整備計画, page 06.
投資家と電力部門の危惧は、送電網整備への投資決定の遅れだったが、実際に遅れてしまった。
https://vepg.vn/wp-content/uploads/2021/09/5.9.2021-Draft-PDP8_En.pdf
PDP8英文草案の「X-to-Power, Power-to-X 発電事業名簿」は公布版には盛り込まれなかった。
ハイネケン・ブンタウの、バイオマスを燃料として発電し、その余剰電力を利用する醸造原料の大規模乾燥施設の事業計画なども、公布版からは削除された。
https://vepg.vn/wp-content/uploads/2021/09/5.9.2021-Draft-PDP8_En.pdf

一定の進捗を見た越国内送電線整備
2024年5~6月のベトナム電力危機に際して報道媒体で強調されたのは、越国内送電線整備の遅延だった。多くの再生エネルギー事業が送電線とつながっておらず、発電量があっても供給できない事態が続いていた。2024.5.23、東京で開催された日本経済新聞社(日経)の「アジアの未来」フォーラムに出席したレー・ミン・カイ(黎明慨)副首相は、Nikkei Asiaの取材に対し、(韓国サムスン/三星や台湾フォックスコン/鴻海の大規模工場がある)ベトナム北部の送電網整備事業は6月以降順次完成する予定と話し、「かなりうまく機能すると思う」と投資家の懸念払拭に努めた。この北部送電網は8月中にほぼ全線が完成した。ほかの地域でも送電網整備が進められている。送電網整備の一定の進捗を受け、次のステップが続いている。

二酸化炭素回収貯蔵技術(CCS)、原子力、天然液化ガス(LNG)発電、ガスタービン・コンバインド・サイクル発電(GTCC)
2024.11.28、ベトナム商工省「持続可能な生産消費事務局」(Vietam SPC Office; ドメインはSCP)公式HP(越字版)は、ベトナムペトロ・グループ(PVN)がガス火力を維持しつつ排出ゼロ(ゼロエミッション)に取り組むため、二酸化炭素回収貯蔵技術(CCS)を導入していくとする記事を掲載した。日本国経済産業省も、2024.9.03、「今後のCCS政策の方向性について」とする政策資料を発出している。2024.12.11には政府系媒体「チンフー・ブイエヌ」(政府新聞網:越字電子版)が「ニントゥアン原子力事業」の再起動を報道した。原子力は放射能廃棄物問題を抱えるが、二酸化炭素を排出しない点でクリーンなエネルギー源でもある。2024.12.18には、独立系ヘメラ・メディア「VnEconomy」(英字電子版)が、水素対応火力やガスタービン・コンバインド・サイクル発電(GTCC:化石燃料のガス化により二酸化炭素排出量を削減できる)に注力する「三菱パワー・アジアパシフィック(本社シンガポール)のベトナム展開に関するインタビュー記事を掲載した。三菱パワーは三菱重工業グループの電力部門であり、これまでベトナム南部バリア・ブンタウ省フーミー天然ガス火力発電所のオペレーション事業などに携わってきた。三菱重工業は独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の令和5年度(2023)公募事業「先進的CCS事業」の受託など、二酸化炭素回収貯蔵(CCS)技術に以前から注力して企業でもある。以下、「VnEconomy」記事を訳出する。

ベトナムにおける再生可能エネルギーのさらなる機会

ゴク・ラン(玉蘭)

https://en.vneconomy.vn/more-opportunities-for-renewable-energy-in-vietnam.htm

VnEconomy:三菱パワー・アジアパシフィックは、現在、タイで出力5,300MWのガスタービン・コンバインド・サイクル発電(GTCC:低排出火力発電)事業を運営し、マレーシアのサラワク州にM701Fガスタービンを供給している。また、シンガポールのケッペル/吉宝、センブコープ/勝科工業、政府系企業メランティパワー(シンガポール・エネルギー市場管理局が100%出資する)向けに水素対応火力発電所を建設し、今後2年以内に商業運転が開始する予定と聞く。ベトナムでこのような事業を実施する場合、その(電源上の)条件は何か。

Mitsubishi Power Asia Pacific:ベトナムの経済成長は非常に安定しており、電力需要は継続的に増加している。また、ベトナムは風力、太陽光発電、そしておそらく水力発電を含む再生可能資源の開発を強化している。しかし、ベトナムにおいて、安全性、経済性、持続可能性の均衡をとる上では、(電源として)LNG(液化天然ガス)を活用することが現実的である。

石炭火力、石油火力、天然液化ガス火力の排出量比較
※石炭を100とした場合(燃焼時)
https://www.nam.co.jp/market/column/trend/2021/img/marketnow_21092103.png

当社はガスタービン・コンバインド・サイクル発電(GTCC)などの技術を提供することで、ベトナムの火力構成(火力ポートフォリオ)の強化とエネルギー転換のステップへの寄与を継続したい。三菱パワーのGTCCソリューションは、石炭火力において最高レベルの効率を実現し、その効率は64%に達する(訳者注:日本における現行の事業者単位の石炭火力発電効率の目標値は43%である)。従来の石炭火力発電と比較すると、この効率の違いにより、二酸化炭素(CO2)排出量は自動的に65%削減される。これはエネルギー転換に貢献しする。また、ガスタービンは起動が非常に速いため、ガスタービン・コンバインド・サイクルは、ベースロード電源(基本負荷発電源:電力供給網における一日の需要の最低水準であるベースロード(基礎負荷)の要件を継続的に満たせる電源)として機能し、安定的・継続的に稼働できる。太陽光発電などの再生可能エネルギーは時間帯や天候によって変動するが、これらを再生可能エネルギー源と組み合わせれば、統合的に運用できる。製品やシステムを提供する際には、ベトナム政府やベトナム電力グループ(EVN)などの発電企業と緊密に対話し、ベトナムにとって最適な取り決めを決定したいと考える。

PDP8英文草案(左, Page 19,23)と公布版(右)における通常火力及びGTCC火力発電所建設計画.
公布版第1表第10番のLNGロンソン火力(バリア・ブンタウ市)は英文草案ではGTCC火力である
https://xaydungchinhsach.chinhphu.vn/toan-van-quy-hoach-phat-trien-dien-luc-quoc-gia-11923051616315244.htm

VnEconomy:国際連合気候変動枠組み条約締約国会議(COP-26, 2022)で、ベトナム政府は2050年までにネットゼロ(正味ゼロ)排出を達成するというコミットメント(関与責任)を表明した。三菱パワーを含む三菱重工業グループは、ベトナムなどの国々の、ネットゼロ目標達成に貢献していく上で、これまでに、どのようなコミットメントをしてきたか。

Mitsubishi Power Asia Pacific:三菱重工業グループもまた、2040年までにネットゼロを達成するというコミットメント(関与責任)表明と目標設定をしている。これは、2030年までにエネルギー転換と脱炭素化の技術の検証を終え、2040年までにそれらのソリューション(解決策)を商用化することを意味する。2040年からは、商用化されたこれらのソリューションを、全地球的に(グローバルに)提供していく。この提供はベトナムなど2050年までにネットゼロを約束している多くの国にも貢献する。これが、われわれが2040年までにソリューションの商用化を完了することを目指す理由である。当社はいくつかの技術的路程表(ロードマップ)を設定している。先ほど述べた二酸化炭素(CO2)排出を自動的に65%削減するガスタービン・コンバインド・サイクル発電(GTCC)技術に加えて、われわれの最新のガスタービンは、現在でも30%の水素を燃焼させる能力を備えている。この水素の割合は、徐々に、50%に、そして100%まで増やすことができる(この水素対応発電技術についてはインタビュー後半に詳述あり)。この技術検証は2030年までに完了する予定である。水素対応発電というこの接近手法(アプローチ)の利点は、(化石燃料の中ではCO2排出量が低い)天然ガスまたは液化天然ガス(LNG)で発電所を始動し、徐々にクリーン燃料比率を高め、CO2排出量をより削減できることである。これは、エネルギー転換のための最も現実的で経済的に実行可能なアプローチである。われわれは、既存の石炭施設でアンモニアやバイオマスを混焼する技術も持つ。石炭は発電業界における最大のCO2排出源として認識されてしまっているが、アジア太平洋地域の多くの国々が、国内電力需要を満たすために、依然として既存の石炭火力施設に依存している。アンモニアやバイオマスなどのより環境に優しい燃料をそこで混焼できれば、少しでも炭素強度(環境負荷)を減らすことができる。これはエネルギー転換とネットゼロの目標を達成するための重要で現実的なソリューションでもある。

われわれはまた、すでに二酸化炭素回収貯蔵システム(CCS)を商品化しており、脱炭素化技術を利用して商業ベースで稼働する世界最大の商用CCUS(二酸化炭素回収利用及び貯蔵システム)であるぺトラ・ノヴァ・CCUS 事業(米国南部テキサス州トンプソン)に製品を納入した。われわれは、アジア太平洋地域の国々が必要な目標の達成を加速できるよう支援することを目指している。エネルギー転換を加速するためのもう一つの重要な点は国際的な協働である。一国だけでは(各国がCOP会議で責任関与を約束した)脱炭素化やネットゼロ(正味ゼロ)を達成することはできない。われわれは、アジア・ゼロエミッション共同体(エーゼック=AZEC: Asia Zero Emission Community)の枠組みを通じ、ベトナムと日本がこの活動について非常に緊密に意思の疎通を図っていると理解している。

山田滝雄AZEC大使とチャン・ホン・ハー(陳紅河)副首相のゼロ・エミッション対話, 2024.7.31.

われわれはベトナム政府及び民間セクターと連絡を取り合っており、現地企業と日本企業の両方との協力と議論を深めていきたいと考えている。

VnEconomy:再生可能エネルギー事業やエネルギー転換を実施する上で、特にこの地域の他の国々と比べてベトナムが有利な点があるとすれば、それは何か。

Mitsubishi Power Asia Pacific:再生可能エネルギーの開発において、アジア太平洋地域の他の国々と比べてベトナムが有利な幾つかの点を評価している。一つ目は、安定した経済発展である。二つ目は、長い海岸線である。ベトナムが太陽光発電などの再生可能エネルギーの理想的な構成(ポートフォリオ)を構築する上で、この長い海岸線は、風力発電も含め、開発に有利である。ただし、電力供給システムの安定性と安全性(the stability and safety of…)を確保するには、(ベースロード電源となる)ガス発電と再生可能エネルギー源を組み合わせる必要がある。ベトナムの第八次国家電力開発計画(PDP8)は、再生可能エネルギーへの移行を進めながら、ガス火力発電の開発を明確に優先する路程表を示している。われわれはガスタービン・コンバインド・サイクル発電(GTCC)技術を使用してベトナムのエネルギー転換を支援できることを願っている。

VnEconomy:再生可能エネルギー事業への投資を誘致する上で、ベトナムが直面する主な課題は何か。

Mitsubishi Power Asia Pacific:課題は多くはない。越国内のステークホルダー(利害関係者)たちとともに行動を進めていく必要があるだけだ。当然のことながら、ベトナムは、電力需要の増加に伴い、さらに多くの発電システムを整備する必要がある。発電能力を高めるには、全国の送電網の接続強化も必要となるため、段階的な接近手法(アプローチ)が必要だ。そもそも、短期間で20~30基のガス火力発電所を同時に建設することは不可能だ。だから、再生可能エネルギー源の開発と並行し、かつ送電網の開発との同期性を確保するために、徐々に火力構成(火力ポートフォリオ)を構築していく必要がある。ただ、ガス火力発電所の開発は、再生可能エネルギーの支援と開発、およびベースロード電源の供給を確保する上で、優先順位がある。われわれの懸念事項は、時間帯によって変動する特性を持つ太陽光発電などの再生可能エネルギーの開発にあまりにも重点を置きすぎると、電力供給システムの安全性に影響が出てしまうことだ。再生可能エネルギーと、それを支援するガス火力発電所の統合的な運用こそが、再生可能エネルギー電源とベースロード電源の両方の均衡を取りエネルギー安全保障と持続可能性を満たす上で重要な役割を果たすだろう。

VnEconomy:ベトナムが国として三菱パワーのような企業を支援し、ベトナムのエネルギー転換を強化していく上での提案や提言(any suggestions or recommendations for…)があればぜひ伺いたい。

Mitsubishi Power Asia Pacific:(先ほど例に挙げた)三菱パワーが米国で実施している水素火力事業の例を挙げたい。われわれは米国(西部ユタ州の「IPA: Intermountain Power Agency 更新事業)においてグリーン水素の製造、貯蔵、発電所での使用の全過程を含む先進的クリーンエネルギー貯蔵センター(ACES: Advanced Clean Energy Storage)を開発中である。このACES Delta 事業は、既存のIPA石炭火力発電所を、当社が供給する最新の84万kW級水素対応ガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電所へ更新・拡張するもので、その事業地は再生可能エネルギー資源が豊富な米国西部に位置する(訳者注:原文は東部=is located in the east of the U.S. である。誤記か)。ACES Delta 事業は水電解装置による水素製造プラントと岩塩層を利用した水素貯蔵設備から成る。水素製造プラントでは、再生可能エネルギーを利用して水を電気分解することにより、一日あたり最大百トンのグリーン水素を製造する。GTCC発電所は30%のグリーン水素混焼で2025年に運転を開始し、段階的に水素の割合を更新・拡張させ、2045年までにグリーン水素100%による発電所の運転を達成する計画である(訳者注:再生エネルギーX-to-Power, Power-to-X 発電事業として、水素を燃料として発電し、その余剰電力を利用して製造した水素を、常温・低圧で水素を吸蔵・放出できるタンクに貯蔵する)。製造した水素の貯蔵タンクにはユタ州に存在する地下の岩塩層を用いる。それぞれ5,500トン以上(発電電力量150GWh=0.15 TWh規模)の貯蔵能力を持つ二つの巨大な岩塩空洞にグリーン水素を貯蔵する。そして必要なときに既存の送電網に接続してロサンゼルスに電気を送る。ロサンゼルスで、この電気はクリーンエネルギーとして消費され、その料金が支払われる。このような好条件ではあるが、大規模事業は政府の支援がなければ実現できない。この事業には最大5億ドルの保証付き融資が含まれる。

エネルギー転換の初期段階では、政府の支援が重要だ。そして、上述したアジア・ゼロエミッション共同体(エーゼック=AZEC)などの国際的な協働が、このような過程を促進していく上で、きわめて重要な役割を果たしている。われわれは、われわれ自身の世界各国の建設事業から得た教訓を生かし(We will use lessons learned from building projects in countries around the world to…)、ベトナムの技術開発を支援し、越国内の各機関・組織及び越政府との交流や協力を行っていきたい(翻訳ココマデ)。以上。

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