8年前の山腹工
8年ほど前に設計した山腹工の現場に連れて行ってもらった。
斜面中央~下部は崩壊した面であり、
上部は不安定な岩塊も確認される急崖斜面だった。
ということで
下部:斜面安定+植生回復
→簡易吹付法枠工
上部:不安定な岩塊の除去、岩盤斜面(泥岩類)の風化防止
→のり切工+吹付工
となったそうだ。
こちらは保安林であり、林務課の現場。
林務で法枠工をする際は簡易吹付法枠工(モルタル)が採用されやすいとのこと。
そして8年後が冒頭の写真。
上部は吹付工により固定され、下部は植生が導入されている(冬なので分かりにくいが)。
設計をした際の目的は果たしているようだ。
ただ、斜面の土が流出して法枠工の基礎が浮いている部分がみられた。
「このまま放置しては構造物が崩れ落ちてしまうので早く直さなければ」
と思ったがこの辺りには家が一軒しかないらしい
(それも少し離れた場所であり、住んでるかもわからない)。
というか設計時も一軒しかない状況だったようだ。
別に家が一軒だけなので見殺しにすればよいと考えているわけではない。
ただ、崩れても壊れても、誰にも影響がないのならば直す必要はない。
今後田舎(特に山奥)に住む人が減っていく中で、
「復旧する必要性」を検討する重要性は増していくと考えられる。
一方、山地災害の多発化、激甚化が進む日本において
急速な復旧が求められる場所も増えるだろう
お金があるから仕事を出す
コンサル、工事の会社へのお金配り
という背景が、もし現状であるのであれば、
あと10年、15年で変わらなきゃなと思った。
行政がとか企業がとかの話じゃなくて、社会の流れが。
利益ではなく人生の豊かさ求めて生きていきたいと感じた1年目の1月でした。