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vol.5 勤め人の傍ら転売業を手掛けてノウハウを手に入れ、輸入総代理店に成って若くして豊かに勤め人卒業する方法

シマンコフ 聖丁倶楽部
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※試聴版。オリジナル版(57:39)は購入後に視聴可能。

第五話(全六話)

日本から約5,000km離れたアメリカ・アラスカの沖合に浮かぶアリューシャン列島。大小150もの島々が、東西2,000kmに渡って連なり、その北側にベーリング海はある。気温は常に氷点下、体感は-30℃とも言われ、全てが凍りつく極寒の海。台風レベルの剛風と荒れ狂う海面、トン単位の海水が常に降りかかる。波高は10m以上、ビルの4階相当にもなる。大海原に浮かぶ小さな漁船は、うねる波に揉まれて激しく上下するーー世界で最も危険で、最も過酷な仕事であると同時に、現代のゴールドラッシュとも言われるこのカニ漁は、世界中の一攫千金を狙う猛者達を引き寄せてやまない。甲板で波濤と戦う屈強なワーカー達。彼らは何を話すにしても語尾に必ず「~~F××k!!」が付く。おかげで映像化したら発言のほとんどがピー音になるのだがーーそれはひとまず置いておこう。

彼の名はシマンコフ・アレクサンドロヴィッチ・リョースキー。故郷である日本語の名もあったが、今はもう関係がない。過去の自分と切り離された「シマンコフ」にならなければ、この過酷な環境では生き抜いていけないからだ。屈強なワーカー達と船内ですれ違う。「F××k you!!」と言われる。難関大学を卒業した自分がなぜ、こんな船に乗っているのかーー境遇を嘆く彼だが、しかしてその先にも、いくつもの苦難が待ち構えていることをこの時はまだ、知らない。寝不足と、激しい揺れにより散らばりかける意識を必死に束ね直しながら、シマンコフは待ち受ける孤独な闘いに漕ぎ出していくのであった。

「闇が足りない、お前には」

このフレーズは白熱教室シリーズではたびたび耳にする。勤め人卒業を志す者は多いが、その大半は歩き出してもやがて、その足を止めてしまう。いや、正確には歩を進めたくても、現状の世界からの修正力によって圧力が加えられて、その次の一歩が重くなり、動けなくなるのだ。この修正力とは、その人の日常生活そのものだ。現在の勤め人仕事、家族に割く時間、趣味に割く時間、そしてそれらに使用する気力と脳のリソース。これらは有限で、その大半を使い切りながら日々、生きている。だから余剰は基本的には無い。そのような前提の中、勤め人卒業を志した者は、そのための時間と行動、そして気力&脳のリソースをなんとか捻じ込もうとする。多くの場合、睡眠時間が削減されていくのであるが…。しかしこの場合、そうだな…早ければ1週間。多くは3ヶ月、多少根性がある人で半年ほどが限度となるであろう。睡眠時間を削りながらの戦いはやがて限界を迎える。この「世界からの修正力」によって、また元の日常へ戻っていくのだ。こうして勤め人卒業志願者は夢破れしワナビーとなる。

この時、このワナビー化に抗う術として「闇」の存在がある。

勤め人をしていてパワハラを受け酷い目に遭った。ブラック労働を強いられ心身共に磨耗した。身体を壊して死にかけたーーこのような「闇」を心に刻み付けて、いつまでも癒されぬ古傷を持つ者は、世界からの修正力に対抗できる。

疼くのだ。古傷が。

ここで折れたらまたあの嫌な記憶が、体験が、また襲いかかってくるかもしれないという一種の強迫感。その古傷の疼きが、心の深い場所から湧き上がってくる。だから、歯を食いしばってまた一歩を踏み出せる。こうして世界からの修正力に打ち勝ち、克己して勤め人卒業を果たした人々が白熱教室シリーズには多く、今回のシマンコフ氏もまたその一人だ。このことはご本人の筆によりVol.6紹介文において語られる。

日常から脱却することを何かに例えるならば、それは鈍重な、巨石の車輪。静止しているこれを動かすには、大きな力が必要だ。しかしひとたび動き出せば、その後に掛ける力は最初よりは少ない。しかし最初のひと転がりが重い。とても重い。ここで有効な原動力が、先述の「闇」に対して抗う気持ちなのだ。日常に戻りたいというマイナスの力に、しかし辛い目にまた遭うかもしれないというマイナスをぶつける。マイナス×マイナスで、プラスにする。

ここまでは白熱教室シリーズではお決まりの流れかもしれない。闇が深ければ深いほど、その力は大きくなる。しかしながら、そうなると闇が少ない、闇が薄い人間にはもう手段はないのだろうか?

もしかしたらあるかもしれない。それが本作のノウハウ群において輝きを持つ「自分の好きなものの輸入総代理店になる」という方式である。自分が好きなこと、つまり趣味。もしくは自分は趣味と認識していなくても常日頃から関心を持ってしまうこと、もの。気付かぬうちに時間やお金を投入しているもの。

無意味さの忘却。苦にならぬ徒労。すなわち遊興である。

この無意識のプラス方向の力を、巨石の車輪を押す最初の力に充てる、ということを本作は示唆してくれている。深い「闇」がある人は、その闇の力に駆動されて突き進んだらいい。それはある意味で正攻法だ。対して、闇が深くない人は、本作の方式を利用して、無意識のプラスの力をそのままプラスの方向で駆動していくこともアリなのではないか。そのような示唆を与えてくれる。

「こんなものがあったらいいな」という製品を、自分で作るのはもちろん良い。しかし自分で作るのは難しいな、と思う場合には、世界中を探してみる。探せばきっと、同じような気持ちの同志がきっとどこかにいるはずだ。彼は展示会やクラウドファウンディングサイトで探してみよう。そうして実行力ある同志を見つけたならば、

「この製品は素晴らしい。俺も欲しいと思っていた。これを日本のマーケットでたくさん売れるよう頑張るから、日本での販売は俺に任せてくれないか?」と持ちかける。ここから輸入総代理店の交渉はスタートしていくのだ。詳しくは本編に譲ろう。

こうして書くと、簡単なことのように思える。しかし実際には、海外のメーカーと接触する勇気と、信頼を維持するために持つべき精神性と、そして為替や手数料に対しての知識、金融リテラシーも要る。これはシマンコフ氏が学生時代バックパッカーをして、新卒でカニ漁船に乗り、Fintech系の起業に立ち合ってカメラ転売をして弁当屋で85連勤をした末に金融リテラシーを発揮して為替リスクを低減して編み出した努力の結晶なのだ。

つづく

著・ヤコバシ


白熱教室の使い方について

・オーディオをダウンロードしてスマホ本体にデータを移して、車を運転しながら、皿を洗いながら、洗濯しながら、自炊メシを作りながら、物件でリフォーム作業しながら、朝の目覚まし代わりに、など、何かをしながら聴いていただくのが良いと思います。とにかく「ながら時間」の活用がキモです。
・「ながら時間」とは「すきま時間」ではないので、白熱教室で勉強をするには、本末転倒かもしれませんが、生活の中にとにかくながら時間を作ることですね。でもそのおかげで自分の部屋がぴかぴかに片付くとか、自炊で健康になるとか言う、もう一つ先の本末転倒が起こるはずです。
・何度も聴いていただくのが良いです。だから集中して聴かないのが大事です。何度も聴くと分かりますが、聴こえてくる内容や、気づく事、閃くアイディア、毎回変わります。
・オーディオブック学習は成功者を輩出しまくってきた歴史と伝統と実績ある勉強法の一つでしょう。本を読むのがあんまり得意でない人も全く問題ない。情報を得る事よりも、ぼけーっと繰り返し聴き、自分の中に何かアイディアが出てくるような聴き方
が良い使い方です。

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