あの日、あの人は何を言おうと思ったのだろう
新入社員で同じ売場に配属されたのは、僕と彼女だけだった。まだ出版不況と言われる時代がくる前。書店業界はバブルの影響が遅れてくるというのでまだ楽観的な雰囲気だった。
そんな2人は横浜で1番賑やかな街のお店に行くことになった。そして自分は文芸書、彼女は児童書の担当。
僕の先輩社員は4人、そのうちの男性リーダー社員は厳しいと評判。その実情は今で言うパワハラ体質だった。さらにサブの男性先輩は僕に対して無視。残りの2人は女性の1年先輩でほとんど仕事の経験値が低い人たち。
そんな状況で僕の本屋としての仕事がスタートした。
毎日、何百冊もの本が入荷してくる。朝は注文便、昼になると新刊が入ってくる。それを棚に差しあるいは平台に陳列していく。もちろんレジで接客しながら交代で行う。本を店出ししていくとお客様から問い合わせ。そのため、いかに早く作業をしていくことが大事。
それが毎日続く。そんな生活に僕は辟易していくのだった。
続く