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食物連鎖の下から二番目

麻雀を覚えて11年、麻雀で遊んで1年。
ここまでの麻雀人生を列挙します。

※フィクションです
※全文無料です



麻雀との出会いは父による。ちょうど東風荘が流行していて、親父がWindowsXPで熱心にプレイしていた記憶がある。子供ながらなんとか役を覚えフリーソフトでよく遊んだりした。Gamedesignにて天鳳のリンクを踏んでみたことはあったが、システムがわからずブラウザバックした記憶がある。会員制フィッシングエロサイトの部類だと思っていたからに違いない。高校時代は頻度こそ少なかったが、放課後にMJセットがたびたび開かれた。バズっていたイカサマ麻雀選手権、青空麻雀を何度も再生した。高校出てからは機会に乏しく、サークルの合宿で先輩とちょこーっとやった。

つまるところ、麻雀は好きだが牌に触れる機会に恵まれなかった。
そんなある日のこと。



え、〇〇も麻雀できるの?!

春先、カードショップで端数漏れしたオタクが雀魂をやっていた。
思ったより麻雀は世の中に浸透しているらしい。始めるには微妙に敷居の高いゲーム。私はとても感動した。
(のちにMリーグの存在を知り、AbemaTVトーナメントの裏でそんなことしてたの!?ってなる)

「リアルで麻雀したくね?」
「り」

話が早い。ルールの分かる面子を集い、マットと牌を用意。店員くんの計らいにより閉店後のカドショでラシャを広げる。ジュース3本ラス払いを賭け、おぼつかない手つき、曖昧な符計算の闘牌が始まった。タンヤオのみ1,000点の和了が嬉しくてたまらない。人生で最も白熱した対局だった。
翌日店舗責任者にバレ、即刻禁止令が出たのは言うまでもない。

この立卓からちょこちょこセットが立つようになる。ヨコサワブームでポーカーをはじめた友人、遊戯王やポケモンカードに飽きた友人、ルール知ってたらしい友人、友人の友人、瞬く間に麻雀が普及する。彼らが相手ならば、ほんの少し手組に理解があるだけでゼンツですぐトップをとれる。なんせ東パツ3,900点を丁度で払うような連中だ。面前手はクソ単騎でも即リーチ。雑に字牌貯めてオリ。たまにテキトーな理由をつけて放銃してあげる。おかずを一品増やす幸せが生まれる。私は世界の中心で神に愛されていた。ラーメン。

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才はないためLuckyにあたる


ネット麻雀鬼打ち→即引退

セオリーが少しずつ分かってきたため天鳳へ。三段までは難なく通過。後述する問題を除き苦も無く毎日15半荘くらいをこなす。しかし四段手前で右往左往、経験がある人もいるのではないだろうか。特上卓に座れない初心者の、負け悩みの時期はすぐに訪れた。
押し引きの指標わっかんねー、なんて思いながら予約ボタンを押す矢先、あることに気が付く。
ある程度戦える人間相手じゃ回線が持たない

我が家のPCは無線でネットに繋いでいる。自室は2階の玄関寄り、ルーターは対角線上にあるリビングに設置されているため回線が恐ろしくヘボい。度重なる回線切れでオートツモ切り、放銃。見逃し。さらにフリーズ。卓上のライバルよりもネットに繋ぎ続ける抽選と戦わねばならない。私のリーチに限って三段クルーンが用意されていた。級位者相手ならなんとでもなったが上級卓からはそこそこしんどい。よってPC天鳳は150半荘くらいで引退した。この環境で打ち続けられる者はいないだろう。LAN配線に詳しい方は助けてほしい。私だって特上卓サササーっと抜けて天鳳民になりたい。(なお実力未だはR1600二段くらい。)

諦めてスマホでプレイすることに。機種は中古赤ロムのXperia XZ1、4年モノになるだろうか。バッテリーがスカスカで通学中にTwitterみたり曲聞いてると帰りには電源が落ちる。これもジャンク。
いざプレイしてみるとー
東3局あたりで挙動がバグる。
画面が謎に暗転 → ロック画面
→ロック解除 → 一瞬起動 画面暗転
さしずめトムとジェリーの追いかけっこである。なおかつ回線も不安定。やってられるかバカタレ。
これも現在100東風の初段で放置している。

執筆中テストしたが雀魂はギリプレイできているが天鳳は全くダメ。
これはアプリでなくハードの寿命が問題なので現端末が逝ったらやろうと思います。待ってろ天鳳



フリー麻雀を打ちに行こう

天鳳高段者になるまでは自戒すると決めていたが、正常なプレイが無理なため諦めた。土日の少ない時間の身内セットだけでは熱は冷めない。あなたもそうだろう。

なんたって名古屋通いの学生のため、お店はいくらでもある。多少の負けを覚悟してとりあえず行ってみることに。1パチからハマる養分同様、私もフィッシュその一人なのだ。
童貞卒業は今はなき東風のお店。(リニューアルしたとか)
下記の動画#09:03と全く同じだった。


メン3でご案内、結果は214。
ビギナーズラックがすぎた。セット10回もこなしてないクソガキの相手してくれてありがとう。ラス前トップと8000未満差でツモスー出和了りして「これ祝儀見て見逃すんですか?」なんて聞いてごめんなさい。名古屋で行われた王位戦第1局 藤井-豊島戦の帰りに寄ってロッカーをお土産のアップルパイ臭くしたのが思い出深いです。

某チャオはBルールで1日に素点300000点ほど負けて放心。学割なくてG代高いっつってキャッシュバックだけもらって足を運ばなくなる。
符計算できんのにイキってAに座って相手してくれたおじさん達ありがとう、メンバーの倍ツモ4枚の洗礼を受けたがなぜかトントンで耐えた。

そんな感じで名古屋のフリーに頻繁に足を運ぶようになった。



場末との出会い

夏。猛暑の中でもコロナウイルスの勢いは止まらない。大学サークルの活動は凍結、授業はオンラインへ移行。電車に乗るのが嫌いな私は、めっきり名古屋にいかなくなっていた。この間にかのお店が営業休止してしまったことを恐ろしく後悔している。
カドショでポケモンカードをしばく日々は飽きた。週末のセットだけでは物足りない。となればもちろんフリーだ。地元にはセット雀荘が2, 3軒しかない。というわけで隣町唯一の四南のお店へ。
ここが絶妙な限界集落の場末。
わけわからんデザインのTシャツを着ていったせいで、ご案内早々に常連の社長からあだ名「寿司」を命名される

愛用しているユニクロのシャツ


ただでさえクセの強い人間が集まるお店で、新規で異彩のインパクトを放つ学生が来たのは面白かったと後に聞く。時代は令和だ。
ヤニにまみれた汚い空間で和気藹々としている。地元訛りの汚い言葉が飛び交う。アツくなった卓では心地よい強打音が響く。そんな店でも若い人は少数だが存在し、新規案内されたちょっと後に同卓してオレ様がダントツトップ目の親番で緑一色ツモりおった兄ちゃん、見た目イカついけどクッッッッッソ親切な兄ちゃん、30手前メンバーが2人ほどとアウェー感はない。成績も別段ひどいものでもなかった。週3で通うようになった。


よくよく考えてみれば、リアルが充実した若者は身内セットで満足できるのではなかろうか。淡い青春、学生生活おしまいである。



悪魔の誘い、そして

60符までの打点をギリ覚えた (2022年4月現在、未だテンパネがパッとわからない) ころ、常連のおじさん、主に社長から冗談交じりに「寿司!お前いつも居て暇だな!メンバーやれよ!」と言われるようになってしまった。おっちゃんもいつもおるやん、というツッコミはさておきよくある話なのではなかろうか。
雀荘 メンバーなんてのはggるとクソみたいな体験談が大量に出てくる業種だ。当初はまったくやってみる気もなかった、、、が如何せん収入源が週1コンビニ夜勤と身内からせしめたお気持ちのみ、かつ時間をあり余しているため言われ続けるうちにやってみてもいいかな、と思ってしまった。三度断ってもまだ押されるため「明日履歴書持ってきますわ!w」と。敗着である。

翌日の昼からラストゲームまで打ちお店の責任者と面接が開始。
「最低賃金でハーフバック深夜手当ナシだけど交通費出すよ」
「はい」
「採用」
僅か3分の出来事である。

翌日からいきなり出勤。なんで3, 4日連日雀荘行ってんだよという疑問はアルティマの中で今日も混ざっているに違いない。そんな考えは夏の暑さで滅びた。
収支が±0なら上場~なんて思っていたがそう現実は甘くない。


無能無給メンバー、爆誕


客打ちと本走では勝手が違う。符計算あやふやキッズならいざしらず、立場が一変メンバーだからと圧ある態度で急かされひどく焦る。3半荘目には疲れで普段通りの打牌ができなくなる。客打ちほど集中が持続できない。自分の脳のリソースの足りなさを痛感した。本走中に人生初のチョンボをした。(本走通算8チョン)
共通安パイの9pの隣にあった7pを射出し、二軒のめくり合いに12000と12000を放銃したのは正直面白かった。

また私はハッキリ要領が悪い。タスクを2つ用意されたとき、片方をすっぽかす頻度が非常に高い。簡単なG代回収ですらミスを犯す。どのみち麻雀に慣れてないのだ。たかだか人生でトータル300半荘すらプレイしてない素人がやってみる仕事ではないのだろう。
(リアル麻雀に至っては100打荘くらい)
起家セットしようとして河ドボンしてチョンボしたりした。


初月は6日間、26時間の出勤で振り込みが2000円だった。アウトしなかっただけ偉いね♡
ここでやめる一手だったのだと思う。初日からタコ負けしても笑っていた自分をぶち殺してやりたい。


もともと遊び半分で始めたためにあまり気にしていなかったが、貴重な学生生活の尊い時間をこんなバイトに溶かした事実は社会人になった今絶望となって襲い掛かる。
もともとお金に頓着がなかったためにどれほど成績が悪かれ腐らず笑う努力をしたが金銭感覚が破壊された点はまずかった。



末路

対面授業が再開し定期券を更新した。私はサンマフリーに殆ど興味がないのだが、少牌マイティには惹かれるものがあった。セットで予習をし、このルールを遊べる某地下店に赴く。サンマフリーを打ったことない人間が突如ピンにご案内、ビビりながら着席。偶然勝ってしまった。このとき同卓していた大学院生の方が2ゲームごとに万両コールするのを見て脳が完全にバグり散らかした。この後、割れ少及び卓上のハッケヨイ氏と邂逅しさらに壊れてしまう。役満祝儀を心の底から祝えるようになったのもこの方のおかげだ。また手合わせ願いたいものである。

別日、学校帰りにピン東デビュー。144でヤキトリ2局かましたがさほど気にならなかった。金銭感覚は崩壊の一途を辿る。


さあこうなると話が早い。たかが0.5 1-3とはいえ1日の給料が0以下になるのがザラのルールなのに緊張感、ヒリつきが消える。成績に関心がなくなるし、ただでさえ低い集中力がなおさら散漫になる。どれだけ手痛い放銃も飛びラスも、もはやどうでもよくなる。遊びでやってるバイトだから、と向上心はなくなって久しい。結果、6ヶ月で通算14点負け純赤 (赤字の字面はなんだかめでたい) を記録した。
本走だけでは飽き足らず、月収5万男の分際でアングラなフリーで一撃12点噴射してなお懲りていない。身体は闘争を求める。


一時20万円ほどあった貯金は底をつき、給与5, 6万円が振り込まれては底をつき。気づけばフリーと本走合わせ半年ちょいで30点出しを記録した。

星になりたい。

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無意識に場代トータル10万払いに気づいた脳内


回線工事も自動卓購入も海外旅行だってできたやん



食物連鎖の下から二番目

この一年、麻雀と深く付き合ったつもりでいるが、現在の総打荘数は1000局に満たないと思う。まだ成長の余地があることを喜ぶ反面、失った代償は貧乏学生にはあまりに大きい。この額は堪える。

つまるところ、私は雀力とバンクロール管理がすごくゴミなのだ。
小さなコミュニティの勝ち頭は当たり前のように強者足りえない。ボウフラをつつく小魚は、鉢から出た途端に餌と化す。セットで得たptは、さらなる強者に徴収される。

ここまでボロクソ書いといてなんだが、雀荘という空間はある種テーマパークと捉えられる、すばらしいものである。執筆中もフリー打ちてーな、なんて考えている。懲りろ。
本稿で最も伝えたいことは、
”後ろ見されて恥ずかしい打牌をしているうちはメンバーにならんほうがいい”である。大学生諸兄、学割の利くフリーで長期的に勝ち越してからメンバーデビューでも遅くはない。どうか私のように早まらないでほしい。


大学を卒業した現在も麻雀は続けている。このゲームは魅力的なため、のめり込む一方だ。メンバーを辞めてからというもの、なおさら楽しくて仕方がない。愛知県にお住まいの方々、TwitterにDMくだされば飛んで遊びに行きます。

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