おばさんと自民党総裁選

おば友には86才のおば友N子さんがいる。何処で買うのかと疑問に思う個性的な服を纏ったN子さんは、同じマンションの住人で、出会いはエレベーターホールだった。ジーット私の顔を見て、いきなり「お友達になりましょう」と言った。不意打だったし、同じマンションなので忖度して適当に返事したら、その後、信じられないほど遭遇し、なんでこうなるのかと思っているうちにN子さん主催の平均年齢82才のおば友会に最年少で参加することになった。当初は、お年寄りに弱いという自分の性格を甚だ疎ましく思ったが、今ではN子さん主催のおば友会にすっかりハマっている。
「ねえ、この前の自民党の総裁選、石破さんと高市さんどっちが勝つと思ってた?」
「石破さん」とおばさまN子さん。
「どうして?」
「だって高市さんは目が座ってたでしょう。九州では昔から男でも女でも目が座ったらダメってっていうのよ」
「確かに高市さんはきつい感じでしたけど、男性に負けない女性という感じしか受けませんでしたけど」と最年少おばさん。
「同じきつい目でも上川さんの目と高市さんの目って全然違うわ。上川さんの目は厳格な目、高市さんのは座った目」とN子さん。違いが分からんが、話が自分の方に飛び火しないように「なるほど」と納得した顔をする最年少おばさん。
「総裁選は目の差?それより論点じゃない?」と東京出身のおばさまTさん。
「論点?二人共、日本を今よりも良くしたいって言っているだけで具体性にかける。方向性はどちらも大差ない。目よ、目よ」とN子さん。
「でも、高市さんがなれば女性最初の総理大臣になるし、自民党だって刷新感があったのに」とT子さん。
「あら、刷新感だす為に女性なら、それこそ性差別よ。とにかく、今の日本の不条理を冷静に少しでも正せる人を選ぶべき、目は人を表す、目が座っている人は冷静には判断できない」とキッパリ言い放つおばさまN子さん。総裁選が目つきとは如何なものかと思ったが案外説得力がある。
座った目と厳格な目をおばさまN子さんが披露した。違いがやっぱりわからない。顔が可笑しくて一同、笑、笑、笑。
この後、N子さんは84才の友人夫婦の老いらくの恋の大騒動を語った。noteで披露したいが、自分と友人が亡くなるまでは秘密ねと言われてしまった。長生きして欲しいので紹介がずーっと先になれば良いと思う。


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