作品で表したいこと
自分が作品で表現したいことはなんだろう、と思った。
最近、あるコンペの審査で大量の作品資料を読んでいる。心とか社会とか、当たり前のことだけど、とにかく人に関する作品が多い。
ふと自分の作品を振り返ると、最初の作品こそ人対人のコミュニケーションをテーマとしていたけれど、その後はインフラが消失しても動く仮想生命とか、木に感情移入して故郷をかたどる彫刻だとか、生命の複製システムを考えるために作った粉をかき混ぜる機械とか、そういう感じのものを作っている。
それは自然の中にすでに存在している仕組みとか価値とかを掘り起こしたいという気持ちの現れのように思う。自分ではない誰かがその仕組みを発見してもいいし、すでにそこに在るものだからプロセスやアイデアが重要で、自分の手業で拵えるものではない、という感じ。
最近、学生に質問された。先生はCNCや3Dプリンタを使って造形しているけど、どうやって割り切っているのか?と。最初意図がわからなかったけど、よく聞くとその学生はこれまで手仕事で作品を作ってきたそうで、手仕事の中に作品生が宿り、機械を使うのは代替手段だと考えているようだった。自分が上に書いたような考えで制作していることを話すと、そういう考え方もあるのか、と納得してくれたようだった。